第四十五話 俺たちの旅は
俺とヒメとシャル、三人が並んで歩く。背中にはリンを背負っている。俺の疲労を気遣ったのかヒメが背負うのを代わろうかと言ってきたが、何となく断ってしまった。仮にも男をヒメに背負わせるのには抵抗がある。
ちなみに例の感触はない。絶壁だ。
そのまま沈黙が続く。歩いているだけで何か話す必要があるわけでは無いのだが、やはり違和感がある。ヒメが物憂げにしているのだ。何か悩み事でもあるのだろうか。
どちらかというと俺はそこらへん鋭い方だと思う。人の顔を見るとだいたいその相手の感情が分かるのだ。そんな俺から見て今のヒメはテンション低めだ。
「ヒメ、なんか悩み事か?」
そして俺は、気になったことはすぐに聞くか、適当にこうだろうと決めつけるかの二択の傾向にある。今回は率直に聞いた。
「オーマが他の女の子に構いまくっててジェラシーを感じてます」
「そうか」
「オーマの愛が不足してます」
「それは大変だ」
「淋しいです」
「解決するといいな」
まあこんな風に返されることは予想していたし大部分が本音であるらしいのだが。
そんな中、いつ切り出そうかと思っていたが話を逸らしたくなった今がチャンスだろう。このことについてははっきりさせておかなければならない。
所持金0Gと俺がヒメに負った借金について。
「二人とも、重大な発表がある」
「?」
「どうしました?」
「俺たちの勇者資金が底を尽きた」
「はあ」
「それがどうかしましたか?」
「お前らなんでそんなに余裕なんだよ?金がないんだぞ?」
「まあ、勇者一行の一日の宿賃ぐらい、余裕で稼げるっすからね」
「別に、何か買う必要があるわけじゃないですし」
「それはそうだが」
旅をしてみて分かったことだが魔物を倒せばお金が手に入る。『王家の紋章』があれば魔物を倒して得たお金で宿賃に困ることはない。
「旅を初めて直は所持金数Gなんてよくある事っすよ。冒険者あるあるっす」
「なにその計画性のなさそうな冒険者」
人のことは言えないがそれで生きていけるのだろうか?
「そういうわけで気にすることは無いですよ。なにより人助けの為に使ったんです。もっと誇ってください」
「・・・・・・・・そうか。ありがとな」
「はい」
「はいっす」
人というか魔族なのだが二人ともそれを分かった上で言ってくれていた。二人ともお人好しだな。
「じゃあ、次の件なんだが、ヒメに借りたお金って・・・はっきり言っていくらだ?」
「借りた?」
「何の話ですか?」
首をかしげる二人。シャルはともかく、何故当のヒメがその反応なんだ。
「買い物の足りない分、ヒメに負担してもらっただろ。それがいくらかって聞いてるんだ」
「それは498946Gですけど」
とんでもない額が出てきた!予想はしてたけど!
「でも貸したなんて思ってませんよ?オーマ、あのとき私に命令したじゃないですか。私の物はオーマの物なんですから遠慮しないでください」
「するから!!何だよその理由は!とにかく今は無理だが、必ず返すから。取りあえず返済計画を立てよう」
ヒメがどう言おうと、そもそも俺が拒否し続けてきたことなのだからこれだけは甘えるわけにはいかない。あの場面では命令してしまったが、あれは急いでいたのもあったが、ヒメが偽物であるかどうかを見分けるための物であった。
リーナに見せられたオーレリアとヒメの談笑。それでヒメを疑うようなことはなかったが、オーレリアによってヒメに何かされている可能性が思い浮かんだ。なので命令という形でいつものヒメとの差異を探ったのだが。いつも通りの従順さにいつも以上の速さであった。
しかしそれには重大な落ち度があった。多額の不足金である。
「オーマがこれから稼ぐお金のうち、何割かは私のはたらきで得たものになるでしょうに、それを私に返済するっておかしくないですか?むしろそれを私たち全体のためになるように使ってくれた方がお互いのためです」
ヒメからこんな正論が出るなんて思わなかった。だがそんななあなあで済まされる金額じゃない。
「それに正直私は気が短いです。いつまでもオーマの返済を待ってられません。借金だとして、返すなら今すぐ耳をそろえて全額返してください」
「なっ」
「無理ですよね?だから気にしないでください。別に利子とかそんなあくどいことは考えてませんし引き換えに何か要求することもありません。オーマの為に使えてむしろ嬉しいぐらいです」
そこで気づく。ヒメは借金とかどうでもいいのだ。借金という形で俺に命令されたことにだけが重要なのだと。だからそれを解消させるつもりはない。利子もなく催促もなく、ただ借金だけが事実として残る。親切とかじゃない。全力で俺の返済をつぶしにかかっている!
