第二夜
「なんでここに今日もいるの!?」
「なんで今日はいないと思ったんだ?」
昨夜と同じ場所で同じように寝転がっていると、これまた昨夜と同じ女の子が同じ格好で現れた。
だって…と口ごもりながらも悔しそうに僕を睨み付ける。
僕は口の端だけで笑うと、黙って夜空を仰いだ。
シャツ一枚じゃ肌寒く感じる夜風が、静かに流れた。
「……ねえ。今日は何も言わないの?」
「言って欲しいのか?だったら……。」
「いい!言わなくていいっ!」
慌てて彼女は僕の言葉を遮る。
僕は吹き出すのだけはこらえることにした。
「ねえ。あなた、ここで何してるの?」
「君は何をしているんだ?」
僕が問い返すと、彼女は途端に気まずそうに顔を逸らした。
「戻らなかったのか。」
「私、病院なんて嫌い。」 彼女は唇をかんだ。
「あんな退屈で仕方がないところなんて、大嫌い。
看護婦さんとかお医者さんとか、みんな優しくしてくれるけど、それだけしかしてくれない。
友達だってそう。仲良くなっても、結局みんな私を置いていっちゃう。
毎日毎日点滴打って、それなのに私は外にも出してもらえない。
不公平よ。」
「でも、君の体はそれを欲して……。」
「私は要らない!」
彼女は叫んだ。
僕は口を閉ざした。
彼女の細く頼りない体が、静かに震えている。
僕は黙って彼女を引き寄せると、子どもをあやすように、頭を軽く叩いた。
「子ども扱いしないでよっ!」
怒ったように彼女は僕の手を振り払い、そして呟いた。
「18才って……子どもなのかな。」
「どっちかと言えば、やっぱりまだ子どもだな。」
彼女は僕をじろりと睨む。
「童顔のくせに。」
「ほっとけ。」
いささか憮然として、僕も言い返した。




