大魔王と農民の狭間で。公爵令嬢ニーナの受難。そして伝説へ
王子の妃選定会に出席のおり、王城は大魔王の襲撃に会いました。王族の方々は無事に王城を脱出しましたが一部の騎士団と八名の妃候補は逃げ遅れてしまいました。
私は大魔王ゲーザに呼びつけられ、侍女にしたばかりの農民魔女ライスと共に玉座の前に来ています。
魔王は和平交渉をしたい話している。城を占領された時点で人間側は敗北なのでは?
「捕虜の安全をお約束下さい」
足は震え、立つのもやっとだ。そう伝えるのが精一杯。
「魔王様の望みはなんだっぺ?」
突如、この場について来た侍女のライスが口を出す。大魔王よ。あなた怖くないの?
「お前は?」
「はーい。私、日本から来ました。ライスと申すっぺ」
ライス止めなさい!声に出したくても出せない。魔王様の機嫌を損ねたら私達の立場があやゆい。
「に、日本だと!今の年号はなんだ?」
「令和」
ライス何を話してるの?『ニホン』と言う言葉に魔王が驚いている。彼らの会話は続く。
「お前何処の出身だ?」
「秋田だ」
「そうか、転生者か。僕は東京で刺されてここに来たんだ」
「おら、田んぼの水見に行ってそのままだ」
何?これ?魔王と農民が楽しそうに会話を交わしている?私が不思議そうな顔をすると二人は真顔に戻った。
「改めて聞くっぺ。魔王様は何が望みだべ?」
「あぁ。身の安全。戦闘行為の中止」
「それだけけ?魔王討伐を止めれいいのけ?」
その条件を受けては行けません!魔王は倒さないと人間を必ず 襲います。倒さなければ平和はないのです。
「ああ。人間側の要望を聞こう」
「侵略の停止?城の返還だべか?」
「一切承知」
嘘です。大魔王が人を襲わないなんてことはありえません。
「ではニーナ様と王国陣営へ出向いて行くっぺ」
「宜しく頼む」
このバカども、勝手にことを進めするな!
「確たる保証がございません。安全の保証がなければ交渉も出来ません」
言ってやった。吐きそうなぐらい気持ち悪い。
「保証か。俺たちが人を襲わない保証。ないな」
ほら本音が出た。いつか人々を皆殺しにつもりなのね。
「では、和平になりません」
「取りあえず停戦ではダメか?互いに交わらぬよう世界を半分にしては?」
「人間が里山に来るから熊と出会うんだべ。魔王様の考えで良いと思うけど」
世界の半分?ライスしゃしゃり出ないの!でも悪い話ではない。
「わかりました。国王様へ使者として提案に行って参りましょう」
「頼む」
世界を半分にすることに双方が同意する。
公爵令嬢ニーナは伝説となった。