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翌日、俺はレオナルドさんと共に王都のギルドに来ていた。
俺が起きなかった為に朝の到着予定が昼近くにギルドへ着いた。
もちろん、受付はリナさんのところへ並ぶ。
「ユウさんが、こんな早くに来てる....!!!!」
「リナさんお早う御座います。会って早々に酷い言いようですね?私も偶には早起きしますよ。」
衝撃的な場面でも見たかの様なリナさんの反応に白けた視線が三人分刺さった。
後ろからレオナルドさんはそっと突っ込んだ。
「.....いや、今昼だろ。遅すぎんだよ。」
だいたい俺がギルドに来るのは昼休憩中、あるいは後なのでリナさんからすると驚きの早さだ。
話は応接室で行うということで、奥の部屋に案内される。
相変わらず簡素な小さい部屋に四人が入ると狭苦しい。
この後さらに体格の良いマスターが来るのだろうからさらに暑苦しい。
「......てなわけで、取り分は平等に四分割で良いのか?」
「ああ、問題無い。」
「こちらも特に異論は御座いません。むしろ厚遇して頂き御礼を申し上げたいくらいです。」
盗賊団を一晩で根こそぎ討伐した今回の報酬は金貨四十枚という破格の値段となった。
根城にあった闇オークションと貴族を結びつける重要な証拠をリディアさんが押さえたのが大きく金額をあげたのだそうだ。
盗賊団自体は新設の者でそこの報酬だけだと金貨十枚。ほとんど闇オークションの報酬である。俺が関わったのは盗賊の討伐だけだ。なので最初に俺は盗賊の討伐報酬金貨十枚を四等分した一人分、金貨二枚と銀貨五枚を取り分として主張したが、レオナルドさんたちは
「ユウには怖い思いをさせたからな。女装もさせたし、慰謝料だ。」
「可愛かったっス。特別報酬っス。」
「また弄りたいもの。受け取って。」
という嬉しく無い理由で全体を四分割した金貨十枚で話が決まった。
女装をした、という話が出てマスターとたまたま居たリナさんの目が輝いたが黙殺した。
「これで手続きは終わりだ。....ただちょっと問題があってな。」
困った様子をみせるマスター。
「どうしたんです?」
「実は....。」
保護した女性の事だった。保護された女性たちはそれぞれ自分の住んでいた場所に返されたのだが一人だけ帰れなかった、というか帰る場所がなかった人がいたのだ。
あの両手両足のない銀髪の少女だった。
本人曰く、魔物に襲われて帰る村は無く。村人も散り散りに逃げた為に頼る当ても無いのだそう。
放浪の旅をするうちに魔物に襲われて両手両足を失い、さらに運の悪いことに盗賊に拾われた。そこからはあの場所で固定され、定期的に来る食事を無理やり取らされていたそうだ。
彼女もオークション品であったことで辱めを受けなかったのがせめてもの救いかもしれない。
「その子がな...。自分を最初に保護した少女の元に行きたい、と希望していてな。一体誰のことかと思ったが、女装していたならユウのことだろ。」
「あら?私も女よ?」
リディアさんがいうが、ゲオルグさんは少女じゃ....な。と呟いて視線を逸らした。
「引き取って貰えそうなら、と思ったが。....ユウは一人暮らしだったな。あの身体じゃ面倒は見れんだろ。」
「........私が引き取らない場合、彼女はどうなりますか?」
「....正直言って保護する施設はこの国には無い。修道院で面倒を見て貰うつもりだが、受け入れて貰えるかどうかは賭けだな。ただ飯食らいを置いておくほど余裕があれば良いが。」
どうなるかわからない、という。何とも後味の悪い話だ。
魔物が跋扈するこの世界では国の維持も何かと金が掛かるのだ。俺が金貨十枚で放り出された様に、この世界に困っているからといって全員を助ける余裕はどこにも無い。
ヴォルフさんかマリアさんなら何とかなるだろうか?お金は多分、持っていそうではある。
「....知り合いに頼んでみます。彼女を連れて行っても宜しいでしょうか?」
「当てがあるなら有難てぇ。連れ出すのはあの子が良いって言えば構わねぇ。会わせるだけ、会わせてやればいい。」
無理なら修道院を紹介するから心配すんな、とゲオルグさんは言った。