「やばい相手に借りを作ってしまった」
「失礼な」
「なら、何か代わりにしてほしい事とかはないか」
「してほしいことはありますけど、お金の代わりにそれを要求したら私が惨めになります」
「う」
確かに少し考えなしの発言だった。そもそもヒメの要求を受けきれる自信がない。しかしどうしたものか。
「オーマは深刻に考え過ぎです。将来私たちは結婚するんですから、二人のお金をちょっと先に使っちゃっただけじゃないですか」
「またそういうことを・・・」
「なら―――」
と、これまで静観していたシャルが口を挟む。
「物で返せばいいんじゃないっすか?」
「物で、って言ってもそんな高価なものはないぞ?」
「要するにヒメ様からオーマ様に五十万Gのプレゼントを渡したってことっすよね。でもオーマ様がそのままじゃ納得できない。ならお金じゃなくて、五十万相当になるまで何回かに分けてプレゼントすればいい。違うっすか?」
「なるほど」
なるほど言われてみればその通りだ。何も金に固執することは無い。ヒメがそれを望んでいないのだから。
「ヒメ様も自分で無償の奉仕だって主張するんすからオーマ様がそれをしても文句はないっすよね」
「・・・・・・・はい」
「何で不服そうなんすか」
「あ、なら」
そう言いながら俺はアイテム袋から『木の腕輪』を取り出そう・・・として出来ない。両手がふさがっている。だがこんな時こそ、「渡す」の出番だろう。アイテム欄から『木の腕輪』『渡す』『ヒメ』を選択する。しかし渡した後で気づく。よく考えたらこんな安物じゃなんの足しにもならないか。
「これは?」
アイテムが一瞬で移動し、ヒメの手の中に収まっていた。
「ああ、いや、お前エンゲージリング欲しがってただろ?それなのに大会が中止になったわけだし、気を落とさないようにって買ったんだが」
「私にってことですか」
「ああ」
「オーマにプロポーズされました・・・・」
「してない」
結局言いやがった。腕輪にそんな意味はこめない。
「借金するほどに使い込んでおきながらそんなもの買ってたんすか」
「・・・・・・・・」
そんな皮肉をシャルが言う。今度シャルにもなんか買う流れだろうか。
「一応、聞いておくっすけど、ヒメ様にとってその腕輪の価値は?」
「・・・・・・1G」
「ひでえ」
まさかの酷評だった。120分の1とかまじかよ。でもそうだよな。たかだか120Gの木の腕輪なんてヒメにとっては何の価値も無いか。
「・・・・・・・・・・・・」
「ヒメ?」
だがヒメはそのたかが腕輪を両の手のひらで持ったまま足を止め、静かにたたずむ。
「・・・・・こんなに嬉しいものなんですね」
「は?」
「オーマ」
「なんだ?」
ヒメはその腕輪を左手に身に着けこちらに見せてくる。
「似合いますか?」
その言葉に改めてヒメを見る。ヒメのきらきらとした髪に透き通るような肌。そこに添えられた素朴な木の腕輪はヒメの美しさを対比として強調・・・・・・。
「似合わないな」
ヒメの実力にその木の腕輪はステータス的に似合わない。
「そこは嘘でも似合うって言っとけば女の子は喜ぶんですよ」
