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おかえり
私のパパは、とある大企業に勤めていた。
パパは仕事が大好きだったし、情熱を持って取り組んでいたのは明らかだった。帰って来るのが遅いけど、その分だけ抱きしめてくれたから寂しくはなかった。
私が小学生になった時、パパは副社長になった。
パパはとても嬉しそうだった。私も嬉しかった。
その頃からだった。パパは暗い表情して仕事から帰ってくるようになった。
私は、そんなパパを心配していた。勿論、ママも。
ある日、家に帰ると既にパパの靴が玄関に並べてあった。
夕方に帰って来るなんて驚いた。喜びの余り、玄関で躓いて転んだ。足の痛みを堪えながらリビングに向かう。
「パパ、おかえり!」
――――その言葉を最後に、私の記憶は途絶えている。




