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初心者でも世界を創れますか?  作者: 陽菜
第一章  独り暮らし満喫編
6/41

からくりログハウス

今回は自宅の間取り説明です…。

リアルを追求するあまり、説明過多になってしまいます。

さらっと流した方がいいのでしょうか?

ご意見を頂けると、それによって手直しの編集具合が変わるかもしれません。

 水盤(エンデワース)の横にあったほぼ小部屋に近いクローゼット(恐ろしくて中はまだ見てない・・・)の横にドアが一つ。出てみると廊下になっていて右が行き止まり、左がベランダに続いていた。とりあえずベランダに向かう。


「うわぁ!!」


 テラスのように広いベランダには木製の手すりと畳二畳分ぐらいのガラス製? 簡易温室が備え付けられていた。

 中にはまだ何も置いてはいなかったけれど、階段状の棚が3段あってプランターとか植木鉢とかそういうものが置けるようになっている。

 温室以外のスペースも十分あるからココで花とかハーブを育ててもいいかもしれない。


 どんな植物があるのかは分からないけれど、私の好奇心はむくむくと湧き上がっていた。


 ベランダから下を見下ろすと、まっすぐ出入り口の門まで石畳があって、その両脇をイングリッシュガーデンのように花たちが咲き誇っていた。

 ログハウスと庭と畑を取り囲むように、腰高の深緑の植え込みが塀のようにぐるりと植えられている。花も植え込みも、日の光を浴びて生き生きしているのを見ると私も嬉しくなってしまう。

 右手の方を見ると畑が見える。結構な広さで野菜らしき植物がたわわな実を実らせていた。水の流れる音もするので、近くに川があるのかもしれない。

 視界を遠くに向けると植え込みの向こうはしばらく草原が広がり、右手には森の木々が見える。


 起きぬけに聞いた小鳥の鳴き声は、あっちから聞こえたのかな? 森にはどんな動物がいるんだろう?


 初めて見る景色を十分に堪能してから、廊下に戻る。そしてあることに気づいた。


 階段がない?!


 慌ててベランダに戻って階下を覗き込むと、確かに一階が存在する。どうやって降りるんだろう・・・。

 もしかして、ここでリターンを使うのだろうかとも思ったが、それではあまりにもアホすぎる。いや、女神さまのことだから、それが普通とかだったりして・・・。


 もはや何でもイレギュラーな事は女神様仕様にしようとしていて廊下に戻ったら、行き止まりの辺りの床の様子が何となくおかしいことに気づいた。

 近づいてしゃがんで見てみると、丁度ドアの大きさくらいに床のフローリングに切れ目が入っている。しかし取っ手はない。

 しばらく考え込んでから、何とはなく切れ目の入った床板をコンコンとノックしてみる。

 するとゆっくり、突当りの壁側の板はくっ付いたまま床板が開いた。そして階下に下りるための木製の階段が現れる。


 からくり屋敷みたい!!


 恐る恐る階段を下りる。最後のステップを下りてしまうと、どういう仕掛けだか階段が天井にするすると収納されてしまった。

 天井はノックできない?!パニックになりかけたが、ダメもとで足元の床を踵でコンコンと鳴らしてみた。瞬きしているうちに、またするすると階段が降りてくる。

 部屋を有効利用するためかな・・・? 何にしろ誰かが来てもこの仕組みを知らなきゃ二階には上がれない。・・・もしかして、女神様お手製の簡易セキュリティーなのかしら?二階には水盤(エンデワース)があるわけだし。


 改めて降り立った小部屋を見ると、がらんとしていて、窓が正面と右手にあり、左手にはドアがある。

 という事は、ここは角部屋なのね。わざわざ階段のためだけの部屋を作ったのかな?


 何もないので床を見てみると、さっきの階段への入り口と同じような切れ目が二階への階段が降りてきたスペースの隣にある。大きさも丁度ドアくらい。

 コンコン。ノックと共にゆっくりと床板が持ち上がって、今度は石の階段が姿を現した。ゆっくり下りていくと明かりが点る。蝋燭のようなユラユラとした光ではなくて、でも日本での電灯のような強い光でもなくて、どういう仕掛けだか解らないけど明るい。光源を見ると、白い石のようなものが天井にいくつかはまっていて、それが光を放っていた。


 電気は創ってないから、これも魔法的なサムシング??

