10、混乱
あたしはほっとしながらマリヤの部屋に帰ってきた。日はもう暮れかけている。早速報告しなくっちゃ!
「マリヤ、ただいま! お知らせがあるんだー」
「……お帰り」
予想以上に冷たい返事が返ってきた。どうしたんだろ。
「あのね、あたし--」
「知ってるわよ。なに、私に見せびらかしたいの?」
「何で知ってるの? それに、見せびらかそうなんて思ってないっ」
あたしはそんな嫌な奴じゃないってば!
「カ、カラリウ様と盗み聞きしたのよ。だから、知ってるの」
今日のマリヤは本当におかしい。どうしちゃったの? 大好きなカラリウ様に会えてうれしいだけ?
「へえ。そうなんだ」
「ええ、だからね、もうカラリウ様と関わらないで!!」
マリヤの声が桜草の間に響いた。マリヤってこんな大きい声でたっけ。
「良いよ。ねぇ、今日のマリヤおかしくない? 本当にマリヤ?」
なぜかマリヤが息を呑む音が聞こえた。ふと見ると倒れていた。
え? 倒れた?
* * * * *
「王妃様、何の用事ですか?」
リュアは王妃様と話していた。王子のお母様と話せるだなんて!! しかもこの執務室、綺麗。ところどころにセンスが光ってる、さすがお義母様ね。
「あなたのそのネックレスが欲しいのだけれど」
「リュアの、ネックレス……。あ、あれですか? 絶対あげませんよ」
リュアは言い切った。
「何故?」
だってあれは……。
「王子とつながってるネックレスってお母さんに習ったもん。王子の何かをくれるならこれをあげても良いけど」
「そうですか。じゃあおかえりください」
何だったんだろ、今の。とりあえずリュアは帰る事にした。
ちょっと暴走したかもです。
そして安定の短さ…。
それでは。