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幼馴染という名の

不備な点があるかもしれませんが、ご了承ください。

そして、最終話です。



 徒歩十秒。

 その秒数が示すのは、俺と風火の家との距離。

 現在、俺はそのたった十秒だけの距離を、いつもの歩き方とは違うゆっくりとした歩調で進んでいる。

 そんな調子で歩きながら周りを見渡すと、一日の終わりを告げるかのように、建物とアスファルトが夕陽によって明るく照らされていることに気が付く。

 いつもそんなことなどに意識を向けていなかったので、数十年暮らしているのに初めて見たような感覚に襲われる。

 そのような感覚に襲われながらも俺は歩き、ゆっくりとした歩調にもかかわらず、すぐに自分の家の前に到着する。

「……変な気分だな……」

 家の前で立ち止まりながら勝手にそう呟き、自宅と風火の家を見比べる。

 俺と風火の家も、夕日と他の建物と同様に明るいオレンジ気味の色へと色を変えており、辺りの風景ときちんと調和している。

 そのように当たり前の調和を放っているのにも関わらず、変な気分を感じる。

 しばしの間何が原因なのかと思案するが、答えは都合よく出てこない。

 俺は頭を掻いてから扉へと再び歩を進め、扉を開けて家に入る。

 答えがうまく出てこなくて少し不満が残るが、あまり時間を掛けてもしょうがない。少し時間を置けば、ふと答えは出るだろう。

 玄関に着いた俺は用心のために鍵を掛け、靴を適当に脱いでから自室のある二階へと階段を上る。

 窓から差し込む夕日によって、二階の廊下は電気を点けずとも歩くには不自由しない程度の明るさを保たれているが、すぐにこの夕陽も落ちると考え、廊下の照明を点けておく。

 俺はそのまま階段を上がってすぐの自室に入り、扉を開け放したまま部屋の窓際へと明かりも点けずに寄り、窓を背に座り込む。

 慣れ親しんだ俺の部屋。

 傷付いたフローリングに白い壁。教科書や文具などの道具を収納させた勉強机。加えてアルバムや漫画をしまってある棚に、敷布団。

 そんな自室を目だけを動かして眺め、俺は「ふぅー」というため息に似た息を吐いて瞼を閉じる。

 瞼を閉じて分かる、漂う虚空。

 家の周りが住宅街なので、車の騒音や電車の騒音など、家の中にいる限りはあまり聞こえない。

 だから、視界を閉ざしたらそんな感覚に触れられたのだろう。

 くだらない答えを見つけ出し、静かに笑い声を溢す。

「ふふっ……。風火の家から帰って来てから、何か変な気分だな」

 笑い声の後に呟いた的確な言葉に、俺は笑みを消す。

 ……やっと、何でこんな変な気分なのか、ようやく理解できたような気がする。

 俺は閉じていた目を開き、開け放たれた扉の向こうに見える明るい廊下を見つめながら思う。

 どうして俺があんな気分を感じたのか、それはシンプルかつ単純な答え。


 寂しさ。


 今日一日、俺はあの二人の女の子に振り回されていた。

正直、疲れて大変だったし面倒や苦労、羞恥にも晒された。

それでもあの二人と一緒にいるのは楽しく、とても騒がしく、別に一日を無駄にしたという風には感じられない。

「……」

 もやもやと頭の中で浮遊していた疑問は、呆気なく解決されるが、結局それが解決されても残るのはもちろん、寂しさ。

 いつも風火と別れた後には寂しさなどは感じられないが、今日はいつもとは違い、面倒な幼馴染に加えてストーカーのクラスメートまでもが加わって騒がしかったから、一人になった時の反動は普段以上だ。

「……」

 俺はまた、目を閉じて漂う虚空を肌に触れさせる。

 風火から借りたゲームをやる気も、部屋でテレビを見る気も本を読む気も無い。だからと言って、学校の勉強や今日の夕食をどうするかなど、考える気も無い。

 ただ、この場に流れる寂しさと、むなしい気配を纏う虚空に触れていたい。それだけが今の俺がやりたいこと。

 この初めて触れるような感覚に、一人酔いしれたい。

 ……。

 沈黙が流れる部屋。

 俺は何も考えずにそんな部屋に一人座り込んでいたが、ある記憶を脳裏に思い浮かべる。

 それはとても暖かく、この場の空気を和らげるような記憶。

 幼馴染である、風火との思い出。

 ……俺と風火の親同士はとても仲が良く、その関係は忙しい時に子供の面倒をお互いに頼み合ったり、家族ぐるみで旅行に行ったりするほどの仲だ。

 そしてその忙しい時にどちらかの家に預けられた子供が、俺と風火。

 初めての出会いは、確か俺が風火の家に預けられた時だと思う。

 記憶は定かではないが、風火の家に預けられた俺は母さんから離れるのが嫌で、必死にしがみついては泣き叫び、母さんとおばさんを困らせた。

 そんな泣きじゃくる俺を見ていたのが、俺と同い年の風火だった。

 風火は部屋と部屋との間のところから泣きじゃくる俺を見ていて、何かを考えを思い付いたような表情を浮かべて顔を引っ込め、すぐにおもちゃの人形を持って俺の元まで来て言ったのだ。

