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ジョングルール漫遊記  作者: 小山 静
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 初めて魔物を討伐した日から一ヶ月、俺はだんだんと高いランクの魔物を狩る様になっていた。

 今は素手ではない。あの日素手だったのはそうしないと苦戦しないだろうと判断されたからだった。

 今はロングソードと呼ばれる一番多く出回る普通の剣を使っている。

 ヴォルフさんに鍛えられた俺は俺が思った以上に強くなっていた様だ。

 Dランクの魔物であるゴブリンを一人で何体も相手にする程度には成長していた。

 二日前に巣を見つけ、近くにいたAランクのパーティーの人と共闘し、中にいたゴブリンを全て倒し、ギルドへ報告すると、Cランクへの昇格を推奨されたのだ。


 そして今日はCランクへの昇格試験だ。


 昇格試験の内容は盗賊の討伐。Cランクからは護衛依頼が受けられるようになる。その為、対人の戦闘経験が必要なのだ。殺さずに捕らえたら良いとのことで、俺は安心した。魔物はまだ良いがさすがに人殺しはしたくない。

 そこでふと思う。亜玲空(アレク)たちは魔王の討伐へ出たはずだ。魔族は頭の角以外は完全に人の外見だという。いきなり向かう事はないと言っていたが、人と戦えるのだろうか?

 勇者の活躍した話はこの二ヶ月は聞こえてこなかった。三人は今何をしているのだろう?

 思いを()せてみる。けれども信じるしかないか、と思い直した。

 か弱い俺なら兎も角、勇者に聖女に魔女である。さらに現役の騎士付き。よほどの無理をしない限りは何の問題もないだろう。

 俺は依頼された盗賊の情報に意識を戻す。

 盗賊団の構成員は全部で二十人なかなかの規模だそうだ。どこかの貴族か商人に(つて)があるようで、人身売買の闇市に関わっているという噂がある。何人か十五、六くらいの少女が連れ去られた、と言う話もある。

 今回の依頼はこの盗賊の目撃情報が多い街道で下っ端でも良いから最低一人捕まえる。または殺す事である。


「...組織ごと壊滅出来りゃ最高だぜ?まぁ、初見でそこまで求めねぇけどな。」

「承りました。大して期待せずにお待ち下さい。」

「可愛くねぇな。」


 ゲオルグさんの軽口を無視し、綺麗な礼をして俺はギルドの応接室を出た。

 わざわざマスターが出てきて説明となったのはやはり俺が異世界から来ているため、イレギュラーが起こらないかと危惧(きぐ)してくれているのだ。

 たった二ヶ月でCランクというのも目立ちそうなものだが、最短は二週間という驚異の記録を持つSランクがいた為、大して目立たないらしい。

 才能あるものは大体一、二ヶ月でCまで上がるのだそうだ。一般の人でも一年以内にはCランクへ行くらしい。ただCランク以上はとても上り(にく)い構造で、依頼数や討伐ランクに加えて教養、人柄も加味されて昇格して行く。(ほとん)どの冒険者がCランク止まりなのはどれかが達成していないためである。

 カウンターで改めて依頼を受注する。

 もちろん受付嬢はリナさんだ。


「先程の件。承りましたので、受付をお願い致します。」

「はい、承りました。ユウさんもこれでCランクですね!」


 俺以上に何故か嬉しそうに話す姿につい笑みが(こぼ)れる。


「まだ受けてすらいませんよ?リナさんは気が早すぎますね。」


 クスッと笑い返すと、リナさんは(ほほ)を染めて(うつむ)いた。


「...すみません。でも、ユウさんなら大丈夫だと思います!頑張ってください。」

「有難う御座います。」


 リナさんからエールをもらった俺はギルドを後にして街道へ向かった。



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