表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

波間の中に

作者: ひよこまる

心が体を押しのけるように

もしそうやって疎外され尽くしてしまったら

私は物を言うことはできなかった

こうして貴女に

緩く優しい言葉をかけることも


そうこうしているうちに

季節は流れてしまって

私たちは何度目かの

私たちの時間が蓄積されてゆく

毎日の生活に

楽しさは見いだせないけど

一瞬一瞬の時間を

記憶に焼き入れることはできないけれど

これからも

まるで鳥たちがお互いを寄り添うようにして寝ているように

貴女の羽の一つ一つが

私の肌を撫ぜ

私の羽の一つ一つが

貴女の肌を撫ぜられれば

そうして私たちは

寒さを分かち合い

そうして私たちは

朝を迎える


だから私は考える

心が体を押し出してしまわないように

欲望が貴女との生活を蝕まないように

慎まやかな生活の中に

限りある幸福の中に

さすらう渡り鳥が

いつかの終わりに

その柔らかい体を

濃い草むらの青空の下で

横たえることができるように


そうして長い月日が経って

貴女はどこにもいなくなってしまっても

貴女の魂は循環し続ける

この世界の全てに

それに気づいた私は

今度は海に行こうとする

貴女が愛した

全ての命の源へ

この世界の全てに

私は貴女を探しに行く


巡礼の旅は終わらないまま

遠くでイルカの鳴き声がした




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