誤算の予感
2日おき投稿スタイルが定着してきましたね( ̄(工) ̄)
「やります!」
俺は決めた。
異世界に行く。
「ホント!?よっしゃー!!転生者確保ー!!」
弓成先生が叫んでるがそれをスルーして質問する。
「んでお約束のチート能力は!?」
俺が異世界に行くのを決めたのはほとんどこれのせいと言っても過言ではないだろう。
弓成先生は妖艶に微笑む。
「魔法が使える体質になるのよ。」
「それで!?」
「いや、それだけだけど?」
なにーー!?
「それチート能力じゃないじゃないですか!周りの人と同じじゃないですか!」
「だって争いもないのよ。チート能力いらないじゃない。それに強い技を授ければ、それだけ大きな力を消費するの。だから最近はチート能力を授けない様にしてるの。」
俺は今まで1人だけズバ抜けて勉強出来た。だから何をしても許されて来た。
しかし今回行く異世界ではそうはいかないのだ。自分の力で生きていかなくてはいけない。
・・・
「やっぱり異世界行くのやめます。」
せっかくのチャンスだがチート能力がないのでは仕方ない。
俺はくるりと背を向け、職員室から出ようとする。
「ちょっと待って!この約束が果たされなかったらこの宇宙は消滅させられてしまうのよ!」
別に俺の知った事じゃないしな。
そして時が止められたままの音のない世界に俺の足音が響き、職員室のドアが閉まる音が・・・
「ビックカツ・・・」
・・・!?
「脅しか!?このヤロー!(2回目)」
形勢が逆転したとみた弓成先生が俺をみる。
「もう異論は認めないわ。さっきの やります って言葉、録音してあるしね。」
くそ~!
なんかこんな奴にいいようにされてるのがたまらなくむかつく。
「まず異世界に転送するわ。異世界に行ってから能力を伝授するわね。さあ準備はいい?」
弓成先生は目を閉じ、手をこちらに向け、何か念じ始めた。
まずい・・・!
そう言って後ずさりした俺は何かにつまずいた。
「うっ! ・・・あ。」
俺がつまずいたものは・・・
俺の悪友、気絶している篠原賢人だった。
すっかり存在忘れてたな・・・
「・・・はっーーー!」
そのとき弓成先生がこちらを向き、手から光線のようなものを発射する。
とっさに俺は賢人を立たせ、その影に隠れる。
「賢人ガードッ!!」
光線が賢人に直撃する。
賢人は異変に気付いたのか、目を覚ます。
「ん?おはよ・・・。え?お!?うわーー!!」
賢人が消えた。
「え?」
弓成先生は状況が飲み込めていないようだ。
「あれ?なんでまだこの世界にいるの?私向こうの世界に移動させたはずじゃ?」
「賢人が盾になってくれました。」
「私達賢人君の存在忘れてたじゃない!」
あいつ・・・大丈夫かな?
「まあいいわ。2人とも異世界に送る気だったからね。それじゃあなたも送るわ。」
「マジかよっ!!」
俺は今度こそ逃げられない事を悟った。




