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#83 三つ子星の優しい王女と愚かな影姫 1

今日から新シリーズです。

今回はポーラ視点です。



 私、ポーラ・アラカルトは生まれて初めて他星に降り立ちました。


 宇宙港、軌道エレベーターはほとんど同じだなと思っていたのですが、地上は全然違います。

 マイタンとは違い、高い建物が立ち並び、空がとても遠く感じます。

 あと雑踏というべきでしょうか、街にはあらゆるところで人がいます。

 人口的にはあまり変わらないという話ですが、一極集中しているのでしょうか?

 お祭りみたいな感じがします。

 

 往来の人の姿はマイタンの民と変わりはないように見えます。

 ただ着ているものがマイタンではみんなスーツか、それに白い修道服を羽織っているのに対して、この星の方はいろいろな色をした、いろいろなタイプの服を着ています。

 キャプテンが修道服以外も着てみるといいとおっしゃった時にはピンときませんでしたが、世の中にはこんなに服があふれているのだと今びっくりしています。

 私に似合うかどうかは別にして白以外の服に惹かれるものがあります。

 カグヤさんが羽織っているケープも素敵ですが、黄色のワンピースやピンクのキャミソールはとてもかわいいです。

 ウエストの部分をベルトやリボンで縛っているのは、かわいいうえにスタイルがよく見えます。

 少しやってみたいです。


 

 目に入るすべて物が違っていて、これが文化の違いなのかと目を丸くします。


 でも同じものだってあります。

 潮の香りです。

 蒼龍様のお住まいになる海に祈るために私たちは海辺に街を開いていました。

 そこで毎日すっていた空気と同じ味がします。


 あと大地は素晴らしいです。

 今までそんなことは感じたことがありませんでしたが、宇宙に出て初めて大地とはなんと頼りがいがあるのだろうと感じています。

 宇宙船だって私がどんなに飛び跳ねても壊れることはないことはわかってはいますが、本物の星の大地というものは絶対に壊れることのないと思うくらいの安心感があります。


 私はまだ宇宙にでて一か月もたっていませんので、宇宙船での生活が過酷と思ってはいませんが、地上のこの安心感は筆舌に尽くしがたいです。

 逆に言うならこの安心感が宇宙船での生活を不安にさせる要因なのではないでしょうか?


 

 白ウサギさんの案内に従って、私はまず魚市場に向かいます。

 カグヤさんには大量に仕入れなくてもいいから、できるだけ多くの種類を少しずつ手に入れてきてくれと言われています。

 できれば大量に多くの種類が欲しいところですが、国の方策と言われたら難しいのでしょう。


 しかし、お魚は本当においしいです。

 何を食べてもおいしくて、まだ食べたことがない魚がいっぱいあるということなので幸せです。

 私は今のところ焼くならサンマ、煮るならノドグロ、天ぷらならキスが好きです。

 とはいってもこの前いただいた鮭もおいしかったし、白身魚のフライもおいしくて甲乙はつけがたいです。

 魚はいろいろあり、調理法はその数に比例してあるのですから楽しみが止まりません。


 そうそう、キャプテンのおっしゃっていたお刺身やお寿司という生で食べる方法もあるというのだから、魚には無限の可能性があります。

 だてに蒼龍様の眷属ではないということですね。




 タクシーで到着したのは海辺に面した大きな倉庫。

 魚市場と言ってもオートメーション化された働く人のいない市場です。

 魚を獲るのも卸売りするのもお店に運ぶのも管理頭脳の仕事です。


 人がまったくいないわけではないですが、基本新鮮なお魚を個人で買うためか、より新鮮な状態で食べたいと料理店にいく人たちくらいです。

 私は魚を食べたいという誘惑に打ち勝って、まず個人が買えるスペースに赴き、管理頭脳に話しかけます。

 全種類を1匹ずつでも個人が買うには量が多いといわれました。

 

 それならばとキャプテンに言われた優先順位を上から買えるだけにしましょう。


 マグロ、タイ、サーモン……ええ、もうだめなんですか?

 マグロとサーモンは1匹丸々買うと大きいのでキロ数がかさむのだとか。

 

 お願いです、あとハマチをお願いします。

 そこを何とか!


 どうしてもだめなのですか? 

 じゃあヒラメはどうでしょうか?

 カンパチでもいいです!

 お金ならあります。

 ……ああ、いいんですか? 

 ありがとうございます!

 感謝します!


 あと言い忘れましたが、サーモンはメスで卵のあるやつにしてください。





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