恐怖の頭髪
俺は時を止めた。
リオン先生が投げたナイフは全て空中で静止している。
俺はとりあえずナイフを全て集める。
そして次になにをすべきか考えていると、次の瞬間世界が動き始めた。
どうやら俺は、まだこの時間を止める能力を扱い切れていないらしい。
確か弓成先生は呪文を唱えていた。
しかし俺は記憶力が良いわけでもなく、呪文の内容なんて覚えていない。
「私のナイフが…消えた!?」
時間が止まっている間に事を行ったので、リオン先生にはナイフが一瞬にして消えたように見えたのであろう。
「ナイフならここにありますよ。」
俺はわざとらしくナイフを見せつけて言った。
「なに!?どうやって!?」
「俺の特殊能力ですよ。時間制御…ですかね?」
うん。思いつきで言ってみたがこれはかなり上出来な理由だな。
リオン先生は頷き、口を開く。
「なるほど。一瞬も気が引けな…」
リオン先生がなんか対抗策をもってそうなので、セリフの途中で時間を止めました。はい。
…卑怯とか言った奴だれだ!!
とにかく!俺はまた時が動き出す前に先生の首筋にナイフをあてる。
そして時が動き出した。
「!?」
「形勢…逆転ですね。」
ギャラリーから歓声が聞こえる。
こうして俺は戦いに勝利した。
戦いの後俺は職員室へ戻り校章と級章をもらった。
クラスはもちろんSだ。
俺はリオン先生と一緒に迷路のような廊下を通り抜け、エレベーターに乗り込む。
この校舎は7階建てになっていて、Sクラスがあるのは5階だそうだ。
「ソウ君。くれぐれも規範から逸れた行動をしないようにね。」
リオン先生そう言うと、1年S組のクラスの扉を開けた。
「今日は転校生がいます。ミヤイチ・ソウ君です。」
俺は先生の紹介を受けて、クラスの中に足を踏み入れた。
教室の中を見渡すと、教室はカラフルに染まっていた。
もっと詳しく言うと、みんなの髪の毛の色が大変なことになってる。
みんなグレてるなー。
サラの金髪はまだ許容範囲だとして、赤とか青とか紫とか。
まるでアニメの世界かっ!!
いやまあ、これも小説だから一応アリなんだろうけど、リアルに髪の色が染まってると怖い。
俺の目の前に座ってる女の子なんか凄くおっとりした顔つきなのに髪の毛の色がピンク色なものだからとてつもなくいかつく見える。
「自己紹介は?」
先生の一言で俺は現実に引き戻される。
「あ、えーと。俺の名前はミヤイチ・ソウです。得意な教科は理科です。よろしくお願いします。」
俺は至って普通な自己紹介を済ませた。
「じゃああなたの席はそこね。」
そう言ってリオン先生が指さしたのは一番前のピンク色の女の子の隣の席だった。
え!普通こういう時って、サラなどの知り合いの隣の席とか、窓際の一番後ろの黄金のポジションになるんじゃないの!?
こういう小説で、悪戯とかが一切出来ない前の席になるなんて思いもしなかった。
そう思いながら、席につき、俺の意識はフェードアウトした。




