第一話 ラストチャンス
もう何回目だろうか・・・・・・・
またしても俺は異世界転生を失敗した・・・・
目の前にうっすら見える「THE END」の文字・・・・
そしてこの後の展開も俺はすでに知っている
そう、神にまた説教を食らうのだ。延々と。
そう思っていたのだが、今回は違った。
「ハヤテさん、もう次はありませんよ」
「え?」
転生女神ジアハードは無常にも俺に最後通告を告げる
「転生にもね、限度があります」
「いや、普通ゲームでも何回もやり直せるでしょ」
「あなたね、やられすぎですよ!チート能力持ちながら!」
「でもいきなり魔王と戦えってのも無茶じゃない?」
「過去の転生勇者は皆きっちりこなしてその後は幸せに暮らすなり、元の世界に戻ってます」
「あなた、攻撃に能力全振りして、防御回復無視するからこんなことになるんです!」
そうなのだ。性格上守勢に回るのは好きではない。
「一撃必殺って言葉知らない?」
「当たらなければ意味ないですっ!」
延々と文句を言われ続ける中、俺は意を決した
「とにかく、次は何とかして見せる。さ、次の転生先はどこだ?俺の役目は?」
「今までの勇者などのレアキャラ転生は終了です。今回は商人です」
「は?商人?商人でどうやって世界を救うんだ?」
「あなた、元々転生前は凄腕の交渉人だったんですよね?」
「交渉人っていうかー、、、営業だよ、ただの」
「経営もされていたでしょ?」
「自営業ね・・・・一応」
「次の転生先は経済的に他国に遅れをとっています
そこを何とか立て直してください」
「少なくともあなたに武力に期待をするのは諦めています、他の神も含め」
「それって異世界である必要があるか?」
「とにかくいってらっしゃい」
あたり一面に眩い光が魔方陣を描き出す
「ちょ!?まだ何の説明も!!スキルもまだ!!」
「いってらっしゃーい」
「あ、ちなみに次死んだら無になるから命を大事にしてくださいねー」
「うわぁぁぁぁー」
こうして最後のチャンスにされた俺は
商人としてこの新しい世界に送り出されたのだ
しかも、何のスキルもないまま。