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#7 ゲートの特性

「というか今更だけど、突入に別に速度が遅くても速くても問題ないのか?」

「本当に今更ですけど、ゲートアウト時に船体がさらに加速……オーバーブーストという現象が起きます。進入速度に比例してその加速時間が伸びますので一気に時間が稼げますってことです」


 オーバーブースト、心に響くいい単語だ。

 超加速は男のロマンだ。


「ちなみにさっきのだとどれくらい加速するの?」

「……わかりません」


 そんなすねた顔で言わないでくれるか。


「だって仕方ないじゃないですか、誰も40m級でその速度で飛んだことがないんですよ。データがないですから」


 40m級でコンテナ2基、出力10%で75秒

 35m級でコンテナ4基、出力25%で125秒

 30m級でコンテナ6基、出力40%で140秒が現在の最高らしい。


 こうみるとわざわざ大きい直径で突入しにくいものより小さいものでコンテナを増やしたほうが良い感じがするが、条件が同じだと大きい直径のほうが長く加速するらしい。

 コンテナ2基、出力10%で35m級だと30秒、30m級だと15秒となる。

 こうなると法則性があるそうだからさっきの40m級コンテナ3基出力60%も割り出せるんじゃね?


「法則性の予測はあるんですが確定してないんですよ。時々例外がありまして」

「例外?」

「円柱よりも歪な形のほうが加速時間が長いという都市伝説がありまして」


 そういって画面にいくつかの宇宙船を表示する。

 紡錘形やスペースシャトルのように翼のあるタイプ、艦橋が飾り程度の船のようなタイプと円柱タイプからすれば歪かもしれないが俺的にはこっちのほうが宇宙船ぽいのですが。


「これらは歪にしたのに加速時間が逆に短くなったタイプで、こちらのが長くなったものです」


 円柱の宇宙船にトサカが生えたような形状や、1/10くらいの円柱が2本取り付けられている宇宙船。

 円柱ではなく六角柱状の宇宙船。

 共通点としては若干大きい?


「そうですね。表面積は同じ30m級に比べて若干大きいですね。でもこれで35m級の加速時間を記録したそうです」

「じゃあそれが原因じゃね? 少し大きければいいと」

「そうかもしれませんが、確たる理由もなくわざわざ大きくするのはゲート突入が難しくなりリスクがあるのにできませんよ。技術の粋を集めてわざわざゲートの60%の大きさに艦橋ユニットをまとめたんですから」


 60%?

 なんかその数字に意味があるの?


「5%刻みに加速時間が変わるようだったので宇宙船を作る際に目安として60%直径で30mを目指したようです。このサイズならまだゲート進入もしやすいですし」


 ……あれ?


「直径ちょうど30メートル?」

「そうですよ。今乗ってる船だって1ミリのずれもないです」

「さっきゲートの50.いくらとかいってなかったけ?」

「ええ、正確には50.73メートルですが」


 特にカグヤに気が付いた様子はない。

 あれ?

 俺がおかしいの?


「じゃあそのコンマ73は切り捨て?」

「ええ、まあ誤差の範囲ですし」


 なるほど、これは文化の違いかはたまた種族の違いか。

 たかが0.73メートル。

 されど0.73メートル。

 宇宙のスケールからすれば切り捨てても構わないかもしれないがこの場合はさてどうだろうか?


「それだと直径30.438になりますけど……」


 誤差と言いたいのだろう。

 それなら30mちょうどの表面積と30.438mの表面積とついでに加速時間が伸びた歪な宇宙船の表面積を比べられるか?


「できますけど……、え?」


 宇宙の航海にはおおらかさが必要なのだろう。

 だが几帳面さを無視していいものでもない、と俺は思うんだがね。


「え? なんで?」


 計算結果に混乱するカグヤ。そこに正面画面にノイズが走り、


「大正解」

「――創造主!」


 モニターにいきなり女神が現れた


「さすがは私が見込んだ子、もう正解にたどり着いたね」


 満足げにうなずく。

 じゃあやっぱり?


「そうよ、正確な数字からの表面積の比率が正解」


 ゲートの大きさにたいして30%以上35%未満が何秒加速すると数値が決まっているらしい。

 でもそれくらいのことならすぐにわかりそうな感じするけど?


「そこは1ミクロン単位でネジを作る民族と管理頭脳任せで大雑把……もといおおらかな人間との差かな。あとドラゴンたちにもあえてゲートの大きさは小数点以下は切り捨てって常識でプロテクトしてるし」


 なんのために?


「気がついた人だけが得する裏技的な、でもいままで誰も気がつかないのよね」


 はて、成功者がいると聞いたけど


「あれは宇宙船の形をカスタマイズしたいってだけで真理にたどり着いた訳じゃないし」


 と不満顔。


「じゃあ現行の30m級って実際には25m級の性能ということですか!」

「そうよ」


 たかが0.73メートル、されど0.73メートル。

 誤差と切り捨てるように創造主から思い込まされていたので仕方がない、だがその誤差が宇宙史における最大の誤報と言うのならばなんともいいようのない後悔に苛まれてもしかるべきだろう。


「ああ、この事はナイショね。一応これは三大人類不可能領域の隠しギミックの1つだから」


 また難しそうな単語が。


「これは暇なときにカグヤに聞いて、何なら隠しギミック探しもしてくれてもいいわよ。

それじゃあ帰るわ。

よいスペースオペラを」


 嵐のように来て、去っていった。


 画面に残されたのは肩を落としたカグヤだけ……。


「えっとちょっと疲れたので、続きは後にして……ひと眠りさせてもらいたいんだけど」


 フォローの言葉が見当たらないのでとりあえず時間を空けることを提案する。

 社会人時代、下手なフォローで同僚の女性を怒らせるより、何のフォローもせずに嫌われるほうが気も時間も使わない分いいと学んでいる。


「……そうですか、ではお部屋に案内します」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] zzz……ん、話終わった? [一言] むずい、けどおもろい
[一言] やけにロストテクノロジーとか主人公が持ってる技能が役立ったりと不思議に思っていましたが、 そうですよね、創造主自身がスペオペフェチでしたもんね。
[一言] そんなアバウトな精度でどうやって機械とか作ってるんだろ。
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