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All or None  作者: blue birds
9/10

All or None : 序章2:姉妹世界α:リトライ:宮本雪 : none:希望の夢、絶望のきざし

前書き

許してくれないから、自分も許さない。

認めてくれないから、自分も認めない。

そんな、お話です。


前書き

許してくれないから、自分も許さない。

認めてくれないから、自分も認めない。

そんな、お話です。




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人間、生きているだけで幸せって言うなら・・・・・・死んでよ。

君が死んだ分だけ、他人が幸せになれるんだから。


—人間に対する世界の許容性—


broken key-all1


どうしても、一緒にいたかった。

でも、ダメだった。


許さないって、言われた。

だから——————私も、あなたを、許さない。


—世界に対する人間の許容性—



All or None : 序章2:姉妹世界α:リトライ:宮本雪 : none:希望の夢、絶望のきざし



大切な人を、奪われた。

これからの人生を共に歩んで行くはずだった、大切なパートナーを————奪われた。


飛行機事故とか、そんな訳の分からない理由で・・・・・・



「ねぇ、慎也? わたし、どうすればいい? どうしたら、いいの?」



遺体すら、帰ってこなかった。

墜落し、海に叩き付けられた飛行機の機体だって、バラバラだったという。

だったら、生身の人間がまともでいられる理由なんて————




そう。

そうだ。

今の私に残されたのは、彼の遺影のみ。

それは幻影のそれと同じで、現実感が無い。


日だまりのまどろみに身を委ねていれば、どうかすると、ふと彼が帰ってくるような錯覚さえ覚える。




「おとうさんも、おかあさんも、帰ってこいって。ねぇさんにいたっては、絶対に連れ帰るって言ってるの・・・・・・」




子供を身ごもった女が一人、都会でやっていけるわけが無い。

それが、両親と姉の主張だった。そして、それは事実——とまでいかなくても、難しいことであることは、確かだ。


でも。



「此処から始めるって、約束したじゃない! ここからやり直すって、言ったくせに!!! なんで!? なんで、こんな、ふうに・・・・・・」






でも、彼の遺体は海から上がってないんだ。

彼が死んだ証拠なんて、世界のどこにも無いんだ。


ひょっとしたら彼は、運良く助かって、どこかの国に流れ着いているかもしれない。そしたら、今は・・・・・・・そう、記憶喪失とかで、私に連絡が取れない状態にあっても不思議じゃない。

飛行機から投げ出された衝撃で、そんなふうになってるとしたら————十二分に考えられる。


だったら、探しにか無きゃならない。彼が帰って来れないなら、私が迎えにいってあげなきゃ・・・・・・・・そんな、奇跡みたいなことがあれば、彼は、私は!



「バカ! アホ! なんで!? この、うそつきうそつき!!!!」




認めない! 認めない! そんなの、ひどすぎる!

だって、なんで、彼が!? ほめられた人じゃなかったけれど、悪い人じゃなかった。悪いことはしてたけれど、死ななきゃならないほど、そんな罪を・・・・・・・





『大丈夫だよ。彼は、必ず帰ってくるから』




・・・・・・彼は、そんな罪を————え?




『彼は、帰ってくる。彼は運命を超えて、君の元に返ってくるよ。だから、待っていてあげてよ。もうすぐ、彼は君のもとに・・・・・・』




————世界が、光に包まれる。

まどろみが粘性をまし、世界の密度が私を締め上げる。



『世界って奴はね、自分が一番正しいと思ってるんだよ。だから、本来は君なんかが何と言ったって、聞く耳を持たない。ちっぽけな人間の願いなんて、世界に一切の価値がないんだから。

でも、ね?』




苦しい。

息が、苦しい。締め上げられる。ぐりぐりと、締め上げられる。意識が、揺らぐ。

フワフワと揺らぎ、浮かび上がっていく。



『でもね、僕はそんな『世界』を許さない。奴らが人を認めないんだったら、人だって奴らを認めなくていいはずだよね?

だから、救ってあげる。叶えてあげるよ。僕には、それが出来るから。

『君たち』の、『願い』を叶えて————』















光が、ぬくもりが、世界に溢れていた。

ほんの少し目を開くだけで、窓から差し込む日の光が、私を包んでくれているのが分かる。それはきっと、彼が私に残してくれた、ぬくもりだったんだと思う。


————どうやら、うたた寝をしてしまっていたらしい。

ほのかなぬくもりの中、彼の遺影を前にしてしまったからだろうか?


だから、あんな、夢を・・・・・・でも。




「今日も頑張るね、慎也。わたしは、絶対に大丈夫。どんなことがあっても、この子だけは守るから。だから、安心して。ぜったいに、この子を守ってみせる。だから、慎也————」




どこからか見守っていてねと、私——宮本雪は、彼の遺影に嗤いかけたのだった。









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