表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
last Eden  作者: 久遠夏目
2009年
25/73

淡い春の記憶

「きれいだね」

「ええ、そうね」


 ふわり、彼女は微笑む。ぼくらは今、桜並木と呼ぶのにふさわしい道を歩いていた。きれいだね、と言ったのはもちろん桜のこと。

 でも、そうね、と言った彼女も桜に負けず劣らずきれいだった。横顔を盗み見て、そんな感想を心に浮かべる。


「君は、桜がすき?」

「そうね、きれいなものはすきよ」

「桜は、きれい?」

「ええ、とても。あなたも、そう思うでしょう?」


 ふわり、彼女はまた微笑んだ。彼女はきれいだ。外見もそうだけど、きっと内面も――そう、彼女はきっと心がきれいなんだ。

 当たり前のようなことに今さら気付き、ぼくにも自然と笑みがこぼれる。


「どうしたの?」

「ううん、きれいだな、と思って」

「桜が?」

「うん。桜も、君も――」


 ふわり、桜の花びらが舞う。あまりの桜吹雪に閉じていた目を開けると、そこに彼女はいなかった。

 あれはユウレイか、はたまた桜の精霊か。どちらにせよ、それはもう二度と戻ることのない、淡い春の記憶。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