「でもまあ、ヒメを笑顔にできるならそれだけで十分だからな」
「・・・・・・・・・・・・・」
ぱちくり。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・にゃー」
ヒメの顔が><になる。
「キスして良いですか」
「・・・・・・・・・・・・良いって言うと思うか?」
「思いませんけどそれぐらい嬉しいんです。爆発しそうなんです。オーマを襲ってしまいそうなんです!」
「悪い、今のは俺も失言だった。聞かなかったことにしてくれ」
「できません!」
「あ~」
そんなやり取りにシャルが額を抑えている。
「え~つまり、完済ということになっちゃったんすか?」
「はい!」
「・・・・どういうことだ?」
「その腕輪に498946Gの価値があるってことっすよ」
「でもさっきヒメが1Gって言ったじゃねーか」
「この腕輪の物としての価値はGなんかと比べようもありません。だから決められないから取り敢えず1G。でも私はこの腕輪にいくら払ってもいいと思ってます。なんなら全財産と言わず一生払いきれない借金をオーマにしてでも欲しいです」
「大げさな」
たかが120Gの商品に何を。
「借金だとは思いませんが貸し借りと言う意味ではこれでパーです。ところでこの腕輪は『ヒメは俺のものだ』って言うオーマの独占欲を―――」
「深読みしすぎだ」
「と、とにかくこれで解決っすね・・・・・・」
シャルは呆れたようにそんなことを言うが、きっとこうなることを予想していたのだろう。だが、これで納得していいものか。
「オーマ様を恩で繋いでおく作戦が・・・」
「オーマが人を背負ってなければ今すぐ押し倒せるのに!あの時投げてしまった自分が憎い!」
・・・納得しておこう。
「オーマは欲しい物とかないですか?私全力で用意しますよ!そ、その、私の・・・もにょもにょ・・・とかでも・・・・・・・・・」
途中から尻すぼみになるヒメの提案。要求したら本当にくれたりしそうだ。あーそこで選択肢は出なくていい。鎮まれ俺の選択肢・・・。
「ふう、恥ずかしがるなら言うなよな」
結局何を悩んでいたのやら。まあ、吹っ切れたみたいだしいいか。
―アイテム変化―
『木の腕輪』→『魔王の腕輪』
防御力 2→50
スキル追加
『魔王の加護』『魔王の盟友』
『魔王の加護』
全状態異常を無効化する。戦闘不能になってもHP、MP満タンで復活する(戦闘中一度のみ発動)。
『魔王の盟友』
戦闘エリア内における魔王の名を冠する者の数だけステータスが上昇する。
選択肢を抑えこむことに集中していたオーマは結果、この変化を知ることは無く。
「オーマ」
「ん?」
「私強くなります」
何かを吹っ切ったようなヒメがそう言う。つまりはそう言うことなのだろう。有言実行というやつ。
「期待しとく」
「はい!オーマは私が守ります」
多分俺がヒメを守るような展開は今後一度として来ないのだろう。俺は心のなかでひっそりと自らの幸運に涙した。
「ん・・・・・・んん?」
「やっと起きたか」
背中で眠っていたリンが気が付いたようだった。
「私は一体・・・?」
(私?)
