表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる  作者: グミ食べたい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/46

第37話 ウォータースライダーの順番待ち

 俺と一ノ瀬さんは、ウォータースライダーの順番待ちの列に並んだ。


 冷静に考えてみると、一ノ瀬さんと二人きりになるのは、これが初めてだ。

 もちろん、実際には周りに知らない人が大勢いる。でも、俺と一ノ瀬さんのことを知っているのは、お互いだけだ。

 そう考えると、これはもう二人きりと言っても差し支えないだろう。


 普段の俺なら、こんな状況におかれれば、緊張で何も喋れなくなってもおかしくない。

 それなのに――夏の陽気のせいか、それともこれまで積み重ねてきた時間のおかげか、俺は自分でも驚くほど自然に一ノ瀬さんと会話ができていた。


「私、男の子と一緒にプール来たの、初めてなんだよね」

「僕もだよ。男子とだって、一緒に来たことないんだ」

「そうなんだー。三間坂さんに誘われたっていうのもあるけど……高居君は、一緒にいても緊張しないからね」


 そうか、そうか……。


 ……ん?

 それって、喜んでいいことなんだろうか?

 男として意識されてない、ってことじゃないよな……?


「たまに男子から遊びに誘われることはあるんだけど、やっぱり二人きりってなると、どうしても抵抗があって。だから、いつも断っちゃうんだよね」


 なるほど、なるほど……って、誘われてるのか!


 急に、胸の奥がざわついた。

 俺なんて、いまだに三人のLINEグループでやり取りするくらいで、一ノ瀬さんと一対一でLINEしたことすらない。

 遊びに誘うなんて、考えたこともなかったというのに……。


「へぇ……誘われたりするんだ。……クラスの男子とか?」

「うん。あ、でも他のクラスの男子からもあるかな。あんまり話したことない人に誘われると、びっくりしちゃう」


 …………。


 すげぇな。

 みんな、そんなに気軽に誘ったりしてるのか……。

 さすが、クラス一の美少女・一ノ瀬さんってことなのだろう。


「そ、そうなんだ。やっぱり一ノ瀬さんって、人気あるんだね」

「でも、三間坂さんも、男子からいっぱい誘われてるみたいだよ」

「――――!?」


 なぜだろう。

 一ノ瀬さんが誘われていると聞いたときより、今のほうが心臓が強く跳ねた気がする。


 ……でも、三間坂さんの可愛さは、クラスで三番目。

 上位なのは確かだけど……そんなに人気があるのか?


「一ノ瀬さんに断られた人が、三間坂さんを誘ってたりして」


 自分を落ち着かせるため、冗談めかしてそう言ってみる。


「ははは。そんなことないよ。三間坂さん、誰にでも気さくだし、男子にすごく人気あるからね」

「――――!? そ、そうなんだ……」


 一ノ瀬さんは、適当なことを言う人じゃない。

 つまり、それは本当に三間坂さんが人気者だということだ。


 確かに、三間坂さんは誰にでも明るく接する。

 その距離感を好意だと勘違いしてしまう男子がいても、不思議じゃない。


 俺が一緒に遊んでいる異性は、一ノ瀬さんと三間坂さんだけ。

 でも三間坂さんは、もっとたくさんの男子と関わっていて……俺はその中の一人にすぎないのかもしれない。


 ……いや。

 むしろ、そう考えるほうが自然だ。


「そっか……三間坂さん、他の男子とも遊んでたりするんだ……」

「ううん。そういうわけじゃないみたいだよ」

「え?」

「誘われはするけど、男子と遊んだことはないんだって。私と同じで、いつも断ってるみたい」

「……そうなんだ」


 胸の奥に溜まっていた何かが、すっと軽くなる。

 さっきまでの重苦しさが、嘘みたいだった。


「あれ? 高居君、なんだか嬉しそうだね?」


 ……嬉しそう?

 俺が?

 なんでだろう?


「え、あ、そう? もうすぐウォータースライダーの順番が回ってくるから、かな?」

「あ、確かに。もうちょっとだね。楽しみ!」

「う、うん」


 一ノ瀬さんは、前に並ぶ人数が減っているのを見て、素直に嬉しそうな顔をした。


 でも――俺はと言えば、順番が近づいてきているのに、気持ちはそれほど高ぶっていなかった。

 一ノ瀬さんの話を聞いてから、頭の中に引っかかるものができてしまったからだ。

 気づけば俺は、目の前のウォータースライダーじゃなく、流れるプールのほうへ視線を向けていた。


 三間坂さん……今、一人であのプールにいるんだよな。


 流れる水に身を任せながら、一人で周回している三間坂さんの姿を想像した瞬間、なぜか胸の奥が、きゅっと締めつけられるように痛んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