第1話 出会い
【訂正箇所】サクノ→サクヤ 電撃→雷撃
無理をしすぎたみたい。
仲間とはぐれ、森の中を彷徨い続け力尽き、1本の樹の下に座り私は休息をとることにした。
手にあるのは蒼い弓と、残り1本しかない銀矢。
途中魔物と遭遇した際に負った傷は浅くはない。
寒気と眠気が襲う。
もうすぐ日が完全に落ち、魔物の活動が活発になる時間となる。
「絶望的」
そう、もう何もかもあきらめざるおえない。
私は1人ここで命を捨てることを決めた。
目を閉じ、その命の光が消える時を待つ。
グルルルッ
ほら、魔物の唸り声が聞える。
それも複数いるだろう。
「終わり・・ね」
全身の力をぬく。
直後、1体の何かが殺気とともにこちらに駆けてくるのがわかった。
「目を開けろ!」
突然の声に私は目を開けると、そこには鎧をまとった剣士が黒狼を真っ二つにしていた。
後方にいた同じ黒狼は遠吠えを上げ去っていく。
「誰?」
男は振り返り剣を鞘に収め私に近づいてきた。
同じ18くらいだろうか蒼い髪に緑の瞳はとても綺麗だと思った。
「俺はレン。お前、弓師なのになんでこんな高レベルの狩場に1人でいるんだ」
レンはそういうと私を軽々と抱えこんだ。
「きゃッ」
「黙ってろ。傷に響くだろ、名前まだだったななんていうんだ?」
「私は、サクヤ」
辛うじて名を名乗れたがもう限界だった。
それを察したのかレンは私の耳もとで一言囁き、それをきいた直後私は意識を手放した。
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《レンside》
「サクヤ、少し眠れ」
直後サクヤは緊張の糸が切れたかのように眠った。
1本にまとめられた紫の髪に紅い瞳。
白い肌にはあちこちに斬り傷がみられる。
「とりあえず近くの町にでもいくか」
あんまり魔導師みたく魔法って得意じゃないんだけどな。
目を閉じ唱える。
『遠地へ送れ>リゼルク』
一瞬体が軽くなり、目を開けるとそこには―・・・
「毎回人の頭上に瞬間移動してくるんじゃねーよレン!」
整えられた部屋のベッドの上だった。
そして低い怒鳴り声。
少し下が柔らかいのはそのせいだろう、声はきっと幻聴だ幻聴。
「いい加減に人の背中から降りろよな・・・もう我慢できねー!『雷撃招来!>サンダーボルト』」
俺の真上に雷撃が落ちる。
「人の身体能力なめるなよ」
俺はサクヤを抱えたまま真横に跳んだ。
雷撃は男に見事直撃。
「だああああッ!?」
「男は悲鳴をあげこの世を去りました。完」
「いや勝手に殺すなよ!」
起き上がりボロボロになりつつも突っ込みをいれるリュウ。
「まぁそれはさておき、リュウ回復魔法使えたっけ?」
ソファーにサクヤを横にさせ壁に弓と矢筒を置く。
「使えなくはないがオレは魔導師だから聖職者より力は弱いぞ?」
「あるならやってくれ、もう夜だからこの時間怪我人背負って外なんて出てられるか」
「わぁったよ」
リュウは短い黒髪をかきつつサクヤに近づく。
「なんかすげぇ可愛い子だけどどうしたんだよこの子」
「なんでもいいだろ」
「へいへい」
サクヤに手をかざし黒い瞳を閉じる。
『癒光>ヒール』
緑の光がサクヤを包み、次第に傷は塞がっていく。
「外見だけ治しやがったな、使えない奴め」
「お前・・魔法不得意のクセに随分生意気だな・・。明日教会にいる聖職者んとこいけばいいだろ」
サクヤの呼吸はすっかり一定のリズムを刻み安らかに眠っている。
「さて、オレは寝るがまさかと思うけど・・」
「勿論ここで寝かせてもらう、サクヤに手を出したら即殺だからな」
ソフャーの横に腰をおろし忠告。
「・・分かってるよ。ったく、同じ歳なのになんでこうも差がでるんだ」
「お前が弱いから。 以上 」
「言うな!もう寝る!」
リュウは背を向け寝息を立て始めた。
俺はふとサクヤのほうを見る。
そういえば仲間がいたんだっけ。明日は仲間探しもしなきゃな。
そして目を閉じ、浅い眠りについた。