#スピンオフ 若者の海賊離れを嘆く女神様に変身できる眼帯をもらったけど、あたしにそんなのできっこない 4
本日4話投稿、ラストです
喋りすぎた翌日、調子に乗ったとか、変なこといったと恥ずかしくて死にたくなったことない?
あたしはある。
てか今まさにその状態。
もう死にたい。
いっそ殺して。
「その前に一度カウンセリングを受けてください」
ブロン!
あんたもなんなのよ、さっきの「イエス、マム!」って!
あたしにはそんなこと一度も言ったことがないじゃない!
「先ほど言いましたが? カウンセリングが必要ですか?」
ああ、もう!
さっきのはあたしの姿してたけどあたしじゃないのよ!
「船長、本当に一度カウンセリングを受けませんか?」
ああ、もう!
いったいどう言えばいいってのよ!
「先ほどまでは理想の船長でしたのに、またダメな船長になりました」
ちょっとまって、さっきのは理想の船長なの?
「たとえ間違っていようが、失敗しようが実に堂々としていました。頼りがいがあります」
あんなのが頼りになるの?
てかさっきの状態のほうがカウンセリングが必要だと思うんだけど?
「今の船長のほうが必要ですよ?」
なんだろう?
この会話の成り立たなさは。
この眼帯って管理頭脳の認識を阻害までするの?
あっちより、今のあたしの方が普通だよね?
そうだよね?
しかし眼帯するだけでこんな目に遭うなんて思いもしなかった。
あの悪魔、まじで悪魔よ、大悪魔。
よくもまあ臆面もなく女神と騙れるわ。
恥を知ってほしい。
でも悪魔に何言っても無駄なんだろうな。
……とりあえずこの呪いのアイテムは封印するとして。
あとこの服どうしようか?
「船長、見苦しいものはしまったらどうですか?」
何よ!
あんたがあんなによく切れるカッターを渡したんじゃない。
あたし、スーツがあんなにスパスパ切れるのって初めて見たわよ!
「……あのときはよくお似合いでしたが、不思議ですね、今は見苦しいです」
見苦しいっていうな!
てかなんだろう、このブロンの反応。
眼帯をかけたあたしを同一人物に見なしているのに、扱い方がまるで別人なんだけど。
壊れてないよね?
エラー出さないでよ?
「船長のエラーのほうが心配です。カウンセリングが必要です」
今となってはお互い様よ!
「船長、先ほどの船からメールが届きました」
なによ。
今私をバカにする内容だったらマジで立ち直れないよ。
てか死ねるわ。
「残念ながら本文はついていないのですが」
ちょっとまって、いま残念って言わなかった?
「惑星Z3-Jのコンテンツ購入希望商品リストが添付されています」
Z3-J……ああ次の惑星のコンテンツ購入希望商品リスト!?
あたしは慌てて添付資料を見る。
ああ、あれも、これも……結構持ってるのがある。
売れるものがいっぱいあるよ!
え?
これくれるの?
売りに行っていいのかな?
「そういう意味かと」
ああ、あの悪魔が言っていたことは本当だった。
あの人、マジでいい人だ。
海賊した人間に普通こんな情けなんてかけないよ。
あの人、顔だけじゃなく優しいところもドラパパそっくりだ。
あ、お礼を言わないと……でもまって、ドラパパはドラマで「礼を言う暇があったらさっさと行って幸せになって来い」って言ってた。
ありがとう、ドラパパ、あたし行くね。
ブロン、ゲートに進路を。
……さっきの爆発でゲート飛べないという状況になってないよね?
「被害状況は軽微。ゲートジャンプに問題はありません」
そっか、被害は補助推進装置だけか。
もったいないなぁ。
使える部品だけでも拾えないかな?
「爆発することを恐れてパージは勢いよく飛ばす設定にしたのは船長です。取りに行くには手間がかかります」
――うっ。
そういえばそうだった。
じゃあ仕方ないか。
もったいないけど、一度は試せたから良しとしよう。
データも取れたし、今度はもっといいものを作ろう。
「今度はもっと小さいものにしてください。またゲート前で立ち往生はごめんです」
わかってるって!
いかがだったでしょうか?
本編と毛色が違いますが、笑ってもらえれば幸いです。
いまはマーロン三世との絡みを書いてる途中で、いずれは密航少女、蒼龍のその後をと思っていたのですが、ブックマークの減りかたを見ると需要ないのかな?
もちろん評価してくださっている方、ブックマークをしてくださった方もおられますし、12時間ほどで判断する気はないのでもう少し様子を見て考えます。
明日から本編に戻ります。