『ねぇ、これで遊ぼうよ』と。

これが風火の、初めて俺に話し掛けた言葉。誰もが幼い頃に一度は使った経験のある、ありふれた言葉。

俺はその誘いに、涙を目尻に溜めながら頷いた。男が女の前で泣いているところなど見せたら情けないと、父さんからよく言われていたから、その影響で涙をこらえて頷いたのだと思う。

母さんにしがみついていた俺は自分から離れ、風火のおもちゃが置いてある一階でそのまま一緒に人形で遊び、そこで友達になったのだ。

 そして何度かお互いで遊び、十何年の歳月を得て現在の関係となった。

 しかし、昔の風火は今思えばかわいかったと感じる。現在の風火は何があったのか知らないが、変態じみた発言と行動が本当に邪魔だ。それさえなければ、どれだけマシか……。

 風火と出会った時のことを思い出した俺は、閉じていた目を開けてため息を溢す。

 さっきまで肌に触れていた寂しさは、暖かな記憶を思い出したことで先ほどよりも和らぐ。

「……まったく、あの幼馴染には手を引っ張られっぱなしだな」

 初めてあいつと話した時も、広戸と友達になれた時も、今日みたいな騒がしい一日なったのも、全部風火が俺の手を引っ張ったからだ。

「今もまた、手を引っ張られたしな……」

 そう呟き、見上げる。

 直接的には無いにしろ、寂しい気分に満ちていた周りの空気を少し明るくしてくれたのだ。手を引っ張ってもらったとしか言いようがない。

 もしも今まで風火に引っ張ってもらっていなかったら、俺はどうなっていただろう。

 きっと、風火との関係もここまでの関係では無いはずだし、広戸との関係も無かった。今日の騒がしい日も、今の俺も……。

 その時、階段を上る際に発生する、あの軋むような音が耳に届いてくる。

 俺はその軋む音がする方向、開け放たれた部屋の扉を見つめる。

「噂をすれば影……か」

 俺が声を漏らすと同時に階段の軋む音は治まり、開けっ放しの部屋をこっそりと覗くように、見知った幼い顔が現れる。

「部屋の電気も点けずに、なに感傷的になってるの?」

 幼い顔立ちに、子供がイタズラをする時に浮かべる楽しそうな笑顔を浮かべながら、風火は訊いてきた。

 俺は風火が浮かべる楽しそうな笑顔を直視し、頬をほころばして答える。

「だったら空気を読んで、感傷的な幼馴染をそっとしておいてくれよ」

「やだよ。私は響野が落ち込んでるところとか、暗くなっているところとか見たくないもん」

「お前は男の心理というものを、一度理解したらどうだ? そうすれば俺からの評価も少し上がるぞ」

「残念だったね。私は男の人の心理を知る気も無いし、むしろ知ったとしてもそれを実践する気は無いよ」

「光丘響野の中で、水川風火に対する評価が下がった」

「逆に水川風火の中での、光丘響野の評価がかなり上がった」

「……お前の中で、俺に対する評価が上がる理由がうまく分からないんだけど」

「理由は簡単だよ。だって響野の中での評価が下がっても、私の中での評価が上がればプラスマイナスゼロでしょ」

「見事なポジティブ発想ですね」

「頭を低くして、私のことを称えてもいいよ!」

「丁重にお断りします」

 そう返した途端、こっそりと覗いていた風火は吹き出し、お腹を抱えて笑いながら部屋に入ってくる。

「あははは!」

「何でお前は一人で笑っているんだよ? ついに頭が壊れたか?」

「あはは、壊れてないよ。どちらかと言ったら、私と素直に付き合ってくれない響野の方が壊れてるよ」

「蹴っ飛ばしてあげようか?」

 俺が首を傾げて問い掛けをぶつけると、風火はお腹から手を離して、笑ったことで出てきた涙を拭う。

「痛いから蹴らないでよ」

 そう言い俺の隣まで来て、肩を並べるように腰を下ろす。

「……」

「……」

 隣に騒がしい幼馴染がいるというのに、物音一つしない静かな時間が流れる。

 その騒がしい幼馴染である風火は俺と肩を並べて座り、にっこりと落ち着いたような笑みを作って薄暗い部屋の天井を見上げ、俺はさっきと同じように、明かりが点いた正面の廊下に視線を送っている。

