朝起きて、時計を見たらもう遅い!! 始業時間が四時間も過ぎている!! 【なろうラジオ大賞3応募用作品 1000文字リメイク版】
これは、以前投稿した『朝起きて、時計を見たらもう遅い!! 始業時間が四時間も過ぎている!!』を、『なろうラジオ大賞3』用に1000文字リメイクし、再投稿したものです。
ジャンルは『現実恋愛』です。
俺の名は『夜更歌詞尾』 二十歳だ。
今、スマホ片手に、六畳一間のアパートの壁に向かって、土下座している。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
ああ……何で、こんな事になったんだろうか? そうだ。寝坊したからだ。それも四時間!! いくら勉学とバイトに追われていたとはいえ、なんという大失態だ!!
電話口からは、バイトでお世話になっているファミレスの女性店長、萩野店長の冷静な声が聞こえる。
「歌詞尾くん……? 少し、落ち着いて?」
この萩野店長、普段はとても優しく接してくれるが、怒るととても恐いと有名だ。
そんな萩野店長が俺は好みだ。ええ、大好きです。
もうすぐ三十だけど、そんなの関係ねぇ!
てゆーか、一昨日思い余って告白したわ! 文句あっか!! 返事貰えなかったけど!!
その矢先にこの大失態だわ!! もう、今こうして話すのも心苦しいわ!!
俺は、額を床に擦りつけ、かたかたと震える。
「……だから、落ち着いて。今日はどうしたの? 何時まで経っても仕事来ないから、みんな心配してたんだよ」
「はい! あの! サボろうとかじゃなく……寝坊してしまって……ホントごめんなさい!!」
「そっか……良かった……それなら歌詞尾くん、今日はもうこのまま休みなさい」
「……え……それって……ク……」
「そうじゃないよ。今日はゆっくり休養して、疲れをとりなさいって事。きっと無理が祟ったんだろうね」
「あ、あの! 店長! 俺、大丈夫です! 今すぐ行き」
そこまで言った時、電話の向こうから萩野店長の厳しい声が聞こえて来た。
「駄目よ。これは店長命令。分ったわね? 夜更歌詞尾くん」
ぐっ! フルネーム!!
「わ……わかりました……」
「うん。それじゃあ、今日はもうゆっくり寝て、身体を休めなさいね」
「……はい……」
「そして、明日元気なったら、仕事場に来なさい」
「分かりました……」
「……そしたら……」
「……はい……」
「OKの返事するから……」
「……はい……え?」
……今……俺……聞き逃してはならない言葉を聞き逃さなかったか……?
「て、店長! 今なんて……!」
俺は身体を起こし、大声で店長に聞き返すが、通話はすでに切れていた。
ああぁぁーー!! 俺はなんて馬鹿だ!! 店長の大事な言葉を聞き逃がすなんて!!
仕方ない! 今日は店長に言われた通りゆっくりと身体を休めて、明日、店長がなんて言ってたか聞いてみよう!!
ではみなさん、おやすみなさあぁい!!
…………………………
気になって眠れええぇえぇんん!!
……おしまい♪