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last Eden  作者: 久遠夏目
2010年
39/73

愛が、こわいんだ

 こわいんだ、と彼はつぶやいた。


「何が?」

「失うことが」

「失うこと?」

「愛することが」

「愛すること?」

「愛される、ことが」

「愛される、こと?」


 失うことは、こわい。大切な人がいなくなってしまうことの哀しさを知っているから。

 愛することは、こわい。大切な人を手放したくなくなってしまうことの醜さを知っているから。そして、その人を失ってしまうことのこわさを知っているから。

 それならば、いっそはじめから愛さなければいい。やっぱり、愛することもこわい。

 では、愛されることがこわい、とは?


「どうして愛されることがこわいの?」


 愛されるよりも、愛されないことのほうがこわいのではないだろうか。

 すると、彼はまたこわいんだ、とつぶやいた。それはまるで、神への懺悔のようだった。


「誰かの特別になるということが、こわいんだ」


 自分が誰かを愛するのなら、その「誰か」が失われる対象だ。だから、失うことはこわいし、愛することもこわい。

 しかし、誰かに愛されてしまったら、その「誰か」にとって失われる対象は「自分」となる。


「ぼくが死んだら、ぼくを愛してくれた『誰か』が哀しみ、悼み、泣く。それがどうしようもなく、こわいんだ」


 誰かに愛されることで、誰かの特別になることで、どうでもよかった「自分」が、誰かの「大切な人」になってしまう。それは、確かに「愛されること」の恐怖だ。

 失うことはこわい。

 愛することはこわい。

 愛されることも、こわい。

 それならばいっそ、


「愛なんて、この世になければよかったのにね」


 そうしたら、何もこわくなかったのに。




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