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異世界へ来て一ヶ月が経った。
俺たち四人は騎士団による厳しい訓練のおかげで強く成長した。但し、俺を除く。
俺たちは明日、旅立つことが決まっている。
今日はその最終確認である。
王の間では無く応接室の様な場所に呼び出された俺たちは再びステータスを見せていた。
アレク・コセキ[Lv.10]
種族:人族
職業:勇者
HP 8000/8000
MP 7000/7000
スキル
異世界言語
剣術Lv.10
体術Lv.7
槍術Lv.7
盾術Lv.8
適正
光
火
加護
剣神の加護
ノエル・タカナシ[Lv.10]
種族:人族
職業:聖女
HP:5000/5000
MP:10000/10000
スキル
異世界言語
治癒術Lv.10
光魔法Lv.10
土魔法Lv.6
適正
光
土
加護
女神の加護
アスカ・サノ[Lv.10]
種族:人族
職業:魔女
HP: 6000/6000
MP: 12000/12000
スキル
異世界言語
火魔法Lv.10
水魔法Lv.10
風魔法Lv.10
土魔法Lv.10
氷魔法Lv.2
適正
火
水
風
土
加護
魔神の加護
ユーリ・サイトウ[Lv.2]
種族:人族
職業:なし
HP:31/31
MP:11/11
スキル
サッカ語/方言
適正
なし
加護
なし
俺のステータスは相変わらずだ。
自分で見る時にはあの文字化け状態も変わっていない。結局ステータスの文字化けは妙な意地を張ってしまい、誰にも相談出来なかった。
俺の実際のステータスはこうだ。
ユーリ・サイトウ[Lv.#2]
種族:人族[#?%$!]
職業:[#?%$!]
HP:#?%!?31/#?%!?31
MP:#?%$!?11/#?%$!?11
スキル
異世界語[サッカ語/方言]
快眠[#?%!]
未解放
未解放
未解放
未解放
空欄
適正
#?%$!
#?%$!
#?%$!
空欄
空欄
加護
未解放
空欄
空欄
空欄も文字化けも増えていた。快眠というスキルが解放されているはずなのに未解放の数は変わらない。
「ふむ、三人はもう旅立っても良かろう。我が国の騎士団ではこれ以上の成長は見込めまい。しかし....」
そう言ってチラリと俺のステータスを見て国王は盛大にため息をついた。
「ユーリ殿は成長する気があるのか?」
「..........」
返す言葉も無い。
実は最初騎士団は四人に同じメニューを課した。基礎体力を大幅に引き上げるトレーニングで、どの職業であろうとも必要な事だった。
しかし、五分くらいでバテた俺。そしてステータスを確認するとHPが半分になっていた。
もちろん0になれば死に至る。
普通の訓練をこなすことさえ出来ない俺はレベルが上がらなかったのだ。
「ふむ、三人には魔王討伐へ向けて旅立って貰おうと思う。ユーリ殿は城下へ降りて貰おう。」
王様は少し困った様な、呆れている様な顔でそう言った。
「そんなッ!?魔王討伐は四人一緒ならば、という条件で受けたはずです!」
「そうだよ!悠里くんも一緒じゃなきゃ!」
亜玲空と聖は必死に止めてくれる。
ただ、飛鳥は黙って何かを考えている様だ。
「しかし、連れていけば高い確率でユーリ殿は亡くなるであろう。仲間が目の前で....というよりは帰りをこの城下で待つ方が良いのではないか?」
「それはっ.....そうですが。」
現実を突きつけられて、亜玲空は狼狽えた。
王様と同じことを考えて居たのだろう、飛鳥は困り顔で俺を見た。
何も言わないのは、俺の判断に任せるつもりなのだろう。
「良い、亜玲空。俺は待つよ。俺のステータスでついていけるとは思えない。」
「悠里....。分かった。必ず帰るから待っていてくれ。」
一瞬悲しそうな顔をして、しかしすぐに決意したのだろう。俺を真っ直ぐに見つめて亜玲空は言った。
「悠里くん....。」
一人、聖だけはどうしても納得いかないという顔だが、なにかを言おうとして、でも言えないのか口を一文字に結ぶ。
こうして俺だけがこの国に残ることが決定したのだ。