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さんかくねこのともねこ。

作者: ともさかゆう

 さんかくねこのともねこ。





 ともねこは野良でした。



 おかあさんもおとうさんも、知りません。

 産まれた時の記憶はほんの少ししかありませんでした。



 野良ともねこは人に見つかると、捕まってラッカーで色をつけられて縁日で売られます。

 時々あるともねこ狩りは、もう怖くてしかたありません。


 思いっきり逃げて、思いっきり隠れます。


 橋の下のダンボールが隠れ家でした。




 雪割りいちご畑は、冬になるとそれはもう真っ白ないちごがたわわになります。

 とっても美味しくて、ほっぺたが落ちちゃいます。


 でも、今は六月。


 緑の葉っぱは苦くて涙が出ます。

 お腹が空いて泣けてきます。


 うずくまっているといきなり、大きな手に包み込まれました。


「わぁ、かわいい」


 とても優しい声。いい香りがします。


 それがユエさんとの出会いでした。





 ともねこはさんかくねこです。


 さんかくねこというのはこの魔界にいるふつうのともねこですが、ふつうのねことはちょっと違います。


 からだのどこかにさんかくのアザがあるのがとくちょうで、


 まれにさんかくが2つ、逆さにかさなっているものもいるのです。


 ともねこにもちょうどおしりの部分にそんな痣がありました。


 このかさなったさんかくの痣にはほんのすこしだけ魔力がありました。


 そこで。


 ともねこはユエさんの使い魔として修行をすることとなったのでした。





 ともねこは走るのが苦手です。


 使い魔はどんなところにでもご主人に寄り添って憑いて行かねばなりません。


 実はともねこはほんの少しだけ宙に浮くことが出来ました。


 おしりの痣が少しだけ、浮かしてくれているのです。


 でも、このままでは憑いて行くのもままなりません。


 修行仲間のスフィーとケミが見守る中、ともねこはもっともっと高く浮く練習をはじめました。


 がんばってがんばって、おしりの痣に気合を込めます。


 気がつくと、周りのどんな木よりも高く浮いているではありませんか。


「にゃぁ♪」


 と、喜んだその瞬間。


 ともねこはバランスを崩し、真っ逆さまに落ちていきました。




 ともねこはさんかくねこです。


 地面に落ちるかと思ったその時。


 くるっとお尻が下になり。



 ともねこは少しお尻が痛いだけで済みました。



 おわり。

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