プロローグ
TiPs~32番目の物語
他人を殺すか、自分を殺すか……
結局、人ってやつは人を殺さずしては、生きては行けないのさ。
だから俺は、他人を殺すことを選んだ。
全ての人間が平等というのなら、自分を殺すことを選んだお前と俺との間には、何の差異もないはずだ。
なのに、お前は救われて、俺は救われない……納得いくかよ。だから、ここで終われよ、「収束点」。ここが、お前の「終息点」だ。
*
All or None
君か、彼かーーーどちらかしか、生存は許されない。
なぜなら、体は一つなんだ。
たとえ体を求める魂が二つあっても、受け入れ先の体が一つなら、どちらか一つしか生を享受できないのは道理だろう?
もちろん、私は君の「生」を肯定するよ?
そもそも君の「死」は手違いから始まり、彼の「生」もまた、同じ場所から始まっているのだから。
だから、私は君を肯定する。
たしかに、「今の君の体の主人」は彼だよ?でもそれは、たまたま主人不在の家に入り込んだ盗人が主人ぶっているだけの話だ。まさに盗人猛々しいとは、このことだよ。
だから、遠慮するな。さっさと追い出してしまえ。
そして、謳歌するんだ。他社の死の上に成り立つ、君の素晴らしき人生のーーー一端をね?