数秒経ち、先に静けさを破ったのは騒がしい幼馴染ではなく、感傷的になっていた俺だった。

「……静かだな」

「……そうだね」

 息を吐くように呟いた俺の問い掛けに、隣にいる風火は余計な言葉を付けることなく、はっきりと答えてくれる。

 だが、俺がそのまま黙ると会話のきっかけは断たれ、再び薄暗闇の中で静寂が流れ出す。

 ……。

 何をしたいんだ、俺は……。

 風火と話しをしたいなら、いつも通りのように気軽に話し掛ければいいだろ。風火をいじりたければ、何かいじるような話題を振ってやればいいだろ。

 自分が何をしたいのか分からず、自己嫌悪に陥る。

 一体俺は、何をしているんだ。一人になった時の寂しさを変に意識したり、話したいのに話そうとしなかったり……。

 俺は正面の廊下から視線をずらし、風火と同じように薄暗い天井を見上げる。

 隣にいるのはただの幼馴染なのに、これじゃあまともに風火と話せない。

 何が原因だ? 今日が騒がしかったからか? 昔のことを思い出したからか? それとも……。

 考えるのを、やめた。

 原因を考えているうちに、想像もしたくないことが俺の頭をよぎったからだ。

 ……ありえない。俺がそんなことを考えるなど、絶対にありえない……。

 浮かんできたそれは、普通に解釈したら嬉しい代物だ。しかし、それは隣にいる奴などには浮かべさせたくも、解釈もしたくない代物だ。

 俺は力強く目を瞑り、それを頭から追い出す。

 間違った想像をいつまでも、頭なんかに入れる必要は無い。くだらない考えは頭に入れなくても大丈夫だ。

 辺りに流れる静寂に包まれながらそれを頭から追い出すと、聞き慣れた声がする。

「ねぇ、響野。何か思い出すよね」

「……いきなり何だよ? お前も感傷的な空気にやられたか?」

「ははは、そうかもね。こう静かで二人だけだと、やられちゃうね」

 首を回して隣を見てみると、さっきと同じように風火は笑顔で天井を見上げている。

 その横顔を、俺は真っ直ぐと直視する。

 小さい頃とあまり変わらない幼さが残る輪郭に、子供みたいにキラキラと純粋そうな瞳。ショートカットの髪は少し揺れ、さらに幼さを際立てると共に明るい雰囲気を醸し出す。

 そこらにいる妙にめかし込んだ女の子よりもかわいくて魅力を感じ、長年付き合ってきたからこそ分かる、まっすぐで子供みたいに自由奔放な性格。

 その横顔を真っ直ぐと直視して観察していた俺は、はっと我に返って慌てて正面に向き直る。

 見惚れていた……。

 信じたくはないが、今俺は十五年間共に付き合ってきた幼馴染に、見惚れてしまっていた……。

 理由は、分かる。

 俺は先ほどまで信じたくなかった事実を、逃げずに自覚する。


 俺は風火のことが、好きだったんだ。


 認めたくなかったこの真実。だが、この真実を知って俺の中にあったわだかまりは、薄れた。

 正面に向けていた視線をまた、風火の幼い横顔に送る。

 相変わらず、こいつは上を眺めたまま嬉しそうな笑みを溢している。

 それを見つめて一瞬小さな笑顔と笑い声を漏らしてから、静かに会話を始めさせる。

「そう言えば、昔この近くの公園でお前と一緒に遊んだよな」

「うん、そうだね。私が響野のことを誘って、よく遊んだよね」

「まあ、あれは誘ったというよりも、無理矢理連れ出したっていうのが正しいけれどな」

 風火と一緒に公園で遊んだ時、どちらかと言ったら、俺はあまり乗り気ではなかった。だけど風火はそんな俺の気持ちなど考慮せずに、家から無理矢理引っ張り出したのだ。

「……あの時は、本当に困ったんだぞ。公園に行かないと俺が言ったら、思いっきりお前は泣き出した上、何度も何度も俺のことを叩いたんだからな」

「それは叩くよ。だって私は響野と一緒に公園で遊びたいのに、一緒に遊んでくれないんだもん。でも普通に楽しかったから、良かったじゃん」

「そうだけどさ」

「なら、結果オーライだよっ!」

 笑顔で見上げていた風火は、その笑顔を俺に向けて嬉しげな口調で言う。

 そんな風火の笑顔に、俺の心臓が大きな鼓動を打つのが分かる。

 ……やっぱり、俺はこいつのことが好きみたいだ。

 俺は少し頬を緩ませ、口を開く。

「ああ。楽しかったなら、問題なんて無いな」

「うんっ!」

 同意の声を俺が返すと、風火は大きく頷いてくれる。

 ……。

 風火が頷いてからしばらく黙って俺が風火を見つめていると、急に風火は不思議気に首を傾げ、訊いてくる。

「? どうかした、響野?」

 不思議気な表情を見て、俺は言う。

「なあ、風火。もし俺が――」

 その時、俺の頭に一筋の不安がよぎり、声が途絶える。

 このまま俺が風火に告白したら、風火は頷いてくれるだろうか?

