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ジョングルール漫遊記  作者: 小山 静
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 簡単な書類記入が終わり、あとは魔力を登録するだけらしい。書くといっても俺には名前くらいしか書くことが無かった。

 書類を記入して分かったが、俺はこの世界の文字を書くことが出来る。

 他の三人の持つスキル異世界言語は聞いて話せるが書けない、という話だった。俺もてっきり書けないと思い込んでいたのだが、書こうとするとスラスラ書けてしまった。俺のは違うスキルなのかも知れない。そもそも色々文字化けしているステータスである。他の人のステータスは当てにならない可能性の方が高いだろう。


「ではこちらの水晶に手を置いて下さい。」


 俺を最初に受けた事もあり、この水色の髪の受付嬢リナさんがこの支部で俺の担当になった。


 記録用水晶は魔法が使えない、使ったことがない人の為に勝手に水晶が魔力を吸収する優しい仕様だそうだ。

 そのあとにギルドの簡単な説明を受けて登録完了だ。

 ギルドはよくある形式で、ランク式。下からF、E、D、C、B、A、Sだ。


 F、E、Dが初心者。カードが鉄色。

 Cで一人前。カードが銅色。

 Bでベテラン。カードが銀色。

 Aで凄い人。カードが金色。

 Sで伝説の英雄。カードがプラチナ、銀色との見分け方は輝きが虹色。


 くらいだそうだ。

 Sランクは世界に数名しか居らず、いずれも何処かで英雄と呼ばれ崇拝されているのだとか。


「...はい、以上で手続きは終了です。これがギルドカードです。無くすと再発行に金貨一枚かかりますので無くさないように気をつけて下さい。」


 ありがとう、と言ってカードを受け取る。初心者を示す鉄色のカード。ファンタジーらしいイベントに俺の心はワクワクしていた。


「そうそう、マスターからユーリさんは常識に(うと)いから物価を伝えるように、と言われています。

 銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚です。これから宿をお探しと思いますが、王都での宿代はFランクの方ですと、銀貨一枚が一般的です。

 ギルドの裏に建っている宿屋『ヤドリギ』がおすすめですね。食事は一食で銅貨5枚以内に収まる程度が良いかと。『ヤドリギ』の一階には食堂もあります。今日依頼を受けて行かれても良いですが、夕方には街の門が閉まり野宿になります。それと依頼は朝から争奪戦になりますので早めに来られることをお勧め致します。他に何か質問などはありますか?」

「いや、大丈夫だ。ありがとう。」


 優秀な受付嬢だ。

 俺が今知りたかった情報を一気に教えてくれた。

 朝早く無くても良い職業なんてやっぱり無いのかも知れない。

 俺はギルドを出てお勧めの宿屋『ヤドリギ』を訪ねた。

 そこはちょっとボロいが話しに聞いた通り一階が食堂になっている。


「すみません。泊まりたいんですが、部屋は空いてますか?」


 すると恰幅の良い女性が出てくる。

 彼女が経営者なのだろう。


「あいよ。一泊銀貨一枚だよ。朝食付きなら追加で銅貨3枚だ。」

「とりあえず、五日分、朝食は無くて良いです。」

「じゃあ銀貨五枚だね。」


 銀貨十枚は金貨一枚。俺は王様がくれた巾着から一枚金貨を出して置く。

 サッと仕舞うと代わりに鍵とお釣りを渡された。


「二階の一番奥だよ。出掛ける時は鍵を預けておくれよ。」


 言われた通り階段を上がって一番奥の部屋に入る。ベッドが一つと机が一つ。椅子は無くベッドを椅子にしろ、というほど狭い。壁にはハンガーがあり、一応服を掛けられる.....一枚だけだが。窓は小さいのが一つ。木製で汚れてすりガラスになっている。上に持ち上げて金具で止める仕組みだ。開けるとちょうど人通りが増える時間らしく、外で聞いたよりも賑やかな喧騒が聞こえてきた。

 風を感じて一息ついているとコンコン、とノックの音がした。

 返事をして扉を開けると女将が立っていた。

「聞くのを忘れてたよ。お湯は要るかい?桶一杯で銅貨5枚だよ。」


 お湯?桶ということは飲み物ではなさそうだ。


「えっと、何のお湯ですか?」

「おかしな子だね。身体を拭くお湯に決まっているだろう。水で良いなら庭の井戸使いな。」


 この世界、風呂が無いらしい。

 何処か王都を出るなら温泉のある街に行きたい。

 俺の心の中でぼんやりと方針が決まった。


「....お湯が良いです。一杯だけ下さい。」

「あいよ。もうすぐ夕飯時で忙しくなるからね、今から持ってくるよ。」


 銅貨がないので銀貨を渡すとお湯とお釣りを一緒に持ってくる、と言って女将は下へ降りて行った。まもなく部屋にお釣りと桶に一杯のお湯と手拭いの様な布が届いた。布は古ぼけているがサービスなのだとか。

 俺は届いたお湯で身体を拭き、下着もついでに軽く洗って絞ってハンガーに掛けた。

 支給品の服はどれも動きやすい麻の服だ。丈夫で乾きやすく旅装に人気らしい。着心地は正直言ってあまり良くない。召喚の時に着ていたシャツを洗っては乾かし下着を着ることで誤魔化している。

 今は、下着も無いためガサガサする。

 けれども、ベッドに横になると疲れた身体は簡単に夢の世界に旅立っていった。




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