1 厄介な誕生日プレゼント
改稿してみました。
かなり変わると思うのでよろしくお願いします!
そして半年もの間放置していてすいませんでした。
パソコンが壊れてしまって……まだ買ってないんですけどスマホ&Bluetoothキーボードでどうにかやっていこうと思います。
引き続き「田舎娘の王宮暮らし」、そして作者サラ・ローズマリーをよろしくお願いします。
「シャナ、誕生日おめでとう!」
「マリヤもね」
今日は私たち双子の誕生日。十三歳、つまり王子と同い年になる。どうしてそんなことが大事かっていうと……。
「シャナ、マリヤ!! 明日、ついに明日だよっ運命の日は」
「うん、そうだね!」
リュアの問いに私は元気良く答える。とっても楽しみなんだもの。
「えー、あたしは数学やってたい」
なんて言ってるシャナは別として、ね。
この国では、王子と同い年の女の子は王子と結婚できる可能性があるのだ。まぁ、今回はリュナ公爵の領地に生まれた者に限るけれども。王子の十三の誕生日に一つの村から二人ずつ、くじ引きで花嫁候補が選ばれる。その中から、中央で選別を行うのだとか。
そして今、もっとも重要なことは明日がその王子の誕生日だという事!
正直言ってエノー村は中央から遠く離れた貧しい村だし、こんな機会がない限り中央に行くことなんてない。私、なんて恵まれてるんだろう。
「あぁ、まだかなぁ。早く王子に会いたいっ」
「リュアったら……。まだあなたが選ばれたわけじゃないんでしょう?」
幼馴染みのリュアは、昔っからイケメン好きで王子のファン。そして、チョコ色の髪の毛が魅力的な、村で一番モテている子だ。リュアの運命の相手は王子に決まってる、と本人は言っているが。
「リュア運良いもん。きっとリュアになるよぉ! マリヤ達の分もお祈りしとく?」
私とシャナはそんなリュアに呆れたような笑みを向ける。リュアは本当に自信過剰というかなんというか。その自信に叶う可愛さが羨ましい。
「遠慮しておくわ」
「遠慮しとく」
私とシャナはほとんど異口同音に答えた。やっぱりシャナも呆れているんだろうな、と推測しながらリュアを眺める。
リュアは不満そうにピンクの瞳を細めた。リュアがそんなことをしても可愛くしかならないのに。きっと気づいてないんだろうなぁ。
「遠慮しなくっても良いのに。リュアたち、昔からの仲間じゃん。それにリュア、王子に会ったこともあるんだぁ。絶対運命の出会いだよね!」
リュアはこう言い終える前にはもう表情を変え、目をキラキラさせていた。ほんとうリュアは楽天家で良いね。早くこの会話を終わらせちゃいたい。寺子屋からの帰りだし。陽も傾いてきてこぎれいな路地がいつもよりも暗く見える。
「えぇ、そうねリュア。悪いけど、お誕生日のケーキが待ってるから……」
「あ、そうだよリュア。今日のケーキは近所のリースさんの手作りなの!」
シャナの興奮した声が辺りに響く。声大きいって。何人かに振り向かれちゃったじゃない。
「え!? あのリースさんのケーキなの? 良いなぁ、ずるーい。そういえば、明日、最高のプレゼントあげるね!」
「うんはい、じゃあね」
最高のプレゼントが何なのか、私とシャナはまだ知らなかった。
*
「マリヤ? なんでこんなに人がいるの?」
「あなた忘れたの? 今日は『運命の日』じゃない!」
あぁ、そうだった……。マリヤとかと違ってあたしはあんま興味ないからなー。つい忘れちゃう。
「シャナシャナ、早く行かない?」
え、まだ九時だけど……。
「始まるのは十三時からでしょ? あと、あたしは面倒だから行かない」
人混みは嫌いだし、行きたくない。
なんてかんがえているとマリヤが珍しく声を荒げてきた。
「あー、もう! シャナが興味ないのは知ってるけどいく義務があるのよ!? 集合時間は十一時だし、リュアと一緒にいく約束しちゃったし……」
「分かった分かった。行けば良いんでしょ?」
マリヤは母親みたいだ、とつくづく思う。あたし達の両親は幼い頃に死んでしまったのでずっと二人で生活してきたのだ。そのせいかマリヤはお母さんっぽくなってしまった。
ただ、あたしが子供っぽく見られるのはいただけない。
「ふぅ。やっと着いたわね」
「本当、人が多くてまいっちゃう。疲れたし」
広場はさらに人だらけで身動きとれなさそうだ。あたし、自由を愛してるんだけどなぁ。
「シャナー、マリヤー!! やっと来たの? 遅いなぁって思ってた」
あ、リュアだ。珍しく質素な感じの服。
「王子様に会えるからって派手な格好するんじゃ?」
「派手じゃないよぉ。予定が変わったの!」
リュアが顔を赤くして拗ねると、
「シャナ。派手はないわよ」
とマリヤも追い討ちをかけてくる。
あたしは事実を言っただけなのに……。どうしてあたしが怒られなくっちゃいけないんだろ。ほんと、理不尽。
「そ、それより、どう予定が変わったの?」
「ん? んーと、シャナとマリヤにプレゼントすることにしたから?」
ぞわっと鳥肌がたつ。嫌な予感。
「それってつまり……」
「うん! 二人にはリュアの王子をプレゼントしようと思ってぇ。必死に祈っといた」
何そのプレゼント!! いらないんだけど。ていうかリュアの王子様じゃないでしょ。
「来て良かったね、シャナ」
キラキラとしたマリヤが笑顔でいっている。
「うん、全然良くない」
何でそんなにキラキラできるの?
あたしの心が悲痛な叫びをあげるが誰も気付いてくれない。うぅ……。
「それではっ、今よりー、くじ引きを~、始めるー!!」
アナウンスが流れる。喋っているのは不思議なしゃべりかたのおじいさん。元町長らしく、今の町長のリュアのお父さんを恨んでるって聞いたことがある気がする。
さすがに当選したりはしないよね? 期待を込めた目でおじいさんを見つめてみたりする。
「では、一人目っ。マリヤ・アングリャーナ嬢!」
何でマリヤが選ばれてるんだろう。まぁ二人目にならなければ。
「二人目っ」
とここでおじいさんがまを置く。もどかしい。そして、
「二人目は、シャナ・アングリャーナ嬢! 珍しいことにー、双子でのー、当選です! これはご友人リュア・オクサムル嬢の父君が関係……ぐぁっ」
当選しちゃった。あのおじいさんがどうなるかは気になるところだけど、それより自分の方が大変だ。あぁ、当選したくなかった。最悪。
「ね、だから言ったでしょ? 最高のプレゼントあげるって。がんばってねぇ」
リュアに笑顔で話しかけられる。
「あぁ、うん。ありがとね」
あたしは適当に返すとふらふらとマリヤの後についていった。
ここから中央行きの馬車に乗るまでの記憶は一切無い。つまり、それだけ最悪だったと言うことだ。