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7、お話し

遅くなりました。

「シャナ・アングリアナさん、お話があります」


朝食が終わりマリアと帰ろうとした時、王妃に声をかけられた。これって行くべきなのかなぁ。名前間違えられてるけど。

 そう思いながらも王妃の前を素通りしてみる。


「なぜ無視するのですか? (わたくし)が折角下手に出ているというのに」

「あたしですか? あたしの名前はシャナ・アングリャーナですよ?」

マリヤが「また……」という目で見てくる。そう。やっちゃいました!

 あたしには無駄に偉そうな人をつい(・・)からかってしまうという癖がある。別段悪気はないのだ、がそのせいでこっぴどく叱られうことが多い。困った癖だ。


「さようであるか。(わたくし)はお前の名などに興味なぞないが」


氷を思わせるような冷たい声でそう返された。


「そうなんですか? 残念です。でも、あたしはきちんと自分の名前で呼ばれないと気付かないんで」


もはや返事もせずに歩いていく王妃。ついて来い、という意味なのか。仕方なくあたしもすごすごとついて行く事にした。


*     *     *     *     *     *


長い、長い廊下を通り抜けてやっとたどり着いた豪華絢爛、としか表せないような部屋。王妃はその部屋へとと入っていく。その後に続いて入るとあの町ではあり得ないような光景が目に飛び込んできた。


「何……これ」

「ここは(わたくし)の政務室。今から極秘の面談を執り行う」

「あ……はい」


こんな豪華な政務室って良いのだろうか。とても業務に集中できない気がする。何しろあたり一面金ぴか何だもん。宝石や貴金属たちに囲まれ、豪華そうな品物が所狭しとあちらこちらに置かれている。思わずため息をつきそう。


「そこへ座れ」


王妃が指したのは一つの椅子。ここに場違いなほど質素だ。


「あ、はぁい」


あたしは軽く返事をし、座った。あたしの向かい側には、純金でできているような机が一つ。王妃様がそっちに座るらしい。


「我が息子がな」


王妃様は唐突に話を切り出す。少し困ったような口調だ。


「花嫁にするならそちが良い、と言い出したのじゃ。勇敢で頭も回るから、とな。本当か試練を行いたいんじゃが、良いか?」


うーん。あたしはしばらく考える。マリヤ、カラリウのこと好きなんだよね……。どうするのが一番良いんだろ。


「その試練に、受かっちゃったら、絶対花嫁にならないと?」

「別に強制はしないが」

「じゃあ、受けます!!」


自分の力試し、してみたかったんだよね。

 軽く考えてたあたしはこの話を二人が聞いてるだなんて、思いもしなかった。

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