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クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる  作者: グミ食べたい


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第41話 三間坂さんの背中

 突然の思いもよらない三間坂さんからの頼み事を受け、俺は慌てて振り返る。


「……いいの?」

「ほかの人には頼めないでしょ」


 三間坂さんは後ろ向いたままなので、その表情はわからない。

 確かに誰か知らない人に頼むよりはいいかもしれないが、これでも俺は男だぞ?

 三間坂さん的にオッケーなのかそれは?


 俺の頭は混乱したままだが、いつまでも三間坂さんの水着なし状態にしておくわけにはいかない。今はまだ誰にも気付かれてなさそうだが、こんな状況だ、いつ誰に気付かれるかわからない。気付かれてしまえば、余計に三間坂さんは水着をつけるのが困難になっていくだろう。

 俺は覚悟を決める。


「そっちに行くけどいい?」

「……うん」


 今まで一定距離以上には近づかないようにしていた俺だったが、三間坂さんの水着をつけようと思ったらすぐ近くまで寄る必要がある。

 俺は彼女との距離を詰めていった。


 …………


 今、俺のすぐ目の前に、何も隠す必要のない三間坂さんの背中がある。

 もちろん三間坂さんは首まで水の中に入っているため、その背中は水面ごしに見ることにはなっている。そのため水面の揺らぎで見えにくくはなっているのの、それでもさすがにここまで近づけば、水ごしでもわりとはっきり三間坂さんの背中が見えてしまう。


 ちっちゃくて柔らかそうだ……。

 男の背中とは全然違う……。


 おっ、危ない。こんなふうに見とれていることに気付かれたら、また三間坂さんに何を言われるかわからない。

 水着に集中しないとな。


 俺は流れる水のせいで三間坂さんの後ろでひらひらしている水着の端と端を掴んだ。そのまま二つの端を合わせるために、右手と左手を三間坂さんの背中で近づけていく。


 ……水着って思ったより余裕がないんだな。できれば三間坂さんの背中から離れたところでくっつけたかったが、水着にはそんなに伸ばせる余裕がなかった。背中にそわせて合わせる必要があり、必然的に俺の手も三間坂さんの背中に触れることになってしまう。


「――――!?」


 俺の手が背中に触れた瞬間、三間坂さんかの背中がピクリと震えた。変な声でも上げられたら周りの視線を集めてしまうところだったが、さすがに三間坂さんは声を出すようなことはなかった。いきなり触れてしまったからびっくりさせてしまったのだろう。

 ……それにしても、なんて柔らかな肌なんだろうか。指先で振れているわけではないのに、それでも柔らかなのがわかってしまう。もちろんぷにぷにと背中に肉がついているわけではない。ただ純粋にその皮膚が、俺の皮膚と違って柔らかくてつるつるしているのだ。


「……高居君、留められた?」


 手から感じる三間坂さんの感触に浸っていた俺は、三間坂さんの言葉で本来の目的を思い出す。

 そうだ、水着のホックをはめないといけないんだった。


「ごめん、まだ。こういうことをしたことがなくて……」


 水ごしに見ているため肝心の留める部分がよく見えていない。そのため手の感触を頼りに留めることになるのだが、そもそも仕組みをよくわかっていない。そのせいで、さっきからうまく留められず、失敗するたびに不必要に三間坂さんの背中に手の圧をかけてしまっている。

 ううっ、三間坂さんの背中に触れるのはちょっと嬉しいけど、多分三間坂さんは俺に触れられているのなんていやだろうな……。

 早く留めてあげないと……。


 …………


「留まった!」


 苦戦の末、俺はなんとかうまく三間坂さんの水着のホックを留めることに成功した。

 俺はすぐに水着から手を離す。


「三間坂さん、ちゃんと留まってると思うけど、一応確認して」

「……うん」


 三間坂さんは背中に手を回して自分でも確認する。


「大丈夫みたい。……ありがとね」


 ようやく三間坂さんが体をこっちに向けた。

 三間坂さんの顔はすごく赤くなっている。耳まで赤い。

 やっぱり水着なしでプールに浸かっているのが恥ずかしかったのだろう。

 俺だってもし海パンなしでプールに入っていたら恥ずかしくてたまらないのだから、その気持ちは理解できる。


「ごめんね。慣れない水着を着てきたせいでこんなことになっちゃって……」

「ううん。気にしないで。可愛い水着な分、大変なんだね」

「可愛い!? え、あ、水着か……そうだよね……」

「…………?」


 三間坂さんは一瞬驚いた顔を浮かべたが、すぐに元に戻った。

 うーん、今日の三間坂さんはちょっと変かもしれない。

 でもまぁ、こんなトラブルが起こったりしたらそんなふうにもなってしまうか。


「そういえば高居君、一ノ瀬さんは? 二人で一緒にウォータースライダー滑りに行ってたんじゃなかったの?」

「多分まだウォータースライダーで遊んでるんじゃないか? すごく楽しそうだったから」

「……高居君だけ戻ってきてくれたんだ」


 三間坂さんはあまり俺が見たことない顔をして少しうつむいた。

 ん? なんだこの表情? どこかで見たことあるような気もするが……


「一ノ瀬さんと二人になれるチャンスだったのに、よかったの? せっかく私がそんな機会を作ってあげたっていうのに?」

「んー、でも三間坂さんがもし一人で寂しそうにしてたらって思ったら、いてもたってもいられなくなって……。それに、戻ってきた正解だったし」

「――――!」


 三間坂さんの顔がまた赤くなった。

 やっぱり今日の三間坂さんはちょっと変だ。


「……ねぇ、高居君。二人乗りのウォータースライダー乗ってみない?」

「え?」


 思わぬお誘いだった。

 三間坂さんはそういうのが苦手なのかと思ってたんだけど、そういうわけではなかったのだろうか?


「行こっ」


 三間坂さんは返事も待たずに、俺の手を掴んで引っ張り出した。


 いや、まぁ、ウォータースライダーは全然いいんだけどね。

 でも、三間坂さん、手を繋いでるんだけど、それはいいの?

 ねぇ?

 まるで恋人同士とかに見えちゃわない?

 ねぇ?


 俺達は二人乗りウォータースライダーの方に向かって、流れるプールの中を歩いて行った。


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