「何か知らんが気絶していた。今はネクスタの町に戻ってるところだ」
「・・・・・・・」
「ふむ、なるほど。友の愛を感じるよ」
少し沈黙して事態を把握したのか、そんなあほみたいなことを言ってきた。
「オーマのおトモだちだったんですか?」
「いかにも」
「・・・・・・・」
何故かヒメの質問にリンが間髪をいれず答える。多少縁があったのは確かだが友達かと言われると否定したくなるから不思議だ。
「降りろ。自分で歩けるだろ」
「ああ、そうだね」
俺は立ち止まり、リンを降ろす。
「おっと」
リンは地に足を降ろしてすぐふらついた。
「大丈夫か?」
それを受け止めてしまった。避ければよかった。
「ああ」
その状態のまま少しの間、見つめ合う。
「凄い、背景にバラが見えるっす」
「私も見えます」
「僕も見えるよ」
変なことを言うな。俺も見えるけど。
「すまない、思った以上にダメージを受けていたようだ」
今度こそ自分の足で立ちながらリンが言う。
「あう」
ダメージか。ヒメによるものだろうが、その事実は隠滅するとして。
「ところでこの変な人は誰っすか?」
シャルはたまにずけずけと物を言う。
「僕かい?僕はリン=クロスフォード、愛の国から来た愛の戦士さ!」
「藍の国・・・?聞かない国っすね」
「ですよね。私も聞いたことが無いです」
こいつら本気で言ってるのだろうな。
「それで、オーマはリーナ君を楽しませられたのかい?」
「ん?楽しませるってどういう意味だ?」
「遊んでいたのだろう?あの屋敷で。なんでも勇者(♂)と幽霊(♂)の聞くも涙、語るも涙の悲恋ごっこ遊びをしていたとか」
「ああ、だから、あんなに空気読んでたのか」
なんだそれはと突っ込む前に凄く納得した。
「恋の邪魔はしない主義さ!」
どうやらリンはリーナ側から変なことを吹き込まれてそれを信じていたらしい。説明するのも面倒くさいしそれでいいか。
「そんなことしてたんすね」
「そんなことしてたんですね」
「・・・・・・・・・」
だめだ。誤解が変なところに行ってしまう。男の子では無かったことは二人ともわかっているだろうが・・・。そんな目で俺を見るな。
「しかし随分な時間になってしまったな。少し夜風に当たるつもりがえらいことになったものだ」
「話を逸らしたっすね」
「そういえば、気づけば夕焼けが朝日に変わっているね・・・・・・・・・・・あ」
「うん?」
「ああ。すまない。話は変わるが少し君たちに会って欲しい人がいるんだ。付き合ってくれるだろうか」
何かを思い出したようにリンはそんな要求をしてくる。
「どうする?」
そのことについてヒメとシャルに聞いてみるが、
「オーマ様に任せるっす」
「オーマに従います」
「じゃあ、断ることにしよう」
「そうっすね」
「そうですね」
「待ちたまえ君たち」
「ああ、悪いけど、特別深い意味はないが断らせてもらう」
「なるほど、それは一周回って遠回りした果てのOKの婉曲的―――」
「NOだ」
と、断っていると、ネクスタに到着する。
「じゃあ、ここでお別れだな。短い間だったが楽しかったぞ。社交辞令的に」
「あの、えと・・・お元気で」
「では」
「待ちたまえ!!!」
そうやって去ろうとする俺の肩を掴まれる。何だというのか。こいつにしては珍しく余裕がないな。
「頼む。君と僕の愛に免じて!」
「そんなものはない!」
「やっぱりアレな感じなんでしょうか。ちょっとやめてほしいです」
「ないって言ってるよな!?」
「鈴っ!!」
「!?」
何かいけない勘違いをしているヒメに訂正しようとするも、リンを呼ぶ声によって遮られる。ああ、また一つ誤解を訂正できなかった。
「この愚か者!一体今までどこにいたのだ!」
それは怒声だった。駆けてきた小柄な影はリンに詰め寄り、問い詰めていた。
「あっ」
ヒメが声を漏らす。
「ふっ、それはもちろん、この町の為に愛ある奉仕をしていたのさ」
「何が奉仕だ、とんま!そもそも我の護衛であるお前が一日中傍にいられずしてどうする!!」
「おやおや、再会早々熱烈な歓迎だね。余程僕のことが愛おしかったと見える」
