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〜あぁ、知ってます。この展開慣れっこです。〜

適当な生活を送ってきていたある日の事。

ローゼティアさんと主様が家に訪ねてきた。


『お久しぶりですね。ニック様』

「こんにちは、ローゼティア様」


『お体も大分、お元気になられたようですが、こちらでの生活はいかがでしょう?』

「アルミナさんに良くしてもらっているので、特に問題はないとおもいます。」

『魔法の習得は進んでますか?最近はあまり呼ばれないようですけど・・・・?』

「大丈夫ですよ!ローゼティア様のお陰で随分わかることが多かったので!助かりました!」


「ところで今日はローゼティア様だけでなく主様も一緒のようですが、どのようなご用件でしょう?」


『・・少し困ったことが当領地で起こっていまして、少々、ニック様のお力をお借りしたいのですが・・・』

「・・どのような問題なんでしょう?俺の方はまだ一歳くらいで、ほとんど役に立てないとおもうんですけど・・?」


『そうですね・・年齢は関係無いのです。あえて言うのでしたらニック様でなければ出来ないということでしょうか?』

『主様よりニック様は特殊な方だと伺っておりまして、できればお知恵をお借りしたいと・・』

「特殊って言われると、ちょっと人聞き悪いですが、まぁ、一歳で言葉が喋れる人間は居ないでしょうし・・特殊でしょうけど・・・」

『主様より、ニック様から今回の問題を解決するに足りるお知恵が聞けるはずと伺っておりますので・・』

「・・・そうですか・・で、どのような要件なのですか?」


ローゼティアさんから終始、赤さんに今回の問題が解決できるのか?という雰囲気が伝わってくるが、何分主様が言うことなので、仕方ない。という感じである。


『当地、外周より、2日ほど離れた場所に岩山がありまして、そこに大きな蜂が巣を作っているんですが、最近エサに困ったのか、こちらの外周へ来ては妖精をさらっていってしまうのです。現状、自警団と飛行部隊のお陰でなんとか撃退してるのですが・・・』


「大きな蜂ですか・・厄介ですね。」

「それで、大きいということですがどのくらいの大きさなのですか?」

「あと、岩山に巣があるとのことですが、岩場に巣を構えているんでしょうか?できれば詳細な生態が聞けると良いのですけど・・」

『蜂の名前はソードヘッドというもので、大きさは平均ゴブリンくらいの大きさになりますね。岩場の亀裂などに巣を作っており、一つの巣には大体、一匹の女王に対し大体200匹ほどいるので、今回確認できている巣が3個ありましたので600前後となりますでしょうか?』

『今回目撃された蜂は一匹のようですが、大きい個体と見られ、大きい個体といえば兵隊蜂と言われるとても攻撃性の高い蜂になります。』


「兵隊蜂ですか・・・・」

・・・兵隊蜂?・・蜂って蟻みたいに兵隊とか作るっけか??この世界独特なのかな?


「ソードヘッドということは、やはり頭に剣のようなものが付いている感じですか?できれば、もう少し詳しく生態がわかると良いのですけど・・・」


『えぇ、頭に剣の様な突起物が付いてまして、普通の小さな蜂とは違い針を持っていません。ただ、通常の蜂と異なり、肉食性でして基本的に狩りを行って暮らしているようですね。』


「社会性とかはどのようなものですかね?兵隊がいるようでしたら他にも違うものがいるわけですよね?」


『通常は女王を頂点にして、女王を守る役目の近衛兵が2匹、外敵に対応する兵隊が20匹、採取や狩りをする狩人が50匹、残りが巣を維持する役目と幼虫の世話や雑用をする感じです。』


『今回、目撃された兵隊蜂は、基本的に巣の周りから離れないはずなのですが・・』


「うーん・・・社会性があるのに・・兵隊が勝手に行動するのはおかしいですね・・・・?」

「もしかしたら、餌が目的なのではない可能性がありますね。」

「餌が目的なら狩人クラスの蜂が出張ってくるでしょうし・・」


『そうですね。気が付きませんでした・・・確かに狩りでは無いのかもしれないですね・・』


「そのソードヘッドは他の個体とどのように情報を伝達、交換したりするかわかります?」

「例えば、匂いとか音とか・・」


『ソードヘッドは主に匂いでしょうか?特に女王は様々な種類の匂いを出すことができるようですし、匂いの強弱などで、複雑な命令を出しているようにも見えます。』


「ふむ・・・」


ってことはだ、推測すると・・


兵隊蜂は独自の判断で巣の周囲から離れないのになぜ巣から離れたのだろうか?

恐らく、例外でなければ、女王の命令を受けてのことなんだろう。


女王の命令とは・・・なにが目的なのかな?

兵隊は敵を見つけたら殺してしまうだろうが・・・さらっていくって言うのも妙だな・・

拐う・・・・何かをさがしてるのか?

何を探してる?


