世界の始まりを創ってみる
まだまだ、設定説明です…。
『まず、この水面が海に当たるものなんだけど、どの辺りに大地を創るか決めたら、手を入れてみて?』
女神様は水盤に手を突っ込むような仕草をして見せる。私は半信半疑で女神様の横に立つと、ドキドキしながらも水面に手を突っ込んでみた。海の部分は水なのに、その先がなんだかフヨフヨしてる。パウダービーズのクッションを握ってるみたい。
『で、クルクル掻き混ぜてイメージを思い描きながら、手を持ち上げて。まだ大地を創る段階だから修正出来るし、だいたいの感じでいいから』
とりあえず、真ん中から創っていいよね?
面倒だから、目玉焼きなイメージで中央に大きな山が聳えてて、その周りを段々となだらかな土地にしていって海に繋がる、みたいな?
掻き混ぜながらイメージを浮かべ、そっと手を持ち上げた。
ポトリと手から雫が落ちた後、水盤の上に薄っすら靄がかかる。
やがてそれが晴れると、そこには私が想像した通りのミニチュアな土地が出来ていた。ただ、水面がまだまだ広いから島みたいにも見えるけど・・・。
目を瞬いて見つめている私に、女神様はふんわりと微笑んでくれる。
『おめでとう。貴女の初めての世界ね』
「ありがとうございます。何だかまだオモチャみたいですけど・・・」
『基礎が大事なのよ。これからカスタマイズ出来るし、新菜の世界がどんな環境なのか、とても楽しみだわ!』
それから女神様は、カスタマイズの仕方を教えて下さった。要はイメージを描きながら創りたい場所に触れればいいらしい。
水面と土地の境目を、土地の広がるイメージで触れると、ふわんと靄がかかってから10㎠程その部分の土地が広がっていた。
もっと細かくカスタマイズしたいなら、スマホの要領で宙を指で拡大するように広げると、水盤の島がシュルシュルと大きくなる。感覚になれなくてビックリしてしまい、慌てて縮小させると、元に戻る。
その様子に、女神様は楽しそうにクスクスと笑った。
『一々創るのが大変なら、基礎だけ創った後に設定して、時間を進めると言う手もあるの。・・・ただこの方法だとランダム要素が高いから、どう変化するのか分からなくて、たまに思いがけない世界になるのよね』
苦笑しながら、女神様はその方法も教えて下さる。タッチパネルのように宙に触れると、文字が現れた。横書きのその文字は見たことがない文字だったけれど、読める。海と平野と丘陵地・山の分布比率を打ち込み、そこから派生する川や湖の数、森林部分の割合なんて言う区分まである。
『生物を誕生させると、環境さえ整っていれば、あっという間に増殖していくわ。基本的なものを創っておけば、進化もしていくし。ただやっぱり、人型の方が増殖し易いわね。
基本的なものを創ると、こっちの項目も増えていくから』
やはり、この状態だと実感湧かないな・・・。まだゲームみたい。
女神様に創造を教わりながら、ボンヤリと思う。
でも、始めちゃたんだから、頑張らないと!
気を引き締め直して、土地に触れたり、設定してみたりするうちに、何とか私の想像に近い世界が完成した。
中央に聳える一番高い山から山脈を広げ、さりげなく土地を三つに分けた。各々の場所に国を起こせればいいなと思ってる。
どの土地も肥沃で水も豊富にあり、森の緑もよく茂っていた。コレなら多分生物も住みやすいと思う。
生物は、私のいる地球の私が知る範囲の動植物をアレンジして配置みた。
ウサギには小さな角があったり、水の中で生活する鳥だったり、熊の胸にある模様がハートマークだったり・・・。
パンの木なんて言う木を聞いた事あるから、それらしいものを植えてみたり(味は分からないけど・・・)。
…まぁ、動物も植物も進化してもらう予定だから、どうなるかは、私にも未知数なんだよね。
何でもかんでも決めてしまったら、成長していけないと思うし、観察してみてその都度修正しよう・・・。
三つの土地にそれぞれの人型を配置する。
人間と獣人(亜人も含む)と魔人。
魔人は魔力や知力に優れ、獣人は身体能力に優れ、人間はその中間な感じで。
その増加率はある程度まで増えたら、低くする感じ。
増え過ぎたら、絶対領土争いになる。
今の所土地は余り過ぎるくらいにあるけど、用心にこしたことはない。私はビビリなのだ。
最初からファンタジーにするって決めてたから、ドラゴンとかももちろんいるけど、魔獣や幻獣なんかはもう一つ離れた場所に小さめの島を創って、その森や山岳部奥に配置してみた。
人型と一緒だと住みにくそうだよね?
早速討伐されたら可哀想だし、滅ぼされても困るし。
飛んで行ったり、海を渡ったりした分は、それも進化って事で・・・。
『さあ、だいたい形になったわね』
女神様は満足そうに大地を見つめて、うなづく。
『この世界の名前は何とつけるの?』
女神様に問われて、考えていた名前を口にする。
「エンデワースと…」
意味はないけど、言葉の響きに私なりの想いを込める。
どうか、平和な世界になりますように。
私の願いを乗せて、世界は今ゆっくりと動き始めた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。