 こいつはいつも、俺のことが大好きで付き合いたいとか言ってくれている。だけどもし、それがふざけて言っていたらどうだろうか? 風火のふざけを真面目に受け、この幼馴染関係が壊れでもしてしまったら……。

 喋っている最中に言葉を途切れさせた俺に、風火は不思議気な表情のままで言う。

「何? 響野?」

「いや、なんでもない」

 言葉を途切れさせた俺は、両手の平を前に出して、なんでもないという動作を表す。

 そんな俺に、眉をひそめさらに不思議そうな顔をして、風火は見つめてくる。

「本当? 明らかに何かを言い掛けていたような……」

「大丈夫だ、大したことじゃないから」

 焦るような口調で俺は風火に弁明するが、風火は追及の手を緩めない。

「大したことが無くても教えてよ。気になるじゃん」

「風火にはどうでもいいことだから、気にしなくていいよ」

「それでも教えて! 私はどうでもいいことを聞くのが好きだからさ」

 顔の前で手を合わせ、風火はお願いをしてくる。その姿もかわいらしいのだが、俺が考える最悪の結末を迎えた場合、その姿を見られなくなるのではないかと思えてきてしまう。

 頼み込んでくる風火に、俺は顔を扉に向けてから答える。

「本当に大したことでもないから、お前は気にするな!」

「……分かったよ」

 風火の追及に思わず強めな口調で返事をしてしまい、追及をしていた風火は弱弱しくうなだれる。

「……」

「……」

やっと楽しく話せたのに、気まずい静けさが漂い出す。

……俺は、何をやっているんだ……。

風火と話したいのに、風火と笑い合いたいのに、風火が好きなのに。

俺は、どうしてこんなにも怖がっているんだよ。

怖がる自分に情けなさを感じ、力強く握りこぶしを作り、俯く。

俺の気持ちを伝えた瞬間に今の関係が壊れてしまうのではないかと、そのことを考えるたびに不安は募って行く。

……くそっ。

何で、何で俺は、一人で進めないんだ。

自分の気持ちに気が付いて、最後に自分の気持ちをただ伝えればいいだけなのに、最後の一歩をどうやっても踏み出せない。

臆病者。

その言葉が、今の自分にぴったりだ。

一人では怖くて前に進めない、臆病者。

好きな人にも、今の関係が壊れるのが怖くて好きって言えない、臆病者。

俺は自分を責め、段々と握る手が強くなる。

前に。前に一歩進むだけなのに――。

そう強く思った時、俺の握りしめるこぶしに何か柔らかく温かいものが触れる。

「風火……?」

 顔を上げて隣にいる風火を見ると、俺のこぶしの上に片手を優しく重ね、うなだれていた頭を持ち上げて風火は口を開く。


「私は、響野のことが大好きだよ」


 嘘偽りを微塵も感じられない口調で、風火は言い切る。

「……」

 それを聞いた俺は、言葉を失って呆然と風火に視線を送る。

 いきなりこいつは、何を言っているんだ?

