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*涙雲*  作者: CRY
2/2

*涙空*

「最近暑いな~・・・。おいでシフォン!」

最近前にもまして重くなった飼い猫を抱いて、PCの前に座った。PCを見ると思い出す人がいた。

そう、君と出会ったのは、こんな暑い夏の日だった。

*出会い*

 一年前の今日、私は自殺を図った。生きている意味が分からなかった。ただつらかった。

その頃、キャバ嬢として働いていた私はかなりの額を稼ぎ出していた。二十歳になる前から水商売に手を出してからは、休店日以外は一日も休まず毎日店に出た。別に好きでそうしていたわけではなかった。私が幼いころ父親が放火をし、数年間刑務所に入ってから出所したが、戸籍上母と離婚して音信不通になった。四人もの兄弟と、鬱になり働かなくなった母親を養うには相当の額の金が必要だった。

そのため、自分の事はほったらかしにしてがむしゃらに働いた。ひたすら働くしかなかった。幸い、作り笑いで男を喜ばせたり、酒を飲んだその勢いで男から金を吸い取るのは得意だったので、OO店に初めて入ってからしばらくすると、店内の人気キャバ嬢ランキングでも常に1・2位を取れるまでになっていた。もちろんその過程には楽しいことばかりではなかったし、遊びで近づいてきた男にひどい目にあわされたりもした。

そんな私は、金銭面では全く苦労してなかったと言えるかもしれないが、精神的にはひどく追いつめられていたのだった。


 そんな時に、私たちは出会った。

 始まりは、あるネットゲームからだった。私はもともと、ネットゲームを好き好んでするタイプの人間ではなかったのだが、弟に頼まれてPOPの裏技を調べていた。

 「ん~・・・なかなか出ないな~・・・。お??」

 ふと目に留まったのは、『無料!オンラインゲーム~ログイン~』の文字。

 「え~なにこれ怪し~!」

 とは言いながらイラストに引かれてぽちっとクリック。

 「パスワード・・・ID・・・ユーザーネームっと・・・。簡単じゃん!!」

 あっけなくログインを完了してしまい、その日から夢中になってこのゲームを進めることとなった。(このゲームはダンジョン制で、経験値によってLVが上がっていく仕組みだった。一分間にOO%という割合で体力がアップし、それを使ってダンジョンや唐突に表れるイベントを攻略していくのだった。つまり、連続で利用することはできず、一定の時間放っておいて気長にプレーするRPGだ。)私はこのゲームを気に入って順調にLVを上げていった。アクションものが好きな人にはあまり好まれていなかったのだろうか、やめていく人も多かった。けれど、『エール』という一日一度15文字までの文字通りエールを送るための仕組みや、好きな内容のメッセージを一日300通までなら仲間に向かって送信できるコミュニケーション要素があったため私の好みに合っていたのだった。


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