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#79 惑星パールと三つ子星

 入国手続きが終わる。

 ゲートから惑星パールまでは本来なら15日の道のりだが、オーバーブーストのおかげで10日でつくという。

 ならその間にすべきことは……、さてポーラ。


「はい、なんでしょう?」


 さっきからゲートのことを考えているところ悪いが、君にはもう一つ仕事がある。


「仕事、ですか?」


 うむ、金を稼ぐために交易をするというのは知っているか?


「はい、授業で習いました」


 なら話が早い。

 それを君にしてもらう。


「ちょっと待ってください、私がですか?」


 そんなにワタワタと慌てなくてもいい。

 この船には惑星ワイズという、宇宙に進出できず滅んだ惑星のコンテンツがあり、それを出すだけでほっておいても金は儲けられる。

 儲けた金で適当にその惑星のコンテンツを買うこと。

 その星の物品で何かよさそうなもの、他星で売れそうなものを選んで買うこと。


 それをポーラに任せたい。


「でも私、やったことないですし……」

 

 そりゃそうだ。

 もちろん俺も相談にのるし、ウサギもカグヤものってくれる。

 まあ一度やってみてもらおうと。

 さっきのゲートもそうだが、実際にやらないとわからないこともあるしな。

 別に失敗しても構わないんだよ。

 死ぬわけでもないし、惑星ワイズのコンテンツがある以上、金に困るわけでもない。

 まあ気楽にやってみよう。


「そうおっしゃるなら」


 カグヤが「船長逃げましたね」と訴えるような目で見ているような気がするのはきっと気のせいだ。

 さてカグヤ、惑星パールの情報を教えてくれ。


「……わかりました。惑星パールと聞いて一番有名なのは、ポーラ、お隣だからわかりますよね?」

「三つ子星ですか」

「正解です」


 三つ子?


「惑星パール、シール、ゴールは三つ子星と呼ばれています」


 同じ星系に居住型の惑星が3つあるってことじゃないよな。

 まえどこの星系も惑星の配置は同じって言っていた気がするが。


「それも正解です。船長意外と覚えていてくれてますね」


 褒められたような、馬鹿にされたような?


「そんなことありませんよ」


 カグヤがにっこりと笑うが妙に胡散臭い。


「心外ですね。それはさておき、この3つの星系は近距離に2つずつのゲートがありまして、この惑星パールからは4日ほどの位置に惑星ゴール、惑星シールにつながるゲートがあります」


 この惑星にはあとマイタンにつながるゲートもあるから計3つか。


「はい。惑星ゴールにも4日ほどの位置に2つゲートがあり、惑星パールと惑星シールにつながっています」


 なるほど惑星シールにも惑星パールと惑星ゴールにつながっている近距離ゲートが2つあると。


「そういうことです」


 近距離でつながってて交流が盛んだから三つ子星?


「そうです。その3惑星はたまたま君主制をとっており、国家間が友好に交わっていると王家同士で婚姻も盛んになり、その3惑星はだいぶ血が混じっていまして」


 まあそういうこともあるわな。

 友好でなくても敵対しないために子供を人質として送ることもあるしな。


「それは野蛮な惑星のみですよ」


 ポーラが艦橋にいるためかいつもの「ドラゴンを滅ぼした惑星」という言葉を避けたようだ。


「そんな歴史が続くといつしか3つの惑星を統一しようという話になって」


 ほう、野蛮でない惑星ではそういうのは平和的にいくのか?


「まあ政治形態なんて、ここまで管理頭脳で運営されていると飾りみたいなものですからね。3つの惑星はそれぞれ今までのようにやっていって、単に名目上の皇帝だけを1人決めようということになりまして」


 それでいいのか、異星人。


「せっかくだから国民が楽しめるイベントにしようということになりまして、30年に一度、各王家から代表を一人選んで、試練を与えてクリアーしたものを向こう30年の皇帝としようとなりました」


 いや、だからそれでいいのか、異星人。


「まあどうせ名誉職ですからねぇ。30年は自分の惑星が首都となり、3国合同のスポーツ大会や文化的イベントなどの開催権が与えられるくらいでしょうか?」


 それは特典なのかもしれないが、皇帝の特典としてはどうなんだろうか?


「皇帝個人の特典は別に一つあるのですが、それはさておき国家としては、国民としては非常に文化レベルが高いですね」


 なんで?


「授業で習いました。3つの星がライバル関係で常に切磋琢磨しているから、対戦系のスポーツだけでなく、芸術交流も盛んでとてもレベルが高いとか」


 とポーラの言葉になるほどと頷く。

 そうなるとこの3つの惑星では著作権があるからパールのものをゴールにもっていっても売れないのか?


「それもありますが、そもそも定期便で管理されていますからね。この惑星内で買ったものをこの惑星内では売れませんね。他所の惑星から持ってきたのを売って、ここで買った物は三つ子星以外の惑星に持って行って売るということになります」


 なるほど。

 平和的に3つの星が1つの国家になるとは、宇宙ってのはいろいろあるわな。

 ……ということはもしかして通貨も共通か?


「はい、ですからここで稼げば他の2つの星では売らなくても買えますね」


 今まで聞いてきて唯一の利点だな、それは。

 まあこういう国家だといろいろ問題もありそうに感じるが、それはドラゴンを滅ぼした地球人の思考のせいか?


「マイタンでは国にはいくつかの地区があり、そこで代表を決めて競うというイベントがありました。私もその代表になるだけでプレッシャーでしたけど、それが星単位の代表となるとどれだけのプレッシャーでしょうか? きっとこの惑星のトップアスリートの皆さんはどれほどの精神力なのでしょうか? その鍛錬法など教わりたいですね」


 ポーラ、お前はまじめだな。

 なんであんなヘタレドラゴンを祀る宗教でこういう立派なのが育つのかね。


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[一言] ドラゴンがヘタレだから一部の下のものが育った?
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