「愛おしい・・・。は、ははは・・・、余程貴様、命が惜しくないと見える。・・・そもそも主の前だろう!いい加減、その鬱陶しいしゃべり方を止めんか!!」
「いだだだだだ」
その影の正体、小柄な少年は剣幕荒くリンを責めていたかと思うと、その金髪を引っ張り、無理矢理はがし取った。
「まじか」
「かつらだったんですね」
かつらの下からはかつらと変わらない長さの艶やかな黒髪が現れる。俺はそれに呆気にとられる。いや、髪に気を取られたのではない。
「ふう・・・・酷いではないですか、坊ちゃん」
痛むのか頭を抑える黒髪のリン。話し方が変わっている。おかしい。話口調だけで、髪が黒くなっただけで、完全に女性になっていた。嘘だ。あの愛の馬鹿戦士が滅茶苦茶美人だとか、俺は認めない。
「お前がいつまでもふざけた話し方をするからだ。坊ちゃんもやめろ」
「主様が正体がばれないようにって変装を提案したのでしょう・・・」
「方向が間違っているというのだ!そもそも性格が突飛すぎる!」
そんなおそらく主従のやり取りを呆気に取られてみているとシャルがくいくいと袖を引く。
「どうでもいいっすけど、このままここにいると確実に関わることになるっすよ」
「あ、ああそうだな」
これ以上見ていることも無いかと。シャルとヒメとその場を後にしようとする。
「皆さま、お待ちを」
なのにリンに呼び止められてしまった。リンらしからぬ丁寧な口調に怖気が立つ。なので無視して進む。ヒメが後ろ髪を引かれるようにしていたが、引っ張っていく。
「無視しないでいただきたい」
それでもリンもどきは追いかけてくる。
「何だよ」
「私たちを助けてほしい」
「断る」
どう考えても面倒くさいことになりそうだ。
「そう言わずに」
「オーマ、オーマ、」
「何だ」
「あの子、男の子見てください」
「あいつが何だよ」
腕を組んでむすっとこちらを睨んでいる子供を見る。あれ?なんだか見覚えが。
「お金を盗もうとした子です」
「ああ、確かに」
昨日のことだ、そう忘れない。・・・・・はずなのに、細部が思い出せない。なんかもやっとしているというか、半透明というか、目もとが見えないと言うか、特徴がないことが特徴とかそんなイメージだけが残っている。
目を合わせると向こうも気づいたのか、気まずそうに顔を背けた。あの時の気弱な風貌は見せかけだったのだろう。今は先ほどの居丈高な言動を聞いたせいか堂々とした雄々しさを感じる。子供だけあって背伸びした感は否めないが。
「待ってください、盗もうとしたとは・・・?」
リンがどういうことかと、説明を求める。
「あいつが昨日俺の金貨袋を掏った」
右手の親指でくいっとあの少年を指さす。
「見事な手癖でした」
―――キンッ
「!?」
気づけば剣が交えられていた。いつの間にか細剣を抜き俺たちへと差し向けようとしたリン。その切っ先をこれまた一瞬で抜いたヒメが払いのける。警戒したリンが一歩下がり距離を取る。ということが行われたらしい。
「それ以上はいくらあなた方でも主様への侮辱と取ります」
なるほど。主への侮辱が許せなかったか。こちらがリンの真実の顔なのか。
「待て!鈴!剣を納めよ!」
「・・・・・・・・」
そう言われ、リンはしぶしぶと言った様子で剣を納める。ヒメもそれと同時に剣を納めた。
「オーマ、オーマ」
「何だ」
「褒めてください」
「あーよしよし」
「ん~」
まあ、守ろうとしてくれたんだ。評価しよう。
「主様、何故止めるのです」
「其の方らの言が真実だからだ」
「な・・・・・っ!?・・・・・・・・・・盗みを働いたと?」
「ああ。だがそれがどうした。国の為に当然のことをしたまでだ」
少年はその事実を恥じない心意気を示しているが。
それを受けたリンは、少年の言葉など聞いていないようで、「主様」の頭を押さえつけ、俺たちの方を向かせ、屈みこませ、自分も膝を屈し、
「申し訳なかった!!!」
「ぬぐぐ」
土下座して、土下座させて来た。
良く分からん主従関係だった。
「はあ」
ただわかるのは―――
「ヒメ、さっきこいつを見せて何を言おうとしたんだ?」
「次会ったら、考えないでもないって言いましたよね?」
―――関わらざるを得なくなったということだ。