女王の命令で何かを探している・・・拐うってことから恐らく女王に取って重要な物?、者?・・・

ふむ・・・・物は探さないだろうから者・・つまり仲間の捜索だろう・・


仲間の捜索なら成体の蜂なら飛んで移動できるだろうし命令とかの情報も色々通じるはずだから成体では無いはずだ、となると・・・幼虫か!


女王にとって重要な幼虫がどこかに行ってしまったのじゃないかな?

だから、女王は探してこいと兵隊に言ったんじゃ?


「ローゼティア様、恐らくですが、その兵隊蜂は巣の幼虫を探しているのだと思います。」


『幼虫ですか?子供・・・ってことですよね?』

「はい、子供ですね。それも恐らく兵隊が出てきて探さないとならないほど、社会的地位がある個体でしょう。」


『ふむ・・・なるほど。しかし、目的がわかっても・・・』


「それでは、当面の間、妖精達に家から離れないように言ってください。」

「あと、ローゼティア様クラスならその蜂とコミュニケーションをとることが出来ませんか?」


『私でしたら恐らく思念の受け答えはできると思いますが・・・』


「コミュニケーションできれば、人探しってか幼虫探しがはかどるんですけど・・」


『そうですね・・ただ、攻撃されると一溜りもありませんし・・かなり危険を伴いますが・・』

「そこをなんとか・・この国のためですし・・できませんかね?」


『・・・やってみます・・』

「じゃぁ、きまりですね!」


こうして、兵隊蜂との会話をする事になったわけだが、

終始、主様は空気だった・・・ってかさ、俺にずっとちょっかい出すのやめてほしいんですけど!

主様のツメを俺の口の中に突っ込もうとしたり、マジウザイ



そんな話から数日が経った頃、兵隊蜂の襲撃が有った。

現場へ急いだ俺とローゼティアさん、主様なんでついてくるかわからん


現場では、まぁこれまた大きな蜂が居た・・・・ってかどう見ても蜂じゃないよね?あれ

ゴブリンより一回りデカイ体にぶっとい足、凶悪な鉤爪に硬そうな外骨格、おまけに頭には三本の剣の様な角が・・・って、アトラスオオカブトに似てるが・・・体が蜂なんだよ・・スズメバチによく似てる。


現在、自警団風のノーム総勢50名が思い思いの武器を手にしており、飛行部隊見たいなフェアリー30名が鉛筆くらいの槍をもって対峙していた。


それを見た俺の感想

ローゼティアさん確か自警団と飛行部隊で撃退してるっていってなかったっけ?

これさ、撃退むりじゃね?鉛筆でどーやっておっぱらうんだよ?


蜂との戦闘は終始、フェアリーが鉛筆アタックをしているが全く効かない。

ってかカツンカツンおとがするだけ。


ノームの攻撃は飛んでる蜂に届きもしない。

飛んでる蜂の下でウロウロしてるだけだし・・・


終いには蜂にフェアリーが掴まれている。

・・・あれって、捕獲されてるんじゃないかな?


そんな中にローゼティアさんが果敢にもツッコンで行く・・・


あっ・・捕まった!ヤバイ・・・

ローゼティアさん涙目でこっちみてる!すごく申し訳無さそうに捕まっちゃいました的なゼスチャーしてるし・・・


主様!ここは一つ主様のお力でなんとかできませんか・・・・ね?

ムリ?あんなデカイのお手上げ?


ってか主様って神様みたいな感じじゃないの?なんか攻撃とかできないわけ?

・・・あっ・・そうですか・・攻撃力なんて有るわけないと・・・


・・ッチ・・つかえねぇ・・・ダメだ、コイツ・・・


主様、そんなに憤慨してもだめですよ!それよりもローゼティアさん助けないと!

・・え?・・オマエが行け?・・・


冗談でしょ?俺こう見えて、未だ一歳くらいの赤さんだよ?

イケルイケル!じゃねーよ!


・・・でもなんとかしないと・・・・・・

!・・煙・・確か昆虫類は煙が呼吸器系に悪影響を及ぼして機能が低下するはずだよな?


火を起こせばそこらの草で煙がでるんじゃないか?よしっ!


おれは吃音で叫んだ!

「ノームの皆さん!火です!火を地面につけてください!そしてできるだけ煙をたててください!」

「そうすれば、蜂も落ちてきます!」

・・・ノームがんばれ!・・・・

・・・


あれ?・・ノームが誰も火を起こさない・・ってかすごい形相でこっち見てる

・・・・はっ!・・・妖精は火が嫌いだったじゃねーか!

火なんか起こしたこともなければ、煙で一緒に倒れるかもしれない!

だめだ・・・・・此の手はつかえねぇ・・・どーすんだよ!