 突然の発言に、握るこぶしは緩む。

 呆然とする俺に横目を遣り、風火は笑顔を浮かべる。その間も、俺の手に手を重ねる。

「意味の分からなさそうな顔をしてるね。なら仕方がないから、もう一度言ってあげる。私は響野のことが、大好きだよっ!」

「……」

 表情を変えずに黙っている俺を見て、風火は頬をぷぅと膨らませて不機嫌に言う。

「響野は鈍感なの? 今まで私の言ってたことは理解できたのに、何で今の言葉は理解できないの?」

「いや……その……」

 どうしてこんなタイミングでそんなことを言ったのか、頭の中ではまだ理解することができず、混乱状態に陥る。

 混乱して言葉をうまく出せないその姿を目にした風火は、ため息を吐いて頬をしぼませ、呆れた表情を作ってから咎める。

「何で分からないの? 誰にだって分かる単純な発言なのに」

「そんなことを言っても、お前が急に変なことを言い出すから、頭が付いて来ないんだよ」

「変なことじゃないじゃん。どこからどう見ても、見事な直球何だけど……」

「う~ん……」

 唸って俺は考えるが、結論らしきものは出てこず、早々ギブアップをする。

「本当に分からないから、教えてくれよ」

 すると、風火は二度目のため息をこぼしてから俺に顔を向き直し、真剣な眼差しになって答える。

「響野のことが大好き。何の捻りも無しに、言葉通りの意味だよ」

「……」

 俺の目の前に映る真剣そのものの風火の眼差しが、言葉の意味を教えてくれた。

 ……俺は、バカだ。

 風火は嘘や冗談で俺を好きだと言っていたのではなく、心の底からそれを言っていたのだ。

 なのに、俺は今の関係が壊れるのが怖くて……。いや、壊れるのが怖くてじゃない。


 今の関係が、前に進むのが怖かったんだ。


 風火と過ごすのは楽しく、喧嘩をしてもすぐに仲直りできるこの幼馴染の関係は、とても居心地がよかった。

だけど、もし前に進んだことによって居心地のよいこの関係が変わってしまったらと思い、俺は目の前の事実から逃げていたのだ。

 だからこそ、俺は風火の気持ちが嘘ではないかと思い込んで、わざと進ませないように目を逸らしていた。このままの関係を続けさせたくて……。

 でも俺は、気が付かされた。風火の真っ直ぐな気持ちによって、前に進めない訳を気が付かされたのだ。

……また、俺は引っ張ってもらったんだな。ならば、今度は俺がそれに答える番だ。風火にずっと手を引いてもらうんじゃなくて、俺からも手を引いて、一緒に前へと歩きたい。

俺は風火の手が重なるこぶしを広げ、手と手をただ重なり合わせるのではなく、その手を優しく、しっかりと握りしめて口開く。

「ごめん、風火。俺、分かったよ」

「……」

 風火は言葉を紡ぐ俺の瞳を見つめ、口を閉じて耳を澄ます。

「自分の気持ちに、風火の真剣な想い。たぶん、前々から俺の気持ちはそうだったのかもしれない。けど、気が付いてなかったんだ」

 幼馴染の関係だからかもしれないが、今思えばずっと俺は風火のことだけを見てきて、風火のことばかりを考えていた。

ちょっとした風火の表情や仕草とかに目が行ったり、どうしてあいつはこんなにも面倒なんだ、とかいつも考えていたりした。

俺が風火のことを気になっていたのは、昔からだったんだ。

「それで、俺は初めてその気持ちに気が付いた。昔から芽生えてた、その気持ちに」

 目の前に映る、風火の幼い顔立ちと真面目な表情。しかし、幼いと言っても、女の子らしい顔とそれらしい雰囲気になっている。

 俺は一度瞼を閉じて息を吸い、心を落ち着かせる。

……俺も風火も、小さい頃と違ってちゃんと変わったんだよな。

落ち着かせた心の中でそう呟き、意を決して想いを口走らせる。


「俺も、風火のことが大好きだ」


「⁉」

 風火は真面目な表情を崩して目を見開き、息を飲む。

 先ほど手と手が重なったように、俺が風火の唇に自分の唇を重ねたからだ。

 一体、どれくらいの間唇が重なったか、定かではない。

 だが、それを意味するのは何なのかは分かる。

 俺が行ったこんな強引な行為を、受け入れてくれたのだ。どんなにバカでも、その意味は分かるはずだ。

 永遠に続けたいという思いを押し殺し、俺は風火の唇から自分の唇を離す。

「……嬉しいよ、風火」

「どうして? これは当たり前の答えだよっ!」

 キスをする前に浮かべた驚きは消え去り、風火は笑顔で言い切る。

「ああ。当たり前だよな」

「うん!」

 俺も微笑みを自然と作りだし、同意の言葉を返す。

 俺と風火はたった今、仲の良い幼馴染を卒業した。

 今の俺たちは、恋人同士の幼馴染。

 お互いの想いが、ついに叶ったのだ。

 手と手を一層握りしめ、真っ直ぐお互いを見つめ合っ――。


「……響野、私も恋人にして……」


「「ふぇっ⁉」」

 俺たち以外の突然の声に、二人そろって間の抜けた声を上げ、声の主へと振り返る。

「二人だけ幸せになるのはズルい……」

 声の主は、扉の影からこちらをジト目で恨めしそうに凝視し、もう一度声を出す。

「や、山紙……⁉」

 クラスメート兼ストーカーの山紙が、なぜか扉の影からこちらを恨めしそうに眺めていた。

 存在を気が付かれた山紙は、隠れて覗くのをやめて姿を現し、ジト目のままで言う。

「ずっと二人のことを見てた……。気まずい空気が流れているところも、響野が水川にキスをしているところも……」

「「⁉」」

 その発言に、俺と風火は顔をぼっと燃えるように真っ赤にする。

 こいつはそんなところから見ていたのかよ! しかも、俺と風火がキスをするところって……。

 先ほどの状況を思い出し、第三者視点になったつもりで考えてみると、のた打ち回りたいくらいに恥ずかしいことに気が付く。別に風火とキスをしたことが恥ずかしいのではなく、正確には誰かが見ている中でそんなことをしたことが恥ずかしい。

