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社畜と社畜は惹かれ合う

「っあ゛ー……やっと終わった」


最後に明日の作業分まとめとくか……。現在午前0時。家に帰ってから俺は未だに作業を続けている。俺は他より仕事ができる自負があるし誰かを助けてあげたいとも思う。だが、上司よ。余った業務を全て丸投げするのはダメだろ。なーにが昔は〜だ。今は令和だボケ老害。昭和に帰れ。


「通知……?」


【メール】兄貴!俺結婚しました!


……ついに近所の弟分にまで先を越されたのか。昔はずっとナヨナヨしてたのに幸せそうな顔しやがって。軒並み同級生にも結婚したと連絡を貰った。とりあえずこいつには、おめでとうとでも送っておこう。


「はぁ……今のところ、俺の恋人候補はお前だけだよ。エナドリちゃん」


いや、いつか上司を殴るために鍛えた筋肉たちも居るわ。いっそエナドリが擬人化して世話焼いてくんねえかな……。


一缶を一気に飲み干した時、俺の視界と思考が暗くなっていく。……なぜだか分からないが、俺にはそれが死への片道切符だと感じられた。



「……い。…さん、起きてください。龍ヶ崎(りゅうがさき)さん」


「……んん。あと3年と24日」


「細かいですね?!」


そん時に俺は賢者になるんだよ。……というか、めっちゃ綺麗な人だなあ。可愛い。じゃなかった。


「ええと、まずは……おはようございます?」


「はい、おはようございます。……と言っても、天界に1日などありませんけどね」


天界ってことは、やっぱり俺は死んだのか。まさか恋人候補に殺されるとは……。目的は俺の体の乗っ取りとか?あははー。


「……若い内で、死を自覚して取り乱さない方はめずらしいですね」


「まあ俺はエナドリが恋人候補だった人間ですからね。多分そろそろ血液がエナドリになる頃ですよ」


「分かりま……じゃなかった。人間やめてるじゃないですか……。改めて、あなたは死にました。そして、死者には3つの選択があります。1つ、地獄で悔い改める。2つ、天国でのんびりと暮らす。3つ、異世界へ転生する。あなたはどれを選びますか?」


「いやいやいやいや」


え?この神様(?)今、多分同意しようとしたよな?まさか……神様ってブラック?


「……あはは。気が付いてしまったのですね。……ええ、そうです、そうですとも!神はブラック企業です!神に休息は不必要だといっても限度があります!なんなんですか今私100連勤以上してますよ?なんなら寝てませんし。上司は上司で私がちょっとほかより仕事できるからって他の子の仕事回してくるし……」


「「回すくらいなら自分でしろ」」


「って……?」


……やばい共感しかできねえ。つい言葉を被せてしまった。にしても、そうか。神様もブラックなんだな。それも24時間ってコンビニかよ。


「龍ヶ崎さん、もしかして、あなたも……?」


「俺は電源派です」


「っ……!私もです。少し前までは爪痕でしたけどね」


「やっぱり最初は爪ですよねえ。俺は友達に勧められて開拓していく内に電源になったんですよ」


「分かりみが深いッ……!」


これが恋バナ……楽しいぜ! しばらくして。


「……だいぶ話が逸れてしまいましたね。話を戻しても?」


「勿論です」


「それでは。まず、あなたに地獄の選択肢はありません。特に悪いことをしていないようですしね。なので、他の2つから選んでください」


そう言って神様は2枚のカードを並べる。2枚にはそれぞれ、日の入りと日の出が描かれていた。


「因みにオススメは?」


「ふふっ。おかしな事を聞きますね?もう決まったという顔をしていらっしゃいますよ?ですが……あえて言いましょう。こちらです」


「……やっぱり日の出、選んでくれましたね?」


「はい。これは私なりの答えと思っていただければ」


さすが神様、勘がいい。俺の裏の意味まで汲んでくれるとは。


「それでは次に、3つの願いを叶えましょう。今から行く異世界は、生身一つで生き残れるほど甘くないですからね」


「1つ目は魔法の才能。2つ目は底なしの魔力」


「最後のひとつはどうしますか?」


「それでは、あなたを。」


「あらあら。私に何をして欲しいと?」


分かってて聞いてるんだから人が悪いなあ。神様だけど。


「俺と一緒に、異世界へ来てくれますか?」


「……勿論です!」


こうして俺は神様と共に異世界へ降り立……


「あ、先に引き継ぎとか終わらせてもいいですか?」


「そう言うと思いましたよ。ちゃんと待ってますから焦ってミスしないでくださいね?」


なんだか締まらないなぁ、と思いながら社畜として当たり前だとも思ってしまった俺はやはり毒されているのだろう。だから、俺は神様と共に異世界を謳歌して毒された心を洗い流したい。そんなことを考えながら引き継ぎ作業が終わるのを待つのだった。

作業終了後


「……てっきり手伝うとでも言ってくるのかと思いました」


「変に作業進められるの嫌派閥なんですよ。順番決めて最適化してたのに途中から違う順になるの嫌じゃないですか?」


「分かります。後輩ちゃんが手伝うって言ってくれた時にこう……こんなに大きくなって!って思うけど内心複雑なんですよね」


「ま、最終的には一缶奢ってくれた方が嬉しいんですよ。俺は」


「……お優しいですね。ところで、自販機近くにありましたか?」


「なんか通りかかった人(神)に聞いたら教えてくれました」


なんというか怖いもの知らずだなあと神様は思った。

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