そんな状態がしばらく続くと、突然掴まれていたローゼティアさんから戦闘中止の合図が出た。

すると蜂が地面に降りて、捕まっていたローゼティアさん他数名の妖精も手放した。


どうも掴まれながらも必死にローゼティアさんが蜂に語りかけていたようで、なんとか話をできる状態に持ち込んだようだ・・・・・俺いる意味なかったな・・・



現在、ローゼティアさんが必死に交渉している。

俺達は、遠巻きにボケーッと見ているわけだが・・・

正直暇だ・・主様は飛行部隊のお嬢ちゃんにちょっかい出し始めてるし・・・

ローゼティアさんがコチラをチラチラ見てるのも気になる・・・



すると、ローゼティアさんから

『すみません。ニック様コチラにきて少し詳しい話をお聞きしたいと言っているんですけど・・いいですか?』

と言われたんだが・・・・・ローゼティアさん・・俺なんも役にたてませんよ?


まぁ、呼ばれたんだし行くしかねぇ・・やダケド


俺が近寄ると、蜂の姿がよく見える・・・

初めの印象は、やっぱりでけぇ!だった・・・

そして隣に付いてきてる主様・・・なんで付いてきたし・・・


取り敢えず、交渉?すっか・・・

『ニック様すみません。お手数をおかけします。』

「いえいえ で?どんなお話になってるんでしょうか?」


『以前、ニック様が居たゴブリンの集落がありましたよね?』

「えぇ・・」

『そちらにニック様よりふた回り位大きな幼虫を見ませんでしたか?』

「・・・!・・み・・みましたよ・・? どれがなにか・・!」

『お気づきになられましたか・・・彼らの王子になる予定の幼虫だったようです・・・』

「・・・え?・・マジかぁ・・・い・・いや、でも・・えー!」

『いま現在、その王子様が行方不明なのだそうですが、匂いを辿っていくとこの国に辿り着くらしいのです。』

「・・・・・」

『もう、おわかりですね?』

「・・はい・・・」

『兵隊蜂は恐らくニック様に染み付いている匂いを追ってきたようで・・・』

「え?でももう半年も前のことですけど・・?匂いってそこまでのこりますか?」

『そこが、分からないのですけど、どうも先程からニック様を王子だと兵隊蜂が言ってるのですが・・心当たりあったりしますか?』

「いやいやいやwこころあたりなんて・・・・な・・い・・です・・」

『あるのですね?』

「・・・はい・・・・」

『どのようなことが有ったのかお話いただけますか?』


俺は、洗いざらい話した・・・

ってか不可抗力だろ・・動けない俺に芋虫の排泄物与えられてたなんて・・いえないだろ普通・・


『・・・其のようなことだったわけですか・・難しいですね・・』

そう言うと、ローゼティアさんは兵隊蜂になにやら話をし始めた。


パパンめ・・・・・いやゴブリンめ・・・

そりゃー王子芋虫ならありがたがるだろう・・しかも、王子の排泄物かぁ・・

まぁ飲んじまってるのは事実だし、最後の方はもう慣れちゃってたしな・・

となると、結構王子臭がしてるんだろうか?俺


主様・・・・そこで、なんで難しい顔してる風に腕組みしてるんだろ・・・?

主様絶対わかってないよね?俺の絶望・・むしろ楽しんでないか?


そうこうしてると、ローゼティアさんが話を終えたようだ・・

コチラを向くと、すごく申し訳無さそうな顔をしている・・・


あ・・はいはい・・大体展開はよめてますよ

あれでしょ?俺を王子ってことにして蜂の巣に連れてくかんじでしょ?此の流れ


『ニック様・・申し訳ないのですが一度、兵隊蜂と一緒に蜂の巣のほうへ行って女王蜂とお話だけでもしていただけませんか?女王蜂も私と同じくらい念話ができるようですので』


此の展開はわかってましたよ・・しかも、目の前に兵隊蜂がいるんだし・・拒否できないよね?

行きますよ!行きます!もう、どーにでもなれ!


「行きますよ!そして女王様に一度ちゃんとお話をさせてもらいます。」

ローゼティアさんがすごく安堵している。


『それでは、早速で申し訳ないのですが今から向かうようです』

「え・・準備無し?」

『えぇ・・というのも兵隊蜂も期限ギリギリだったようで、期限までに戻らないとウチの国に攻め入ってくる予定だったらしく・・早期解決ということで・・申し訳ないのですが・・』

「・・・しかたないですね・・」


まぁ、仕方ないだろ・・だって、今来なきゃ攻めるよ!っていわれてるんだし・・

妖精の国にも随分御厄介になってるわけだしな・・しかたない・・さ・・・


「あの・・何時頃戻れそうですかね・・?」

『・・・わかりません・・・』

「ローゼティア様もいっしょに来『いきません!』 ・・・」

食い気味に拒否された・・・


「デスヨネー」

・・・・


「じゃあ、行ってきます・・・・」


俺の腹をガッツリと抱えて蜂が元気よく浮上していく・・・ってかさ・・主様・・付いてきちゃうんですね。

え?俺といる方がたのしい?


・・・俺は勘弁だけどな


こうして、兵隊蜂に連れられて、蜂の巣にむかった。



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