〜秘密話・・・秘密だからねw〜
「皆は、ハイヒューマンと言う種族の事をどの程度知っていますか?」
「ハイヒューマン・・確か、人間が到達する最高の存在だと言う話だが?」
「ワード君・・其のとおりだ・・だが、人間が到達する最高の存在・・・変じゃないか?」
「?どこがだ?」
「人間は何時まで経っても人間だ・・・種族が自然に変わることもない・・そもそも人間が他の種族に変わるってのが自然に起きるとおもうか?」
「それは・・鍛錬を重ね、知識を高め、高潔に生きる事で、至るのではないのか?」
「・・・そこが・・変だといってるんだよ・・・」
「?」
「良いかい?鍛錬や知識を幾ら積み重ねても、高潔に生きようと、人間は人間なんだよ」
「・・・・・・では・・ハイヒューマンとはなんだ?」
「ハイヒューマンとは・・・・通常の人間とは違い、隔絶された能力を持ったものだ・・・・」
「!・・・・・・」
「人間の中から稀にハイヒューマンと言われるような力を備えた者が産まれる・・そして自分の能力に気づきそれを利用した結果、多くの人から別の種族のように崇められた者・・・・それをハイヒューマンと言ってるんだ」
「・・・・!・・・」
ワードは、何かに気づいたようだ・・・・押し黙る。
今度はボークスに・・
「ボークス・・・この大陸がどんな生い立ちか知ってるよね?」
「・・・・・・・ああ・・家畜だろ?」
「そうだ、大昔、ここの有史以前に起きた大戦の結果、人類が負け、機械人類により、牧場としての存在を認められた場所・・いわば、ここの者達は家畜だ・・」
一同が黙る・・・
「だが、大戦時に機械人類と戦っていたのは誰だ?・・・・ボークス」
「ハイヒューマンと聞いている。」
「そうだ・・そして、ハイヒューマンは負けた・・そして、家畜となる為・・此の地で繁殖したわけだ・・・」
「・・・・・・じゃぁ・・・もしかして、この大陸の者すべてがハイヒューマンなのか?」
「いや・・・そもそもハイヒューマンなんて居ないんだよ。居たのは、隔絶した力を持った人間だ」
「・・・・」
「話は戻るけど、ハイヒューマンの具体的な能力についてだ・・・・話の流れから分かる人は居ると思うが・・・」
「!ニック!・・・・・つまり、サシャはハイヒューマンってことか!?」
「まぁ・・その卵と言っていいだろう・・・・ハイヒューマンとも成れば、もっと大きな力を操るはずだ」
「・・サ・・サシャ・・・・・」
「ニックよ・・つまり、人間の中から稀にハイヒューマンが生まれると言う話じゃが・・今までに其のような事例は伝説の中だけであろう?実在したとは証明できないではないか」
「白氷の言うとおりだ・・だけど・・・力を持つ人間が生まれても其の力を気づき、育てると言う行為は一切されてないため、出現が確認されてないだけなんだよ。」
「つまり・・・気づいた者は居なかったのかえ?」
「多分、気づく程度のことは有ったんだ・・だけど、この世界には魔法が有ったからね。魔法と勘違いされて、闇から闇へ・・判らず終いだったんだよ。」
「魔法・・・なるほど・・つまり魔病の一種とでも思っていたのじゃな?」
「おそらくね。」
「しかし、少なからず其のことに気づくものはになかったのかえ?」
「おそらく居ただろう・・だけど、数が少なく、体系化した訓練も無い・・つまり能力が育たなかったんだ」
「なんと・・・・・では・・・」
「そう、実際は頻繁にハイヒューマンが生まれてたんだよ。だけど、ここの人間社会でそれを認めることができないもしくは・・・人のやっかみの渦の中に消されたことも有っただろうね・・・」
「う〜ん・・・ハイヒューマンを自分達で潰していた・・ということか・・・・」
「まぁね・・・それとね。魔法・・・・これも問題なんだよ。」
「魔法?なぜだ?」
「魔法ってのは・・・素を正せばこの世界に無い力なんだよ」
「えっ!・・人類は魔法の歴史と聞いているぞ?それに魔法を発見し発展させてきたのは人間だぞ?」
「デボイス君・・・そもそも、人間は魔法なんて発見してないんだ・・いや、今有る魔法は人間が発展させたものかもしれないが・・・それに至っても大した物ではないんだよ」
「・・・・・・どういうことだ?」
「魔法の素・・魔素・・・これに呪文で命令して、物理現象を引き起こしたり代償させたりして、望んだ効果を出すのが魔法なんだ・・・・」
「それは知っている・・だから魔導学というものが有るのだろ?」
「じゃぁ、その魔素ってなんだい?」
「魔素は自然から出される物だ・・・違うのか?」
「じゃぁ、自然は魔素を使い何がしたいんだい?」
「・・・・・・・それは理解らない・・・」
「魔素は自然が産み出す物ではないから出処がわからないんだよ・・・人間にはね」
