生存と契約
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「──おかしい。俺は死んだ筈だ……それなのに何故生きている?ちゃんとさっきあのオオカミにやられた……脇腹の感触はまだある。どうなってやがる……?」
完全に死んだと思っていた幸太だったが、普通に起き上がれた為何が起きたのか頭の中で考えていた。
そんな時この場に相応しく無い先程も聞いた様な陽気な声が背後から聞こえた為そちらを振り向いてみた。
「その質問は僕が答えよう。工藤幸太君。しっかりと目覚めてくれて良かったよ」
そこには体長10センチぐらいの可愛らしい飴色の髪を持つ妖精?が話かけて来ていた。
その事に幸太は念の為、警戒をした。
「──お前は何者だ?何故俺の名前を知っている?それにこれは今どういう状況だ?」
「ああー、一気に質問しないでよ。ちゃんと今から説明するからさ!まず僕は敵じゃ無い、それに君はあのままだったら完全に死んでいたから僕が君の傷を直したんだぁ」
そんな事を何でも無い事を言う様に話し出した。
「それに僕の名前はネロ。「異世界ノクナレア」では妖精王なんて呼ばれてるね。それに今は安全な場所まで君を連れて来てるから魔物に襲われる心配は無いよ?まずはこのぐらいで良いかな?」
自分の事をネロと呼ぶこの妖精の話しを聞いた幸太は少し考え事をしてしまった。
(──何を言ってるんだこいつは?俺を治したのは恐らく「回復魔法」ってやつだろう。名前は正直どうでも良いが……「異世界」だと?こいつ今「異世界ノクナレア」って言ったよな?それに妖精王だと?なんかこれだけ胡散臭いんだよなぁ、安全な場所まで連れて来てくれたのは助かるが……駄目だ情報が多すぎて整理が出来ん)
そんな考えことをしている幸太を見るとネロは笑い出した。
「あはは、情報が多すぎて頭がパンクしてるみたいだねぇ?じゃあ簡単に今までの状況が分かる様にある能力を君に使うね!これ使うと疲れるけど簡単に説明出来るから良いんだ。じゃあ早速──」
「──待て待て!何いきなり怪しい事しようとしてやがる!?」
こいつ、いきなり近づいて来たと思ったら俺の頭をナイフ?みたいなので刺して来ようとしやがったぞ!?
「だってぇーー。君が理解してないみたいだから簡単に見せてあげようとしたんだよ?今までの状況を、ね!」
「見せるだと?それは簡単に出来るのか?」
「うん、恐らく1分もかからないと思うよ。ただ君の脳をちょちょいと弄って直接僕の記憶から君に伝えるんだ!」
「何が「伝えるんだ!」だ!そんな危ない事やるぐらいなら時間がかかってもいいから一から教えてくれ」
そんな危ない事誰がやるか!何が脳をちょちょいだ、頭がおかしくなったらどうしてくれる!
幸太に駄目だと言われたネロは頰を膨らますと拗ねていた。
「良い案だと思ったんだけどなぁ?分かったよ面倒臭いけど最初から話すね?」
「最初からそうしてくれ……」
そう言い、ネロは今までの出来事を話してくれた。
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1・「異世界ノクナレア」とはこの地球とは別の異空帯にある世界だと言う。そこでは幸太達が想像するだろう剣と魔法の世界になってると言う
2・「ダンジョン」とは元々その「異世界ノクナレア」にあった物らしいが何かの不具合が生じたらしく地球に数多くの「ダンジョン」が転移される事になってしまったらしい。それに「ダンジョン」内の魔物を定期的に間引かないと「スタンピード」というものが起こり魔物が暴走状態になり「ダンジョン内」から地上に溢れ出てしまうらしい、不具合は今原因を探してると言う
3・「スキル」とは「ダンジョン」が地球に現れたせいでパワーバランスが崩れてしまう為世界が人間に干渉してその人に合った「スキル」を与えていると言う「ステータス」もほぼほぼ「スキル」と同じ説明らしい
4・「回復魔法」については高位の魔法使いだったら誰でも使えるらしい、ネロ曰く【僕は全部の魔法使えるけどね】との事だ
5・「魔物」については「ダンジョン」について来てしまっただけらしい
6・「妖精王」については「異世界ノクナレア」でただ唯一の存在らしい。全ての魔法が使え特殊な能力を持っているという、要は何でも出来る存在だという
7・「ネロ」については「地球」と「異世界ノクナレア」に異常が起こった事により今何が起きているのか確認をする為に日本に来た「訪問者」だと言う
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「──と、こんな感じかな?どう?分かった?」
「一応理解した。理解したが納得いかない事もあるな」
「アハハ、恐らく君が「スキル」を手に入れていない事でしょ?それね、僕の方で調べて見たんだけど1000億人に1人の割合でたまーに人間の中で出てくるらしいよ?だからある意味幸太君、君はラッキーだね!」
「何もラッキーじゃ無いわ!こんなのアンラッキーだわ!」
ネロの言葉にそんなツッコミが出てしまった。
ネロが次の言葉を話す時、少し今までよりも雰囲気が変わった気がした。
「どうどう。それでねこれからが本番になるんだけどね?君、本当はこの「ダンジョン」内で無残に魔物に殺される運命になっていた筈なんだよ?でも、それは外れて「全体勝てない筈」な魔物に勝ってしまったんだよ!これは凄い事だ!だから僕は君に興味が湧いたから助けたんだよ!」
そんな事を興奮した様に話して来た。
「ま、まぁ、運命とかは分からんが、助かったと言う事で良いんだろ」
ネロの矢継ぎ早しな説明に少し引きながらも幸太は答えた。
「そうだね……それでね!それでね!そんな君に一つの提案をしたい!」
「提案だぁー?」
提案という言葉に幸太は訝しんだ表情になってしまった。
だが、そんな幸太の反応などどこ吹く風か話し続けるネロ。
「そう、提案。君──僕と契約しないか?」