All or None : 序章1:姉妹世界α:生きる権利の強奪、死せる運命の歪曲:宮本慎也 : All
道理をねじ曲げてでも、生きていたい。
その想いが向かう先は、果たして。
TiPs~俺は、何者だ?
他人の躯を乗っ取って他人を名乗り、他人が属する社会において、他人として生きている。
ああ、俺は、俺じゃない。
・・・・・・でも、この魂だけは、俺のものだ。
これさえあれば、俺は俺だと言える。
そう、これが、おれだ。
他の誰でもない、正真正銘の、俺の、ホントウだ。この、あいつへの愛情だけが・・・・・・
これさえあれば、俺はいつかまたーーー「俺」になれるんだよ・・・・・な?
※
All or None : 序章1:姉妹世界α:生きる権利の強奪、死せる運命の歪曲:宮本慎也 : All
それは一瞬の出来事で、痛みは無かった。
俺を乗せた飛行機が片翼を失い、順当に海へと墜落したーーーただ、それだけのことだたのだから。そう、一言で言えば、それが、俺の最後だった。運が悪かったんだろう。
「・・・・・・」
そこは、海の底だった。光も届かない、深淵の底。
人間の体は浮くというが、俺の死体はどうやら飛行機とともに暗闇へと心中したらしい・・・・・・だからこその、闇だ。身を切るような冷気だけを俺に向ける、真っ暗な世界。
これでは、俺の死体があがることも無いだろう。
それは、「あいつ」にとって、不幸なことなのか、幸福なことなのか。
死体が上がらなければ、「あいつ」はまだ、俺が生きていると信じることが出来る。
いつまでも、信じ続けることが出来る。そう、記憶がーーー俺への、あいつの愛情が薄れる、そのときまで。ゆっくりと、俺を忘れていくことが出来る。
だが、それまでの時間は途方もなく長いものになるだろう。そして、空虚な時間を過ごすことになる。意味の無い、むなしい時間を・・・・・・だ。
だが、死体が上がれば、その時間が「あいつ」に訪れることは無い。
代わりに、俺を失ったという――容赦のない現実を、突きつけられるだけだ。
・・・・・・突きつけられる現実に、あいつは耐えられるだろうか?
容赦のないそれはひょっとすると、あいつの心を砕くかも知れない。
けれど、それを乗り越えさえすれば、あいつは無為な時間を過ごさなくてすむだろう。
代わりにあいつは意味のある時間をーーー「お腹の子」と、歩んでいけるはずだ。
・・・・・・そう、俺と、あいつで、育んでいくはずだった大切な、「俺たちの子」を、たった、ひとりでーーーーーー
『死ねない』
ーーーーたった、一人で。
あいつは、育てていかなくちゃならない。
『死ねるわけが無い』
ーーー無理だろうが何だろうが、あいつは、やらなくちゃならない。
だって、おれは、もう、帰れないんだから・・・・・・
『まだ、終われない』
ーーーー仕方が無いんだ。
『まだ、逝けない』
ーーーー諦めるほか、無いんだ。
『逝けるはずがない』ーーーーーーーーでも、諦めるほか無いんだ!
けれど、死にたくない・・・・・・生きていたいんだよ!
あいつらのところに帰らなければ、いけないんだ!
どうやったらこのご時世、身ごもった女が独りで子供を育てられるって言うんだ! ふざけるな! 俺は、帰らなくちゃならないんだよ!
あいつがーーーー恵美が、いてくれたから、俺は、幸せになれた。恵美に出会えたから、俺は、幸せになれたんだ!
おれは、あいつにでかい借りがある! 返しても返しきれないほどの、恩が残ってんだ!
だから、俺は、あいつに、「お腹の子を幸せにする」って、俺は・・・・・・!!!!!あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
これは、天罰なのか?
なあ、神様よ、これが、罰なのか?
・・・・・ああ、認めるよ。恵水に会うまでの俺は自他ともに認めるくらいの、屑だった。ああ、認めてやるよ。かつての俺は、生きてる価値のない人間だった。意味の無い人間のだった。要らないゴミだったさ。
底辺だった。生きている価値なんて無かった。おれだって、いつ死んでも良いって思ってたよ!
でも、なんで、「今の俺」なんだよ!
俺はもう足を洗ったんだ。今の俺は、違うんだよ! 「あのときの俺」とは、違うんだ! まっとうに、生きようと、してた!
だから、こうして、頑張って仕事してたんじゃないか!
あと少しでそれも終わって、数時間後にはあいつらのところに、俺は、いるはずだったんだ!
・・・・・・帰らなくちゃならないんだよ。
帰らなければならないんだ!死ねない。死ねない。
死ねるかよ。ゆるさねぇ。
ぜったいぜったい、ぜったいぜったいぜったい、絶対に俺は。
どんなことをしてでも、あいつらのところに、かえる。こんなの、受け入れるか。
どんな手段を使っても、帰る。どんなことしてでも、帰る。
どんな、ことでも、するから。
たのむ。死にたくない。死にたくない。たのむ。
俺はーーーーーーーーー、帰れるなら。
あいつらのところに、帰れるなら。その願いが、叶うのなら、どんなことだって、俺はーーーーー
<君の「願い」と覚悟を、受け入れよう>
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エラーコード:01A2の指摘を受理ーーーー解析中です。
了解及び、許可。
gold gateが訂正をパスしました。
アカシックレコードの訂正を開始します。
レコード座標○○における記述を訂正します
オーストラリアー東京ビジネス航空で死亡した人間<宮本慎也>の項目を誤認記述と認めます。ならびに、訂正項目として、<菊池大輔>を提唱――――許可。
gold gateによる修復を開始します。
クリア。これより、物語の記述を再開します。