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倉庫整理の依頼は依頼主に呪いのアイテムについて確認を取ってから受けることになった。
地図をもらってさっそく向かう。
そこには畑のそばに小さな小屋、その隣にさほど大きくない平家の建物があった。
あの小屋が今回の依頼の倉庫だろう。
家主を尋ねるとお爺さんだった。
「おお、来たか。依頼だろう?頼みたいのはあの蔵なんじゃ。」
「その前に、聞きた...」
「いやぁ、随分前に鍬が折れてのぉ。畑仕事が出来んで。」
「それより聞き...」
「そういえば倉庫に予備の鍬があったと思い出してのぉ。」
「呪いのアイテ....」
「しかし、適当に放り込んでおるから探すに探せんで。」
「先に話を...」
「そうじゃ!ギルドに頼めば良いと思うてな。」
「.........」
「なかなか来んから、畑が腐るとこじゃったわい。」
――....この爺さん話聞いてねぇ!
蔵というか、小屋という表現が合いそうな建物の鍵をお爺さんが開ける。
「掃除道具も中にあったはずじゃ。好きに使ってくれ。ワシは用事があって出かけるが、頼んだぞい。」
「待ってくれっ....!」
俺の抗議の声は聞こえなかったらしくさっさとお爺さんは出掛けて行った。
....と思ったら戻ってきた。
「忘れとったわ。中に呪いの品があるが、箱を開けんかったらええからの。触っても安全じゃ。では行ってくる。」
とりあえず、安全性の確認は出来た。
ぽつん、と残された俺は仕方ないので倉庫整理を始める。
中は適当に詰め込まれた品で溢れかえっている。一通り外に出さないと鍬を探すどころではない。
外に出そうとするが、埃まみれで汚らしい。
足元に転がるバケツと布切れを掴むと俺は井戸を探すことから始めた。
手ぬぐいを口に当ててマスクの代わりにし、片っ端から拭いて外に出し、外に出しては拭いて倉庫の中身を出していく。
全て出し終えると日が傾き始めていた。
「これが呪いのアイテム...かな?」
倉庫の一番奥にあったのは黒い箱にお札の様なものがベタベタと貼られた怪しげな箱。
いかにもといった見た目に触る気も失せる。
他の荷物と同じように埃まみれの箱は途中で発掘したはたきで埃を落として触らずに置いておく。
触っても大丈夫と言ってはいたが、呪いの品など触りたくは無い。
空になった倉庫を軽くホウキではいて、今度は物を中へ入れていく。
殆ど入れ終わる頃には夕日が辺りを真っ赤に染め上げていた。
「どうじゃ、鍬はあったかいのう?」
「そこに避けてるヤツならあったぞ。」
あと数個だけになった荷物を小屋に入れながら返事をした。
どうせ聞いてないだろうと雑に返事をする。
帰ってきたお爺さんは横に避けてあった錆びついた鍬に目を止める。
「おおっ!これじゃ、これ。いやぁ、助かったわい。」
サビサビで俺には使えそうにないように見える鍬をみて喜んだ。今度はちゃんと聞いていたようだ。
そしてお爺さんは小屋の中を覗いて目を見開いた。
「おおっ!?こんなに綺麗にしてくれるとは!もっと早くに頼めばよかったわ。」
嬉しそうな爺さんを横目に黙々と片付ける。
外に出ていたものの中で大きめの箱を仕舞おうと持ち上げた時、錆びた金具が外れてガシャン、と音をたてて中身をぶち撒ける。
大きな箱の中身は楽器だった。
見た事のない弦楽器が土の上に転がる。
しかも高級品と素人の俺が分かるほどの綺麗で高そうな楽器だ。
「うわぁああ!すいませんッ!!」
俺は慌てて楽器を拾おうと手を伸ばした。
俺の声に気づいたお爺さんが声を上げるのと、俺が楽器を手に取るのはほぼ同時。
「待て!ソイツは...!」