 俺は顔を真っ赤にさせたまま、ジト目の山紙に慌てて言う。

「何でお前は、そんなところを見てんだよ⁉」

「私が偶然、ここにいたから……」

「偶然こんなところにいるっていうのは、常識的にはありえないよね⁉」

「あり得る……。偶然家の鍵が開いてて、偶然二階から声がして、偶然部屋の中を見ることができて……」

「過程の問題じゃなくて、常識的な問題何だけど⁉」

「これが私の、響野に対する常識……」

「俺に対しての常識を、きちんと正してくれない⁉」

 世間一般的な犯罪行為が、俺に対してだと当たり前になってしまうのは、不条理極まりない。せめて犯罪は許されない程度の常識まで、俺に対しての常識をランクアップさせてほしい。

 山紙と対話を終えた俺は、真っ赤になった顔を戻すために息を吐いてリラックスし、山紙に改めて話す。

「とりあえず、お前が不法侵入したという件は置いておき、それよりも先にお前が最初に言った言葉についてなのだが……」

 ジト目から普段通りの無表情に戻り、山紙は首を傾げて俺に訊いてくる。

「どの言葉……?」

「お前が俺の恋人になりたいっていう言葉」

「それがどうしたの……?」

 俺は無表情の山紙の視線を受け取り、少し申し訳ない気持ちになりながらも説明する。

「俺は風火と付き合うことになったから、お前とは付き合えないんだ……」

「安心して、響野……。そんなこと、私にとって問題無いから……」

「いやあるよ、山紙さん⁉ 響野は私の彼氏だよっ⁉」

 顔を赤めていた風火の色は、急速に冷却されて通常時に戻り、とんでも発言をかました山紙に、当たり前な反論を申し出る。

 しかし、山紙は特に悪びれることなく返答を返す。

「あなたの彼氏だからって関係ない……。結論を言えば、響野がオーケーを出せばいいだけ……」

「私のことが好きな響野が、そんなことにオーケーを出すわけないじゃん!」

「……すまない、風火」

「えっ?」

 座り込んでいる俺の首筋に、手刀を添える山紙。

 風火と山紙が話し終えた後、一瞬で俺との距離を詰め、現在の状態になったのだ。

 隣でその光景を見た風火は、うろたえながらサッと立ち上がり、膝立ちになっている山紙に言う。

「や、山紙さん! それはズルいよ!」

「こんなことになったらもう、ズルいも何も無い……。恋は力がすべて……」

「恋は戦争みたいな感じで言わないで⁉ というか、私の彼氏になった時点で終わりでしょ⁉」

「誰かに取られても、すぐに奪い返せばいいだけ……」

「普通に考えたらダメだよね⁉」

「私に普通な考え方は通じない……」

「何その理屈⁉」

 風火は声を乱して驚きの声と共に反論を返すが、山紙は眉一つ動かさずに平然としており、傍から見れば余裕そうな山紙が優位に見える。

 すると、山紙は俺の首筋から手刀を離し、ゆっくりと立ち上がる。

「恋は力がすべて……。響野を手に入れる方法に、手段は無い……」

「響野はもう、私の彼氏なのっ!」

「響野が誰かと付き合うのには、制限は無い……。だから私と付き合っても平気……」

「良くないよ!」

 ……。

 どこからどう見ても、明らかに風火は押されている。むしろこの状況で押されていないと言ったら、逆にどういう状況が押されている?

 そんなことより、山紙を諦めさせるためには一体何をすればいいんだ?

 はっきりと断ったとしても、山紙は何でも力ずくで解決しようとするし、うまく言いくるめようにも、こいつと口論で勝てる気はしない。まず、こいつには常識が通じない。強行手段を取られてしまえば、なすすべが無い。

 だからと言って、話の主軸である俺が黙っているわけにはいかない。

 彼女である風火を助けるためにも、何か助け舟を出さなければ。

 俺はそう決めてからゆっくりと立ち上がり、二人の合間を抜けるように歩いて部屋の電気を点け、苦笑い気味に言う。

「ははは……。とりあえず、二人とも落ち着いて」

 一度この状況を落ち着かせるために、俺は二人に休戦を提案する。

だが、二人の視線はこちらには向かず、お互いの間でバチバチと火花を散らしている。

「……おーい、二人とも? 俺のことを無視――」


「「響野は黙って!」」


 息がピッタリな重なる声に、俺は黙らされる。

 ……こんな状況でも、本当に仲が良いな。

 呆れたため息を吐いてから俺は言葉に憂いを含ませ、彼女である風火に訊く。

「……と言うか、何でお前までもが俺を黙らせるんだよ? どちらかと言えば、お前は俺の味方だろ?」

 立場的には、俺と風火は恋人同士。ならば俺が山紙に奪われそうな場合、風火は俺が奪われないように抵抗する側のはずだ。

 なのに、なぜ山紙を加勢する発言をこいつがするんだよ?