「・・・・・・」
「色々な説明は省略するけど、魔素は機械人類が自然をコントロールために生み出した物質なんだ。」
「余り、多様していると、ハイヒューマンが育たなく成る。」
「!」
「もっと言えば、能力を持った者が育たないんだ。」
「・・・つまり、今までハイヒューマンが生まれていたにもかかわらずということですね?」
「そう・・・ただ、それを知った上で、使っているのならある程度は良いんだけど」
「使いすぎてしまうと何か悪いことでも起きるのですか?」
「魔素はね。機械人類が作ったと言ったけど、原材料がこの星そのものなんだ」
「星?」
「うん。もっと言うと地中深くに有る希少な鉱石や鉄、希少土類を使って作り出されてる。しかも魔素は代償効果を発揮すると、熱や光、エネルギーとなって霧散してしまうんだ」
「使い捨て・・ということですか?」
「うん・・・だから余り魔素を使いすぎるのは良くない」
「なるほど・・・・」
そんな話をしていると、近衛兵が投影虫を持ってくる。
「ふむ・・実に興味深いはなしであった・・・・さて・・その話題の機械人類について、映像で拝見してみようではないかえ?」
「そうですな」
「ええ」
「ボークス。落ち込んでるようだけど、ちゃんと後で相談に乗るからさ?切り替えていこう?」
「ああ・・そうだな」
「さて、皆さん。これから移すのは俺が見た物ですから」
「早う見せてみよ」
「はいはい」
俺は投影虫に触覚接続して、記憶の映像を映し出す。
そこには、まるで人間と見間違えるようなEGOの姿があった。
「のう?ニックよ・・機械人類とはもっとこう・・・人間の形なぞしてないように思えたのじゃが?」
「機械人類っていっても素は人間やそこら辺の動物を加工した者がほとんどだと思います。」
「どういうことじゃ?」
「まだハッキリとわかりませんが、おそらくこの大陸が牧場として存続している意味と重なるでしょう」
「・・・・それは・・つまり・・・いつの日か刈り取られ、機械人類にされるということかえ?」
「そうですね・・恐らくはそんなところでしょう」
「ふむ・・それは、由々しき事態じゃ・・一刻も早くこの大陸、ひいては人間をまとめ上げねばならぬな・・」
「そうなんですよ。人間同士で争っている場合ではないんです。」
「ふむ・・・」
「色々まだやらなくてはならないことが山積みですが、ここに居る皆は、ある程度秘密を共有してしまったのです・・ですから、今後もこのことは念頭において行動してほしいんです。」
「そうじゃな・・・ただただ、甘い日常を謳歌していれば良いというものではないのじゃな」
「そうですね。この星を機械人類から取り戻さないと、近い将来”刈り取り”が起こります。」
「・・ん〜・・・・そうか・・刈り取り・・・・!・・ニック殿」
「ん?」
「話が戻るが、魔法は機械人類が作り上げたものとのことだよな?」
「うん・・正確には、魔素ね」
「そうか・・じゃぁ、機械人類は魔法を使うんだな?」
「んー・・意味合いは有ってるけど、魔法と言うものは人類が試行錯誤して魔素を利用した結果できたものだから・・機械人類は使わないとおもう」
「なれば、魔法の研究も進めたほうが良いのでは?」
「んっと・・・誤解がないように言っとくけど、機械人類は機械人類式の魔素の使い手だよ?・・人間の開発した魔法程度じゃどうにもならないよ」
「そこは、研究でどうにかせねばならないのでは?」
「根本からして違うんだ・・そうだな・・・・デボイス君は少しは魔法使えるよね?」
「ああ・・多少はな」
「その魔法の中にファイアボールはあるかい?」
「ああ、火を起こしてボール状に加工、投げつけるやつだな・・それは出来る」
「詠唱はするよね?」
「勿論だ、詠唱なしでは魔法を扱えない」
「機械人類はさ?おそらく、無詠唱だよ。そもそも詠唱が必要ないしかも処理速度が人間の数千万倍だから・・・・こっちが一発打つ間に・・数億発うってくるよ?」
「・・・・・・・そんなにか?」
「うん」
「魔法では、機械人類は倒せないんだ。人類が束になって一人をやっつけても他に数万人は居るだろうしね・・・・結果から言うと不可能だよ?」
「そ・・そうか・・」
「生活や魔物退治程度に活用する分にはいいけどね・・・対機械人類てきには無理かな」
「ニックよ・・・では、もし機械人類を駆逐しせめたときは、魔素はどうなるのじゃ?」
「おそらく、魔素の工場が有ると思うからそれを潰せば星は助かる・・・だから工場は潰す」
「・・そうじゃな・・・我らの住処が無くなっては元も子もない・・・うむ・・・」
「ってことで、ハイヒューマンの件と魔法の件・・色々話したけど、どちらも重要だからね必ず守秘義務をヨロシク」
一同は、大きく頷き報告会は終了した。