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突撃しよう

「ホントうっさい男!」


 愚痴を溢しながら長い廊下を歩いていく。途中ですれ違ったメイドたちが委縮しながらお辞儀をする。機嫌が悪いことをすぐに察したようだった。それを見て余計に苛立った。


「なんなのよ、この家は!」


 露峰家は冠城家の分家だ。冠城グループには及ばないが、露峰グループとして日本を中心に様々な業種へ手を出している大企業。そんなこと重々承知ではあるものの、最近になって露峰の名前が目障りだと感じてきた。芸能活動にも影響が出てくるなんて夢にも思っていなかったのだ。


 別に露峰家が嫌だというわけではない。もっと自由に生きたいだけだ。


 例えば、学と結婚したり——。


「ガッくん……どうして……」


 彼のことを思い、つい名前が口から零れる。


 学は昔から仲の良い幼馴染で、将来を(一方的に)誓い合ったほどの仲だ。そんな彼が最近、屋敷を出たというではないか。


 冠城の名前を毛嫌いしていた彼が屋敷を出ることは時間の問題だろうと分かっていたものの、高校生のうちに出て行ってしまうのは想定外だった。


 どうしてこんなことに! なんて、悲観している場合ではない。学がこれ以上ノアの手を離れないように手を打つ必要がある。


 屋敷を出た原因に思い当たる節はある。学の世話を務める姉妹メイドだ。まずはここから潰していく。


 姉の方は頭がオカシイので保留として、問題は妹だ。


 珠李とかいう小娘は前々から学のことを(たぶら)かしている節があった。去年の学の誕生日パーティーでは完全にメs……恋する乙女の顔をしていた。


 アレを放っておいたら何をしでかすのか分かったもんじゃない。


 情報筋(瀬葉須)によれば、すでに姉妹メイドと3人で暮らしているとのことだった。若い男と女が同じ屋根の下で暮らすなんて、刃爺さんの許しを得られるのだろうか。そんな甘い話あっていいはずがない。つまり、刃爺さんはすでに珠李の傀儡(かいらい)だと睨んでいる。


 となれば、周りは敵だらけ。使えるものを惜しまず使わなければ勝機は見えてこない。


「――——パパ!」


 勢い良く扉を開くと、そこにはメイド服の女性が2人、驚いた顔でこちらを見ていた。


「パパはどこ?」


「様であれば、急用で大阪へ行くと慌てて家を出ました」


「…………そう」


――――仕事大好き人間め!


 今日は珍しく休日だと言っていたのに、すぐこうなる。だからと言って愛情を受けていないわけではない。いつものことだから今更あーだこーだ言うつもりもない。


「お嬢様、一旦落ち着いて考えてください」


 いつの間にか後ろには瀬葉須が立っていた。ナイスタイミング。


「……瀬葉須」


「なんでしょうか。編入は諦めたと言ってくださるとありがたいのですが」


「その話は一時中断」


 瀬葉須の顔が歪んだ。何かを感じ取ったらしい。


「ガッくんの家に行くわよ」


「…………お言葉ですが、お嬢様。正気ですか?」


「正気よ!」

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