All or None : 序章2:姉妹世界β:手違いから始まる、黄泉の旅2:菊池大輔 : none
再生の物語が始まります。
ですが、その先に待つのは、all or noneという現実です。
それを踏まえたうえで、読んでいただけたらと思います。
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ー生の定義3:群れの中の個
ー悪意1
自分らしく生きなさいと、学校の教師は僕に言った。
自らの未来を思い描き、そこに向かって努力しなさいと。
君たちの未来は、無限の可能性を秘めているのだとも、言った。
――――――そんなふうに授業を進める教師を視て、僕は思った。
ああ、この人はちゃんと、「教師」をしているのだと。
ー悪意1:社会上の役割を果たす、個の言葉
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ー生の定義3 :個の集合である、群れー悪意1
ある戦犯が、処刑の間際に言い残した一言です。
彼は悲惨な戦争を誘発し、多くの悲しみを生み出しました。
にも関わらず、彼は死の間際まで、自身の行いを顧みることは無かったのです。
「戦争は、なくならないよ。たとえ全世界の人々が戦争を憎み疎んじたとしても、戦争は世界から消え去ったりはしない。
・・・・・・それが、人類の総意であり、選択なんだよ」
―悪意1:数千の個から成る、一個の意志
All or None : 序章2:姉妹世界β:手違いから始まる、黄泉の旅2:菊池大輔 : none
「ほんとうに、ごめんなさい! わたし、なんて謝ったらいいか・・・・・・!」
もう何度目かも分からない謝罪を、死神見習いこと――島蕗鈴は、口にした。
しっかりと頭を下げ、彼は――じゃ、なかったか。
彼女は――、だ。なにぶん中世的な輪郭をしていたので当初は間違ってしまったが、どうやら、俺を此処に導いた死神は、少年改め少女だったようだ。
「いや、もういいって。おれだって、そっちの提案飲んだわけだし。
今回の責任は、あんたと俺で、五分五分でしょ? まあ、あん時はこんな事になるとは、さすがに思わなかったけどね・・・・・・」
彼女は――鈴は一度ピクリと震え、再びスミマセンを口から零した。その後、おまけとばかりに大粒の涙を、これまた大きな瞳にのせた。
彼女の青と金の二色の色が、左右の涙に投影される。
俺はそれを視て、場違いにも「案外涙は宝石か?」なんて考えてしまった。
「まあ、ほんと気にしなくていいから。なんか、今日中に返してくれるって話だしね。
・・・・・・まあ、体が生きてるとはいえ、あの事故だったからな――――――
案外、またこっちに速攻で戻ってくるってことになるかもだけど?」
唇を噛み締める少女をリラックスさせようと、軽口を叩いてみた。
が、返ってきたの言葉は「スミマセン」。
――――いいかげん、うざくなってきた。「そんなんだから、こんな大事しでかすんじゃないの?」と口にしかけたが、やめた。
見てくれは少女でも、相手は死神らしい。
こんなところで変に絡んでを恨み買っても、後々面倒くなるだけだろうしな・・・・・・
※
俺こと菊池大輔は、飛行機事故で命を落とした。
・・・・・・落とした事に、されてしまった。希代のおっちょこちょい、島蕗鈴という死神の失態によって―――と、そんなふうに俺は、彼女と彼女の上司から説明を受けた。
なんでも「実際に死んだ」のは、「宮本慎也」ってやつらしい。
ちなみに、俺の名は「菊池大輔」。まったくもって、別人だ。彼とは、面識すら無かった。
そう、彼の名を知ったのだって、「こっち」に来てからだった。
・・・・・・けども、だ。
「あっち」で面識が無かったかと言えば、そうでもない。
彼の顔写真を死亡確認書で見たが、俺の「隣」に座ってた男だった。
一言二言、会話した記憶がある。まあ、それも所謂社交辞令レベルの会話で、言ってしまえば、それだけの関係だ。
それだけの関係だが、現状を鑑みると、話は別だ。
なぜなら、俺はそいつの代わりに、「間違って死んだ」ことになるのだから。
ただ。
(ただ、この娘が言うには、俺とそいつを取り違えて連れてきたって話だったが・・・・・・けれど、それはおかしな話なんだよな。
だってあのとき、俺は確かに、承諾した。
この娘に、「権利」を渡すと言ったはずなんだが・・・・・・)
あの、絶望的な状況で。
死期を悟った俺の前に、この娘が現れた。
そして、必死の瞳で、俺に訴えたんだ。
「どうでも、いいんだよね? どっちでも、いいんでしょう?
だったら、「それ」をちょうだい。ぜったいに、「それ」が必要なんだっていってる人がいるんだ」
――――そう、彼女は俺に言ったんだ。
生きる権利を、譲ってくれと。
・・・・・・それに、俺は承諾した。
実際に、俺は死のう生きようが、どうでも良かったのだから。
だが、俺がその一連のやり取りを彼女らに伝えた時、
当の張本人である少女は、「そんなことは頼んでない」とか抜かしやがった。
あまつさえ、「そんな事を頼むなんて、いくら私でも絶対にあり得ないです」と。
・・・・・・・・正直、その対応にはイラッとしたが、受け流した。
俺の言葉に驚きを隠せない少女の瞳が、俺にそうさせたんだ。
(彼女が俺に頼んだんだと、思ったんだけどな。
けどまぁ、本当にそうかって言われると、自信がなくなるんだよな・・・・・・)
俺に切実に訴えかけていた、あの時の、「少年」の瞳。
見間違うはずも無い、蒼と金のオッドアイ。そう、あれほど異質な瞳を、見間違うはずが無い。
見間違うはずが無いんだが・・・・・・・
(あのときの「少年」の瞳は、左が蒼で、右が金だった。
それは、間違いないと思う。けど、この娘の、それは――――)
俺は再び、眼下の少女に目をやった。
そんな俺に気いたのか、少女が俺を見上げる。
交差するのは、二人の視線。
そして、俺の瞳に飛び込んでくるのは、「左が金色、右が蒼色」という、記憶にある少年とは左右対称の、でも、記憶の断片を引っ掻くような、そんな不可思議な少女の瞳だった。
※
TiPs~そう遠くない、未来
ある一人の男が彼岸に渡り、命の輝きに触れた。
かつての彼は自身の生に価値が見いだせず、生きる屍として呼吸していた存在だった。
けれど、彼は旅を経て変わった。
それは、手違いから始まった黄泉の旅路だったが、
その旅路の果てに、彼は「生の価値」を意味を見いだした。
そして。
そして、そんな彼岸の対岸で。
もう一人の男が、運命に打ち勝った。
手放せぬ生への執念の果てに彼は。
ーーーー歪んだ生を歩む事を選んだ彼は、彼自身の選択故に、その存在に歪みを抱え込んだ。
抱え込み、苦しみ、悩み抜いた末に、彼はねじれた生の定めを乗り越えーーーー彼は、彼女へとたどり着いたのだ。いや、「彼女ら」へと、たどり着いた。
※
・・・・・・・ふふ。
そこが、この物語のゴールだよ。
今回の物語の、最大の見せ場さ!
さあ、始めよう!僕が連れて行って上げる!
目指すべき場所は、「魂の輝く場所」!
そこには、生を願う2つの魂に、一つっきりの「権利」。
片方の魂は、一度生きる権利を放棄した愚か者で、
もう片方の魂は身の程知らずに死を受け入れなかった愚か者!
始めよう!始めよう!いざ、目指そう!
魂の輝く、その約束の場所でーーーーーーーーーーーーーーその醜さを、思い知らせてやる。
次回は、all編です。