 考えたら負けだ、そのうち解るだろう・・・。


 思っていた通り、そこは地下室だった。

 ひんやり肌寒い空気の部屋は石を組み上げて出来ており、いくつかの棚で区切られた広いスペースになっていた。何も入っていないところを見ると、多分貯倉庫になるらしい。

 床には木箱も空のままいくつか積み上げてあり、棚には収穫物を入れるためなのか麻袋も何枚か入れてあった。


 インベントリーもあるのに、こんなに収納場所があるなんて。ここを拠点? にするのなら本当に便利に暮らせそう。

 お野菜かポーションか分からないけど、頑張って貯めよう♪ 

 太陽の軌道が分からないから季節があるのかも分からないけど、冬があるのなら作物を貯めなきゃだしね。後で調べておかないと。


 一階に戻って階段部屋? のドアを開ける。

 割と広め廊下の先には玄関らしき大きなドアがあり、廊下の途中には左右いくつかのドアが並んでいた。

 上から見た限り、そんなに部屋はないような気がしたんだけど・・・、これも女神様仕様??

 《気にしたら負けだ》を合言葉に(それもどうなんだろう・・・)、とりあえず手前の左のドアを開けてみる。

 角部屋らしく窓が配置され、ベッドと小さなクローゼットがしつらえてあった。使った形跡がない所を見ると、空き部屋らしい。

 誰か泊まることあるのかな?


 その向かいの部屋の扉を開けてみると、何とお風呂だった。湯船が備え付けられていて、つるつるした水をはじきそうなカーテンで仕切られており、簡易脱衣場まである。

 湯船に近づくと蛇口らしきものがないが、その代わりに壁に青い石と橙色の石がくっつけてあった。


 ボタン式??


 軽く青い石に触れてみるとそこから湯船の中に向かって水が湧き出した。


 これは、さっきの光を放っていた石と同じ原理?


 仕組みはさっぱりだが、多分そういうものなのだろう。という事はこの橙色のに触ればお湯が出るはず。

 青い石に触れて水を止め、橙色の石に触れてみる。しかし一向にお湯が出ない。


 むぅ。仕組み的にはあってる気がするんだけど・・・、ならば!


 再び青い石から水を出しつつ、橙色の石に触れてみた。すると思った通り適温のお湯が湧いてきた。


 何となくだが、白は光、青は水、橙色は高い熱源なのだろう。だとすれば、多分赤は火で水色は低い熱源と思われる。

 もしこの石?が販売されていて購入可能ならば、かなりの利用価値がある。水がない所でも水は出るし、気温的に寒かったり暑かったりしたら橙色や水色の石がカイロや冷房の代わりになるはず。冷蔵庫や電子レンジもどきだって創れそう。使い捨てならいちいち買わなきゃいけないかもしれないけれど、色々と現代知識が有効に使えそうで楽しくなってきた。


 お風呂の並びの部屋はトイレだった。トイレもお風呂もあって、しかも家の中だったのでほっとする。

 おばあちゃんの小さい頃の話だと、トイレは母屋とは別に独立して作られていたらしく、しかも水洗じゃない。夜中に目が覚めてトイレに行きたい時などは怖くて仕方がなかったらしい。

 ファンタジーな世界だからもしかしたら?と思っていたけれど、大変助かります。

 このトイレも水洗らしく、右手の壁に青い石がくっ付いてる。


 ・・・ココから水が出ると、私ずぶ濡れになるんだけど。


 切羽詰まってから悲惨な目に会うのは嫌なので、なるべく青い石から遠く離れて手を伸ばし青い石に触れてみた。


 ゴーーー!


 水の流れる音が、蓋を閉めたトイレの便座の中から聞こえる。

 蓋を開けると便座の中で水が渦を巻きながら流れて下の穴の中に流れていた。

 よく見ると、便器の中の背側の方に青い石がついてる。私が触れた青い石からは水は出ていない。

 どういう仕様かはやっぱり分からないが、遠隔操作も可能らしい!?

