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#86 三つ子星の優しい王女と愚かな影姫 4

「いきなりおしかけてすみません。私はイザベラ。この星ではこのあと個人番号が続くので他星の方には名乗れません、すみませんがご容赦ください」

「あたしはエクレア。よろしく~」


 しっかりしてはきはきと話す黒髪でスレンダーな美少女がイザベラ。

 ニコニコとしているが頭悪そうに話す金髪でグラマラスな美少女がエクレア。

 

 カグヤにこの星の王族を調べてもらって王子が2人、王女が1人いるというのはわかっている。

 ただ未成年の王族は個人情報保護の観点から顔どころか名前さえ公表されていない。

 兄の2人は成人済みなのでお披露目がすみ、顔も名前も公表されているが王女にいたっては存在しか出てこない。

 王宮の管理頭脳をハッキングすれば映像くらい出てくるだろうが、さすがにセキュリティが堅く時間が足りなかった。


「俺はこの船の船長、日下部晃だ」


 俺の自己紹介にエクレアが首をかしげながら俺を見る。

 指で頭をたたきながら何やら考え、やがてハッとした顔をし、


「イザベラ、この人、あの人に似てるよ!」

「もう、いきなりなんですよ、エクレア」

「ドラパパだよ。ドラゴンパパ!」


 誰だよ?


「……この国の俳優で、父親役といえばこの人というくらいの国民的な名優です」


 カグヤが映像を映し出す。


「生まれる前の遺伝子操作にミスがあったようで、50歳を過ぎ、徐々に老化が始まった悲劇を乗り越えて、170歳で死ぬまで演技を続けた役者だそうです。老化を逆手にとって父親役に従事し、いつしか偉大なる父親ということでドラゴンパパの愛称で呼ばれるようになったそうです」


 この星でもドラゴンは崇め奉られているのか?


「マイタンほどではありませんが、どの星もドラゴンと言ったら『偉大な』とか『神聖な』とかの代名詞ですよ」


 そうか、前の印象を引きずってはいけないな。


「そうですね。あと私の存在もたまには思い出してください」


 ああ目の前にも偉大で神聖なのがいたな。

 すまんすまん。


 それはいいんだが、俺に似てるか?

 がっちりとした体格の渋めのナイスミドルじゃないか。

 俺みたいなひょろっとした優男とはタイプが違うだろうよ。


「目元がそっくりです。あと額と頬のしわも」


 とポーラが言う。


「だよね、そっくりだよね」

「本当に、キャプテンは私の星のキャプテン・ギルバートにも似ていますが、こちらにもそっくりです」


 意気投合するポーラとエクレア。

 これは前も思ったが老化した人間を見たことがないから、誰を見ても同じに思うってことかね?


「そうなのでしょうかね?」

「あの、私はそこまで……似てるとは、思ってませんよ」

 

 イザベラはそういうが、それでも少しは似てると思っているのだろう。

 ちらちらと見比べている。

 だがエクレアのようにぶしつけに言うのは失礼だと思っているのだろう。


「え~、似てるって。イザベラだってドラパパ好きだったでしょう?」

「もう、エクレアは黙って! 今はそんなことしに来たんじゃないんだから!」


 まあそうだな、話をすすめようか。

 あとエクレア、俺のことはドラパパでも何でも好きに呼んでくれてもいいから。

 

「ホント? いいの?」


 だから少し黙っててな。

 とりあえず話をすすめたいから。


「ドラパパの意地悪!」

「すみません、あの子は本当に頭が悪くて」


 まあ気にするな。

 おっさんだから若い子たちのくったくのない会話は楽しくもある。

 歳の差を感じてものさみしくもなるが。


「……ちなみに日下部船長はおいくつでしょうか?」


 42歳。厄年です。


「厄年の意味はわかりませんが、まだお若いじゃないですか」


 40代って地球だとまだ働き盛りと言われていたがそうはいっても健康面で老化を実感する年だった。

 同年代との飲み会では健康の話題が多かった。

 どこそこが悪い、健康診断の数値が悪い、白髪が増えた、禿げてきた、老眼が始まったなど聞くも語るも涙の不健康自慢である。


 若干γ―GTPが高いだけでまだそこまで老化の階段を上っていない俺だったが、まるで他人ごとではない。

 ふさふさの友人が禿げてた日の飲み会など酒の味がわからなかったものだ。


 とはいえイザベラはお追従で言っているのではない。

 彼女たちの寿命からしたらきっと40代は若者なのだろう。

 平均寿命が200歳なら俺の感覚したら2倍か2.5倍か。

 そうなると俺はまだ異世界的には20、いや10代後半なのだろうか?


 確かにそう考えると若いんだが、いまさらそんなこと言われてもなあって感じである。


 ちなみに君らの歳は?


「私が17歳でエクレアが16歳です」


 実際の10代を見て、やっぱり自分との歳の差を感じる。

 うん無理はしないぞ。


 さてエクレアはポーラと同い年か。

 うちの国では俺くらいの年代だとそれくらいの子供がいても不思議じゃないからな。

 実際友達にそんなのがいる。


 もう、いっそ友達の子供と話す気でいたほうが気が楽なのかもしれないな。




誤字報告、感想、ブックマークしてくださった方ありがとうございます。


私事ですが本日が仕事納めです。

ストックが残り少ないのでどうにかこの休みで貯めていきたいです。

とりあえず目標は年内にこのシリーズの完結までを……あと何話だろうか。

まだ起承転結の起ですしねぇ。

13~15話を予想しているのですが。

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