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イースの大いなる野望  作者: ダメ人間
第二章 特攻野郎Yチーム
12/21

十二. 17歳、バンブーの戦闘妄想

前回までのあらすじぃぃぃぃぃッ! 


 百﨑夏希ももさきなつき

 秋空一歩あきそらかずと

 千石冬夜せんごくとうや


 なんと『アウトサイダー』のパイロットである3人は阿久竹の編入した『九頭龍新和高校くずりゅうしんわこうこう』の生徒だったのだ!しかも3人とも阿久竹と同じクラスであった!

 それはまさに信じられないほどの偶然だった!まるで漫画だった!フィクションの世界だった!イッツ・ア・ミラクルだった!

 そう!まさにこの世界に神がいるなら、それは文才が無く、構成力も無く、行き当たりばったりを信条にする神だろう!

 そうとしか思えないほど偶然にも敵同士が接触しているのだ!


以上!終わり!解散!


「何か用か?話があるなら短めに頼むぞ。俺は今から帰るつもりだからな。」


 阿久竹は近づいてきた2人より先に声をかけた。

 先に話しかけたことが功を奏したのか、2人は若干戸惑っているようだった。


「ああ、すまない。昨日の件で聞きたいことがある。少しいいかな?」


 千石冬夜は申し訳なさそうに話かけた。その後ろに隠れるように秋空一歩は阿久竹の様子を窺っていた。


「・・・場所変えていいか?ここじゃ話したくない。」


 阿久竹は場所変えを要求した。千石の一言で皆が静まり、こちらに聞き耳を立てたのがわかったのだ。


「構わないよ。場所は下駄箱でいいかな?今だと人が少ないからな。」


 千石も皆が聞き耳を立てたのに気付いたのか、今度は阿久竹だけに聞こえるように小声で話した。

 3人は教室を出て、下駄箱へ向かった。


 阿久竹は下駄箱へ行く途中に2つの行動をした。

 1つは草壁への連絡であった。

 阿久竹は着ている学生服のボタンの1つを超小型カメラ内蔵型のボタンに変えており、また襟の部分には超小型通信機を忍ばせていた。

 そのどちらか1つを起動させればもう片方も起動し、かつ、草壁に連絡がいくようにしてあった。

 今回は椅子から立ち上がるときに肩を揉む仕草をして、襟の通信機を起動させた。

(ちなみに草壁も同高校に編入しており、2年4組に所属している。)


 2つ目は戦闘準備であった。

 マヌケなイメージが付いてしまっている彼だが、こと戦闘力にかけては高い。

 腐っても軍人である。一般人に負けるなどまずありえなかった。

 しかし阿久竹は2人が強いことがわかっていたため警戒した。

 この教室で初めて彼らと会った時から2人が強いことがわかっていた。

 阿久竹は2人が敵対組織『AWCO』の人間(軍人)であることを知らないが、長年の経験より直感で2人が強いことがわかったのだ。

 もちろん直感だけで物事を理解するほど阿久竹も馬鹿では無い。

 クラス全員の身辺は調査しており、2人が格闘技を習っていたことも考慮しての理解だった。

 阿久竹は普段からハサミやカッターをポケットに入れているのだが、彼はそれがポケットにキチンと入っているか念のため確認した。


(この2人は強い・・・。万が一にもありえないが戦うことになったらマズイな。2対1ではまず勝てない。とはいえ黙って敗れるわけにはいかない。)


 学校で戦うことなどありえないと思っていたが、阿久竹は警戒を怠らなかった。


(すぅーーー!はぁーーー!すぅーーー!はぁーーー!)


 阿久竹は気づかれないように独特な呼吸法を実施した。この独自の呼吸により自身の眠れる筋肉を呼び起こしたのだ。

 加えて肩をならした。ゴキゴキという音が肩から鳴った。


 身体準備が整ったので、次に戦闘イメージを膨らませた。

 2人の攻撃のかわし方とカウンターを考えた。

 挟み撃ちにあった時の対処と逃げる算段も考えた。

 仲間を呼ぶセリフも考えた。

 勝った時の決め台詞も考えた。

 負けた時の言い訳も考えた。

 戦いが周囲にばれた時の言い訳も考えた。

 女の子からの声援を受け止める際のポーズも考えた。

 今日の晩飯も考えた。

 学校帰りに買う食材も考えた。

 夜見る映画のことも考えた。

 木曜洋画〇場を見ようとも考えた。

 しかし既にあの枠が無くなっていることも考えた。

 あのアホな予告が2度と見れないと落ち込むことも考えた。

 そもそも今日が水曜だということを忘れていたことも考えた。

 風呂に浸かっているときの下手な鼻歌も考えた。

 寝る前の妄想も考えた。

 将来設計も考えた。

 家は平屋で犬を飼い、美人の奥さんにかわいい子供。

 自分は国のために働く軍人。

 まさに完璧だった。完璧なまでの戦闘イメージだった。

 天才としか言えないイメージだった。


(よし!では行くか!)


 阿久竹は2人とともに意気揚々と下駄箱に向かった。

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