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不思議なクリスマスカード  作者: 地野千塩


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23/40

隣人を愛しなさい

 

「わからない、わからない……」


 関井ひかりは頭を抱えていた。最近、好きなインフルエンサーが自己肯定感をもつこと、ありのままの自分を愛することを配信していた。自分も書籍などを買い、実践してみたが、わからない。


 自分を愛することを実践しようとしたが、全くわからない。ドツボにはまる感覚がする。


 中身は平凡な大学生だ。美人でもない。金持ちでもない。美人出来のいい姉には嫉妬する。電車で優先席、座ってしまう。SNSに悪口は書かないが、炎上はこっそり見たりする。都市伝説や陰謀論だってニヤニヤしながら見てしまう。スカッと系動画も大好き。彼氏にムカついてわざと浮気したこともあった。


 そんな悪い自分、自分が一番よく知っているにに、愛せる?


「わからない、わからない……」


 いつしか自己肯定感、単なる義務になっていた。


 季節はクリスマス時期だ。彼氏と遊ぶ予定もあるのに、ひかりの顔は冴えない。バイトも身が入らず、ミスを連発し、トボトボと自宅に帰ってきた時だ。


 郵便受けにクリスマスカードが入っていた。謎のカードだ。一見、なんの変哲もない紙製だったが、送り主の名前がない。猫のスタンプは押してあったが、何これ?


 しかもメッセージも書かれてる。


 マタイ 22章39節より

 あなたの隣人を、自分自身のように愛しなさい。


「これ、どっかで聞いたことがある。あ、聖書だ」


 すぐにピンときた。都市伝説の噂も知ってる。確か謎のクリスマスカードが届く都市伝説を見たことあるが、これがそう?


 元々都市伝説好きなひかり。違和感もあまりなく、このカードを家に持ち帰り、見つめてしまう。


「もしかして自己肯定感より、誰かを愛することの方が大事なのかな? っていうか簡単?」


 わからないが、そんな気がする。少なくとも、自己肯定感に悩むことへの答えが見えてきたような?


「ま、自己肯定、忘れてみるか」


 その代わり、彼氏に連絡をとってみた。浮気の件も誤り、クリスマスを一緒に過ごせるのが楽しみと送ってみた。


 うん、頑張って自己肯定を高め、自分を愛するより、よっぽど簡単。

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