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#75 歓迎会

 じゃあ今日はこの辺にして、いい時間だしメシにでもするか?


「せっかくですから歓迎会をしませんか?」


 いいアイデアだ。

 ポーラも構わないだろう?


「えっと、ありがとうございます」


 まだ遠慮がちで会話もぎこちない新入社員と似たような印象を受ける。

 まあ適度に話しかけてやるのがいいだろう。

 そうしたら少しずつ慣れていくだろう。




「わあ、すごいですね」


 なんだこりゃ?


 いつもの食堂はテーブルとイスが片付けられ、中央に1つ丸テーブル。

 その上に数種類のピザが置かれている。

 カウンターには飲み物が準備されている。

 ちょっとした立食パーティー風だ。


「ポーラの国は船長の星の地中海の食生活に似ています。蒼龍教ではお祝い事とか催し物ではピザが食べられるということなので、ピザパーティーにしてみました」


 ふーん、まあ国によって色々あるわな。

 ポーラも嬉しそうだしいいんじゃないか。


「私、ピザ好きなんです」


 それはよかった、好きなだけ食べなさい。

 俺も久々に食べるがうまそうだな。

 でもその前に乾杯するか。


「先にお祈りを捧げてもいいでしょうか」


 ああ、そういうのもあるのか。

 気にしないからどうぞ。



「では、新たなる出会いに乾杯!」


 俺はビール、ポーラは炭酸入りのオレンジジュース。

 カグヤも立体映像でビールを掲げて、それを見たポーラが驚く一幕。


「ちなみにポーラは16歳と聞いたが、マイタンでは成人は何歳からというか、酒はいくつから飲めるんだ?」

 

 国によっては法律が違うだろうが、マイタンでは酒は戒律かな?


「蒼龍教では義務教育を終えた段階で成人として扱われます。お酒や結婚もそこから可能になるんですが……私は義務教育終えてないからずっと未成年になるのでしょうか?」


 さすがにそれは卒業させてくれるんじゃないかな。

 そんな不安そうな顔すんじゃない。

 今の状況下でも今年も卒業式するだろうし、そこでポーラを卒業させなかったら蒼龍が自分の巫女をないがしろにされたと怒るだろうから普通は卒業させると思うぞ。

 ポーラが星に帰った時に卒業証書くれるさ、……まあ蒼龍教の義務教育に卒業証書があるのかわからんが、それに準じたものが。


「その点は船長に同意します。あと半年でポーラは成人でいいと思いますよ」


 半年後の卒業式には出れないが、その時にはまた俺らでパーティーでもして祝おうじゃないか。


「いえ、そこまでのことは」

「宇宙にいたら退屈しますから、そういうイベントをするのもストレス発散になるのでぜひさせてください」


 カグヤが懇願するように頼む。

 今までイベントもなくやってきたが、別にストレスをためてなかったしな。


「何度も言いますが船長は異常です」


 手をかけずに心身ともに健康なのに、管理頭脳に異常って言われる世界のほうが異常だと思うんだが。


「そういうのを屁理屈といいます」


 おかしい、どうにも平行線だ。

 まあいい、今日はポーラの歓迎会だ、またにしよう。


「同感です。ポーラ、ピザの味はどうですか?」

「とってもおいしいです」


 嬉しそうに頬張るポーラ。

 ちなみにどんな具が好きなんだ?


「ベーコンとかソーセージやサラミみたいなお肉が入っているのは男の子たちが我先にと取りますので、いつもお野菜のとかチーズが何種類か乗ってるピザばっかり食べてました。お肉のピザがとっても美味しいです」


 どこまでも割を食らう子だな。

 ならどんどん食べな、遠慮はいらない。

 照り焼きチキンとか牛カルビとかは日本のメニューかな?

 口に合うならこれもいけるぞ。

 俺が一切れ先に食べ、満足そうな顔をするとポーラもおずおずと手を伸ばす。


「――――!!」


 そうか、声にならないほど気に入ってくれたか。

 それはよかった。

 これもどうかな、シーフードなんだがイカとかエビとか貝は戒律に触れないんだろう?


「こっちもおいしいです」


 ポーラは迷わず口に運ぶ。


「これらはキャプテンの国のトッピングですか?」


 他の星にもあるかもしれないが、俺の国でもあるトッピングだな。


「そうですか。ピザなんてお祝い事の料理だから、定番のものしかないと思っていたのですが、宇宙って広いんですね」


 そうだな、身近な食の思いもつかないアレンジに出会うとそう思うような。


「……ちなみにお魚を使ったピザもあるのですか?」


 こっちには無理に魚を食べさせようという気はないぞ?

 

「いえ、蒼龍様はお魚を色々食べてみろとおっしゃいました。ぜひチャレンジしたいです。ピザだけではなく他の食べ方も」


 ピザで思いつくのは……ツナマヨとか明太子かなぁ。

 しかし、まだ食べれるのか?


「うっ!」


 今までの食べてきた残骸を見つつ、お腹を触る。


 ピザにしろ他の魚料理にしろ、いつでも食えるさ。

 おいおい試していこうよ。

 時間はたっぷりあるからな。

 食という楽しみは宇宙船生活に彩を与えてくれるだろう。


 問題はカグヤ、……魚のストックは大丈夫か?




本日も誤字報告、ブックマーク、評価ありがとうございます。


ポーラの紹介を兼ねた日常回は意外と気を使いますね。

今後のストーリーの影響もあるのだとしみじみ思いました。


もうしばらく日常回を続けたいと思ってはいますが、詳しくは後ほど活動報告に上げておきます

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