プロローグ?
初心者の初投稿です。
ゆっくりですが、お付き合い下さい。
まだ、育成すら始まっていない、状況説明です…。
気がつくと、真っ白な空間にいた。広くも見え狭くも見えるのて、不思議な感じがする。
やっぱり夢かな?
視線を変えると、さっきまで見当たらなかった大きな丸い水盤が、腰の高さで宙に浮いていた。
脚のない、水が揺らめくテーブルみたいに見えなくもない。
何だろう?これ・・・。
近づいて、覗き込む。
水盤の水は波のように揺れていて、まるで上空から海を見ているようだった。
光を浴びて、キラキラしている。
「綺麗・・・」
『気に入ってくれたかしら?』
不意に声がしてそちらを振り向くと、白くドレープをたっぷり取った緩やかなドレスをまとった、金髪の女性が立ってこちらを見つめていた。
その整った美しい顔には笑みを浮かべている。
『初めまして、長谷川新菜さん』
ゆっくりと優雅な仕草で私に近づいてきた美人さんは、私の隣に立って同じように水盤を見つめた。
『まだ何もない世界だけれど、無垢で純粋で、とても綺麗でしょ?』
世界、という単語には首を捻ったが、綺麗なのは間違いないのでうなづく。
「どうして私の名前を知っているの?貴女は誰?」
『私の名は《アランニール》。分かりやすく言うと、全ての世界を司る唯一無二の絶対神、と言うところかしら?
気軽にアニーと呼んでね』
無邪気な笑顔でそう述べられて、目を見張る。
「絶対神?! って、神様?!」
うなづく所作も優雅に、女神様は私の方に向き直す。
「え?? 何で私が神様のそばにいるの?
これって、夢オチ??」
私の言葉にクスクス笑う女神様。
『当たらずとも遠からず、と言うところかしら?
ここは貴女の夢の中であり、私の創り出した亜空間ね。
実は貴女にお願いがあって、亜空間に来て貰ったの』
そうして、愛おしそうに水盤を見つめる。
『貴女に、この世界を創り出し発展させて欲しいの。つまりは、世界の育成ね?』
「育成って・・・私ゲームでぐらいしかやったことないんですけど・・・」
『そんなに難しく考えなくてもいいわ。貴女の思うように育ててくれればいいの。お願い出来ないかしら?』
少し不安気に眉を顰める。美人てズルい・・・。
「でも私、大学もあるからずっと関わってられる時間が・・・」
『その辺は大丈夫。腐っても神よ?
リアルの貴女はちゃんとベッドで眠ってるし、こちらの時間で何日でも何千年かかったとしても、リアルの時間では一日ぐらいしか経ってないわ』
なんて便利な神様仕様・・・。
イタズラっ子の表情でウィンクする女神様は何だか可愛らしかった。思わず私も微笑んでしまう。
『亜空間にいる間はお腹も空かないし、眠くなったり生理現象も起きないから、思いのままに、育成に励んで貰えるわ。
飽きたら直接世界に降りて、環境を見回ったり世界の住人として生活してみてもいいし』
「え?!」
思わぬ言葉を聞いて、無意識に女神様に詰め寄る。
「直接関わってもいいんですか?!」
私の勢いに少々戸惑いながらも、女神様はうなづく。
『もちろん世界に多大な影響をあたえるのはダメだけれど、貴女はこの世界の創造主になるのだもの。
大いに楽しんで貰って結構よ』
俄然、私の心は期待でウズウズしてきた。
ゲームだとイマイチ惜しかったりする部分も、ここでは修正し放題?!
実はペナルティなしでスローライフしてみたかったんだよね!!
「あの、何処まで育成すればいいのですか? それと、もし修正したい場合はそれも可能なのでしょうか?」
『育成期限も限度も、特にはないわ。
ただ目標として最低人口を五千人まで増やして欲しいの。文化レベルは中世のヨーロッパぐらいかな?
もちろんそれ以上増やしても構わないし、ゲームのように剣と魔法の世界や知能的生命体の世界だってOKよ』
「分からない事や困った時には、連絡取れますか?」
『他の世界も見なきゃだから直ぐにとは言えないけれど、定期的に話しかけるわ。
報告も兼ねてその時に聞いて貰えるかしら?
それと、さっきの質問で修正出来るか? って事なんだけど…』
一度言葉を切って、女神様は私を見つめた。
『答えからすれば、可能よ。
でも覚えておいて?
貴女の創る世界にも、貴女と同じように生きて生活している人たちがいる事になるの。
修正するって事は、そういう人たちも消して無かった事にするって事なの』
私と同じように・・・。
女神様の言葉が心に響く。
修正する事で、ある日突然友達が、家族が何事も無かったように消えてしまったら・・・。
想像しただけで、スーッと血の気が引いて行く。
なるべく、世界の崩壊とか国の存亡とかにならない限り、修正しない方向にしよう!
私は顔を上げて、女神様の顔を正面から見つめた。もう既に心は決まっている。
「何処まで出来るのか分かりませんけど、世界の育成、やらせて下さい」
私の言葉に、女神様は破顔して私の両手を取りギュッと握りしめた。
『ありがとう、承諾してもらえて嬉しいわ』
真剣な表情で私を見つめた女神様は、ふっとまたイタズラっ子の笑みを浮かべた。
『早速育成の仕方を教えるわね。暫くは気が抜けないから、覚悟してね?』
嬉しそうでそれでいてニマニマと人? の悪い笑みを浮かべながら、女神様は何もない空間から百科事典も真っ青な分厚い、しかも立派な装幀の本を取り出した。
あれ・・・もしかしなくても取説・・・。
一筋の汗が頬を流れた。
返事、早まったかな・・・。
早くも私の前途は暗雲が立ち込めてきていた。
読んで下さって、ありがとうございました。