 俺に尋ねられた風火は、山紙をビシッと指差しながら疑問を解消させる。

「彼女である私自身が響野を守らないと、山紙さんに負けた気分になるでしょ!」

「思いっきり個人的な理由ですね⁉」

 深いわけがあるのではなく、ただ単に個人的な理由。

 俺の気持ちも、きちんと考えてください……。

 彼女である風火によって俺の運命は不確定となり、深い息を吐くと、風火は再びツッコミを入れたくなるような発言を放つ。

「響野は私の彼氏。要するに、私の所有物なんだからね!」

「お前の恋愛関係、歪んでるから少し直してくれない……?」

「彼氏の頼みでもやだ。それよりも、私の頼みだけを聞いてよ」

「何お前⁉ 俺の頼みは聞かないくせに、お前の言うことは聞けっていうの⁉」

「そうだよ」

「そうだよ、じゃないよ⁉」

「声を荒げないで、冷静になりなよ」

「なら、あまり無茶苦茶なこと言わないで⁉」

「無茶苦茶? 私は彼女ならではの、当たり前のことを言ってるはずなんだけど?」

「その解釈は、一体どこから仕入れてるの⁉」

「それは企業秘密だよ。女の子には秘密が重要なんだから」

 風火はパチリとウィンクし、そのウィンクの先にいる俺は頭を抱える。

 ……俺は本当に、どうしてこんな幼馴染を好きなってしまったんだろう……。

 頭を抱える俺をよそに、二人の会話はさらにエスカレートする。

「とりあえず、響野は私のことが大好きなんだから、山紙さんが出る幕は無いよ!」

「それは後からでも修正がきく……。一番の問題は、響野のことをどれだけ分かるか……」

「だったら断然私の方が上だよ! 私は長年響野と付き合ってきたんだから!」

「幼馴染でも、響野が最初に身体を洗う部位を知らなかったでしょ……」

「そ、それは、山紙さんが響野の風呂場を覗いたから知ってるんでしょ!」

「大好きなら、それぐらいするのは当たり前……」

「ふぐぅ……。で、でも、響野の小さい頃のこととかは、全然知らないでしょ!」

「むぅ……。なら、あなたは今の響野のパンツを知ってるの……?」

「へぇっ⁉」

「私は知ってる……。黒色のトランクスで、柄にはドクロなどがプリントされている……」

「むむっ……」

 ……。

 やめてくれませんかね? この会話。

 明らかに俺に対する嫌がらせにしか思えないんですが、勘違いですかね?

 頭を抱えて黙っていたが、俺は手を頭から離してから悲痛な声で二人に告げる。

「できれば、俺の部屋から出てそう言う話をしてくれ……」

 だがもちろん。二人は俺の声を、耳には入れてくれない。

「響野のパンツのことを知ってても、すでに響野は私の所有物だと言うことには変わらないよっ!」

「だから風火? 人を物扱いしないでくれる?」

「響野はすでにあなたの所有物……。だけどそれがどうしたの……? 夜の営みで響野を満足させれば、それもすぐに私の手に渡る……」

「なあ、山紙? お前も俺のことを物扱いしないでくれる? あと、さらっととんでも発言しないでくれる?」

 さっきからの二人の会話では、俺は人間以前に物のような扱いで扱われており、俺はそれに訂正を加える。

 しかし、二人は全然聞く耳を持ってはくれず、同じように会話を続ける。

「響野は、私に愛を誓ってくれたの! キ、キキ、キスまでしてくれたんだよっ!」

「そんなの、私でもやろうと思えばできる……。それで満足ならあなたは彼女失格で、響野の所有権は私のものになる……」

「何言ってるの! 響野はずっと私の所有物だよっ! 山紙さんには渡さないよ!」

「安心して……。ちゃんとあなたが知らない間に済ませて、私の所有物にするから……」

「す、済ませるって⁉ 私の響野に変なことしたら、山紙さんでも容赦しないよ!」

「容赦はどうあれ、済ませてしまえば必然的に響野は私の物……」

「だ、だったら。先に私が済ませて、私の物にするよ!」

 ……勘弁してくださいよ、本当に……。

 何度も言うように、俺は物ではない。第一、彼氏だからって俺は風火の所有物でもないし、まして山紙の彼氏になるつもりもない。

 口論を続ける二人を眺めていた俺は、短く唸ってから口を開く。

「お前ら――」

 と言い掛けた時、信じられない発言が俺の言葉を途切れさせる。


「「なら、今から私が響野を犯す!」」


 おかしな結論が飛び出してきた。

 たぶん、誰もが予想できない結論だろう。

 そんな結論が、しかも自分に向かって突き付けられたら、俺はどういった対応を取ればいいのだろうか?