 感動していたら、水が流れっぱなしだったので、慌てて石に触れて水を止める。

 この石を現代社会に持ち込めたのなら、エネルギーや資源問題に革命が起こりそう!!砂漠化だって何とかできるかもしれないわ♪


 トイレの正面、廊下を挟んで角部屋の隣は大きな机と棚と本棚に囲まれた部屋だった。

 本棚にはそれなりに本が納められており、棚にもなにやら瓶や乳鉢フラスコ? みたいなものがずらりと納められている。書斎かな? にしては道具があるのが変。

 何気に本棚に向かい、そのうちの一冊を手に取ってみた。

 背表紙には何も書いてないが開いてみても何も書いてなかった。真っ白の、装丁だけ立派な日記帳みたいな感じ。他の本もパラパラと見てみたが、やはり真っ白。

 棚の方の道具は化学実験に使いそうな道具なので、おそらく此処は調合とか調製とかそういう事をする部屋と思われる。


 できた薬の配合レシピとかを本に書きこむのだろうか?もしそうなら、ポーション調合レシピは自力で見つけるのかな??


 謎は深まるが、おそらく調合や調製は自活生活が軌道に乗ってからだろうし、あの様子ならエンデワースも手がかからないはず。

 この山の山頂がエンデワースの世界とどう繋がっているのかはまだ分からないけれど、人型と係わるのもまだまだずいぶんと先の話。そのうち解るでしょう・・・。

 丸投げ感が漂うけれど、分からないものは分からないし実験しようにもやることが山積みなのだ。怪しいものの順番は後回し!!


 調合部屋(予定)の並びの部屋のドアを開けると、そこはリビングだった。

 正面は庭に面した大きな窓があり、先ほどベランダから見下ろした花壇の花が見えた。その横にレンガ造りの暖炉がある暖炉を囲むようにカウチとソファーが並べられていた。暖炉とカウチの間にはミニテーブル。

 思わず暖炉に向かっていく。


 〇リー〇ッターとかの映画であった暖炉~♪ 


 中にはマキがセットされていて、いつでも火をつけられる状態になっている。

 よく見ると、マキの下に赤く平たい石が置いてあった。

 やっぱり赤は火なのね。点けてみたい誘惑にかられるが、とりあえず今は現状チェックなので我慢する。あとからいくらでも堪能できるから♪

 興奮して見逃していたが、この部屋にも棚と本棚が存在していた。しかし中身は空っぽ。寂しいならそのうち調合部屋から《なんちゃって本》を持ってこよう。


 リビングの正面のドアを開ける。やっと見つけた、キッチン♪

 入ってすぐには二人掛け程のテーブルとイスがあり、壁際には食器棚と普通の棚が設置されていた。食器はシンプルな磁器のものと木製のものが2セットずつ収められている。ポットやカトラリーもきちんとあるし、グラスやティーカップ・マグカップまであった。そのうちお茶碗とか箸も自作しようかな?

 シンクや調理台はダイニングテーブルと向かい合うような対面式。案の定シンクの正面に高く台が作られていてそこに青い石が付いていた。

 反対側には窓があり、その下にコンロとオーブン(中には赤い石と遠隔操作用のボタン用の石が付いていた)。

 窓の上には吊り戸棚があって、中にはフライパンや鍋などの調理道具が揃っている。


 オーブンまであるなら、お菓子もパンも作れる♪


 そして何より私を喜ばせたのは、冷蔵庫の存在だった。やっぱり仕組みは・・・(以下略)だが、二段に分かれた扉付きの大きなの箱?っぽい家具の中に水色の石が設置されていて、中身は空っぽだったけど手を入れると地下室よりもひんやりした。下の箱には水色の石が4個付いていて、さらに冷たい・・・という事はこっちが冷凍庫ね。

 せっかく収穫して調理しても、食べるのが私一人である以上腐らせてしまう可能性がある。少しでも保存できる冷蔵庫の存在は心強かった。

 家具付き賃貸マンションみたいな事になってる気がする。いや、ここまで揃っていないからやはり女神様のお気使いのおかげだ。


 手を組んで目を閉じその場で女神様に感謝して、廊下に戻る。

 そして階段部屋からの正面突当り、玄関のドアを開けて外に出た。

 心地よい風が、サラサラの髪をなでるように滑って揺らす。花壇の花たちが太陽の光を浴びながら小さく揺れていた。


 ファンタジーっぽい外見なのに使いやすい家具や道具たち。なんて素敵な我が家なんだろう♪

 うん、きっと頑張れる!!


 そう心から思って、庭に出るべく足を踏み出そうとし、ある事に気付いた。


「・・・フリル増し増しのネグリジェのままだったー!?」


 最初の一歩はくるりと向きを変え、バタンと玄関のドアを閉める音と共に家の中に消えていったのだった・・・。






今回も最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

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