力の重さ
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なんか何処かの魔法少女のマスコットの様に「僕と契約しないか?」なんて言い出したけど、美味い話には裏があるってよくいうしなぁ、いきなり契約して裏切られても嫌だし断るか。
「──助けてくれたのは本当に感謝している。だがその契約?の内容が気になる。お前と契約したら何か変わるのか?」
「ああ、変わるとも!僕と契約すれば僕の力の一部を使える様になるんだ!要は君には無かった「スキル」が手に入るんだよ?喉から手が出るほど欲しいでしょ?「スキル」?それに特に「あれをやれ!」とか「命を寄越せ!」なんて言わないよ。見返りはいらない、なんせ僕は──妖精王だからね!」
何故か妖精王というところを強く強調して無い胸を張って自慢げに言っていた。
ただ、幸太はそんなネロなど見てはおらず契約をした後についての事を真面目に考えていた。
(──「スキル」……か。欲しい、欲しいさ。本当に比喩表現とかではなく喉から手が出るほどに……でも、なんかそれも違うんだよなぁ)
簡単に「スキル」が手に入ってしまうのは少し違うと思った。
なので──
「──いや、俺は断る。俺だって簡単に「スキル」が入るんだったら欲しいさ。欲しいけど……なんか違うんだよ」
「……」
幸太の話を聞いているネロは特にその言葉に反応をしなかった。なので、話を続けた。
「何言ってるんだって思うかもしれないけど言わせてくれ。力ってさ、そんなに簡単に手に入って良いものじゃないと俺は思うんだ。何かを成して自分で頑張って得たものこそ本当の力なんだと思う。ただ貰うものなんて「運」が良かっただけ……それに借り物に過ぎない物だと俺はそう思う。だからお前とは契約はしない!」
幸太はネロの提案を堂々と否定をした。その事により流石にこんな事を言ったら「怒るか?」と思っていた。
だが、次の瞬間──驚いた。
さっきまで無言を貫いていて何を考えているのか分からなかったネロがいきなり笑い出したのだから。
「アッハハハハッ!君、最高だよ!そうだよね簡単に手に入れたものなんてただ「運」が良かっただけだ!そう!その通りさ!!凄いなぁ幸太君は。普通の人間だったら迷う事なく契約して「スキル」を手に入れると思うよ?──まあ、そんな楽しくも無い奴と契約なんてしないけどね!でも君は違う!僕の望んでいた答えを言ってくれる……そんな君は最高だよ!」
俺は俺が考えた答えを出しただけなのに、腹抱えて笑い出したぞ?今の答えで合ってたのか?
「本当に、本当に久々にこんなに笑ったよ。そんな幸太君には何でも一つお願い事を聞いてあげよう!何でも良いよ?時間はある。じっくり考えると良いさ」
「何でも、か──」
その言葉には今の幸太にとても魅力的な響きに聞こえた。
(──願い事か。ここから出して欲しいって言ったら多分出してくれるだろう。だがそれで本当に良いのか?ずっと「ダンジョン」に行きたいって思ってた。それがこんな形だが成されて今、俺はここにいる。ならこんなチャンスを逃して良いのか?──いやダメだ。恐らくこれが最後のチャンスだろう)
そんな事を幸太はうんうん唸りながら考えていた、その姿を何が楽しいのかネロは何も言わずに楽しそうに見続けている。
(契約して力を簡単に得るのはダメだ。なら、なら──今、一瞬頭に思い浮かんだ事があるが良い方法があるかもしれない。でもこれは余りにも理不尽な状況になるかもしれない。でも、出来るならなんだってやるって決めただろ。なら、俺が考えている事が出来るか聞いてみるか)
話が纏まった幸太は側にいるネロに自分の考えを伝えてみる事にした。