 その答えを考え出そうとするが、おかしな結論を突き付けてきた二人が先に喋り出す。

「少し恥ずかしいけど、それが一番手っ取り早い方法だね」

「力ずくなら、私の勝利は確実……」

 ……こいつらは、マジで変態だ。

 心の中でそう呟き、呟き終わると同時に俺は扉から部屋を脱出する。もちろん、背後には例の変態たちが付いてくる。

「響野が逃げ出したよ!」

「分かってる……」

 後ろから声が聞こえてくるが、その声に何の反応を返さず、俺は二階から一階へと降りるための階段を、飛ぶようにして下る。

 そして玄関に駆け寄り、靴のかかとを踏まないよう靴を瞬時に履いてから勢いを殺さずに家を飛び出す。

 捕まれば社会的に死ぬ。例え彼女である風火に捕まったとしてもだ。

 夕陽がほんのりと残る住宅街の中を、俺は全速力で駆け、背後には足音と声で騒がしい。

「待ってよ響野! 私は彼女だよ!」

「逃げないで響野……。あまり手荒なことはしたくない……」

 走りながら発する、二人の発言に対して俺は顔だけ振り返って言い返す。

「ならばお前らが立ち止まれ! そしたら俺も止まるかどうか、検討してやる!」

「検討はダメだよ。確実じゃないもん」

「同感……」

 風火は俺の提案を却下し、山紙もこくりと小首を頷かせ、風火の意見に同意を示す。

 ……だから嫌なんだよ。

「貞操観念は、大切だと思うんだけど!」

「それは個人の自由だけど、今の響野は私の所有物。自由や権限はないよ」

「同じく……。響野は私の物……自由は無い……」

「お前らの性格、さらに劣化してない⁉」

 ……こういう変態たちは。

「過ちを犯す前にまず、お前らは俺の扱いを人間レベルまでに上げてくれない?」

「響野が捕まってくれたらいいよ!」

「響野が私に犯されればいい……」

「代価が不平等な、等価交換だな⁉」

 そうツッコんだ俺は前を向き直り、そのまま走り続ける。

 ……まあでも、こういう騒がしいのは面倒だけど、楽しいんだよな。貞操が奪われそうになるのは嫌だけど……。

「だから響野! 待ってよ!」

「待って……」

「こんな状況で止まったら、俺の身を誰が守るって言うんだよ!」

「大丈夫だよ。満足するまでやるから」

「快楽を味わえば、身を守る必要なんてない……」

「……お前ら、ちゃんとした回答してくれない?」

 ため息を吐き、俺は呟くような声で言う。

 しかも、回答が普通に変態じみている。

 俺は一人静かに唸ってから、すぐに後ろの二人に対して思う。


 本当にこいつらは、変態だ。



 お読みいただき、誠にありがとうございました。

 一週間近く続いたこの作品も、終わりを迎えました。楽しんでもらえたでしょうか? 笑っていただいたでしょうか? 私が見落としていた誤字脱字はいくつ見つけたでしょうか?

 私自身の思いとしては、付き合っていただいたみなさまに数々の質問をしたいところです。

 そしてこの作品をお気に入り登録していただいた方や、感想を書いていただいた方、少し読みづらいこの作品を読んでいただいた方。

 私のような作品を最後まで読んでくださいまして、本当にありがとうございました。

 初めて掲載した作品に評価をしてもらうのは、やはり嬉しいです。今後とも作品を掲載してみたいと思いますので、駄文でありながらもよろしくお願いいたします。

 この度、私の作品を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

 物語もキャラクターも、きちんとした形でみなさまに読んでもらいまして、きっと嬉しいと思います。

 みなさまには、心から感謝を申し上げます! ありがとうございました!


 ……そしてここからは余談ですが、今回終了したアブノーマルガールズも、今後機会があれば続編を書きたいと思います。少し文章帯が変わるかもしれませんが、その時はどうかよろしくお願いいたします。

 今度掲載するのは、ショートのような形でお送りするかもしれませんが、ご了承ください。

 また、掲載日が少し空くかもしれませんが、その点に関してもご了承お願いいたします。

 余談も読んでいただき、ありがとうございました!

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