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#6 ゲート突入(シミュレーター)

予定ではそろそろ宇宙生活が始まるはずでしたが、この主人公一向に動いてくれません。


とはいえ宇宙生活もこんな感じで進んでいくはずです。



「この続きはとりあえず一度シミュレーターをしてもらってから話しましょうか」


 まず操縦システムを選べと。

 飛行機っぽい操縦稈か車のステアリング、はたまたゲームのコントローラー的なものまであるのだが……とりあえずお試しで車のステアリングを選ぶ。

 ゲームコントローラーと悩んだがまあ毎日運転して慣れてるほうを選ぼう。


 座席の前の部分が開き、ステアリングが出てくる。

 車と違う部分は中央のクラクションの場所が液晶モニターになっておりスイッチが映し出されている。

 それとステアリングを握って両方の親指、人差し指、中指のところにスイッチがある。

 足元にはペダルが3つ出てくる。

 アクセル、ブレーキ、クラッチだろうか?

 ステアリングは左右だけではなく前後に動かせる。

 これで横軸縦軸と調整。

 ボタンで噴射して後方の船体を上下左右に微調整できる。

 なるほど長いと後ろの姿勢制御が時間食うからか。


「とりあえず30m級のコンテナ1基でやってみましょうか?」

「長さが100ってこと?」

「そうです」

「ちなみに聞くけど連結って中央で止めてて曲げるとくの字になるとかある?」


 コンテナと聞くとけん引タイプのトレーラーを思い出す。

 折れ曲がるタイプは乗ったことがないが聞くところによるとなれるまでは大変らしいが。


「いえ、きっちりと面部分と外周を固定しますので単に長さが伸びたと思っていただければ」

「そっか。それなら35m級のコンテナ2基から始めてみようか」

「――え? ……いえ、わかりました」


 しばしの逡巡の後、指示に従う。

 まず一度やってみればいいと思ったのだろう。

 俺もまったく同意見だ。


「では前のモニターに宙域を映し出します」


 カグヤが消え、現れたのは暗闇の空間。


「まずゲートを視覚化します」


 画面が5分割され中央の画面に真正面から見たゲートが映し出される。

 左上に宇宙船の後方から見た映像、左下には真後ろから、右上は横から、右下が真上から見た映像。

 ちなみに現在カグヤはステアリングが出てきた左にある小さいモニターに移動している。

 カーナビ付きの車のようだ。


「現状でのゲートから直線でラインを引きます」


 ゲートの輪っかがこちらに近づいてくる。

 なるほど現時点でどれだけズレているのかの視覚化してくれていると。


「真空の濃さを表示します。矢印の方向に流れが起きていると思ってください」


 いきなりゴルフゲームのグリーンに乗った映像になった気がするんですが。

 パットと違って上下にも矢印はありますが……これってラインを読めばいいってことかな?

 こうなるとゲームのコントローラのほうがよかったかな?

 下手にステアリング動かすのではなく固定して、後ろを左に4噴射、下に6噴射してアクセル踏むか。



「一発成功! しかも出力が40%って」


 思った以上に簡単だった。

 強いて言うなら加速の仕方がアクセルベタ踏みでは40までしか上がらなかったことだ。

 クラッチはどこよ? 

 ああ、液晶画面にあるんだ。

 そうなると片手になるな。

 真空で船体がブレるというのはステアリングは小刻みに揺れることから伝わってきた。

 片手で抑えても大丈夫なタイミングでさらに加速できるかな。


「ちょっと待ってください。なんでできるんですか! ありえませんよ!」


 何でと言われてもできるものは仕方ないんじゃね?

 

「35m級なら25%で成功できて超一流って言われるんですよ」


 なるほど、カグヤ、君の驚きはよく分かった。

 しかしまぐれかもしれないからなもう一回やってみよう。

 次は40m級でコンテナ3基にしてみよう。

 そうだな、全長200mだな。わかってるよ。

 あと画面なんだけど5面いらないや。

 3面にしてくれる。

 真ん中を後方からの俯瞰して見える奴にして、左に上から、右に横から見た画面に。

 うん、こんな感じかな。じゃあ再チャレンジ。



「だからありえませんって!」


 カグヤが絶叫している。


「どうやったら40m級を、それも200mの長さを出力60%で突入できるんですか」


 運転中に液晶画面タッチするのは少し手間だな、そこさえ慣れればもうちょっと出力は上がるかと。

 ゴルフゲームのパターと違って遅いとショート強いとオーバーというのがないからその辺は気が楽だな……


「……はぁ、見せ場なくなりましたけど、疲れたからどうでもいい気になりました」


 げんなりとした顔で肩を落とす。


「見せ場?」

「私、ドラゴンシステムは人類に普及している自律思考型管理頭脳の大元の存在で、性能も大幅に上なんですよ。だからゲート突入、オートでもできちゃうんですよ」


 通常の管理頭脳にできないことができると。

 なるほどチートの宇宙船と女神さまが言うはずだな


「いえ、私なんか15%の出力でしか突入できませんので大したことありませんよ」


 そんなにやさぐれるなよ、カグヤ。

 日本の小説にはとりえのない人間が文化レベルが過去の異世界に召喚されて、現在の知識で無双するジャンルがある。

 今回にいたっては未来に飛ばされたが未来では時代遅れで失われた技術をたまたま持ってたってだけだ。

 俺からしてみたら威張れるようなことじゃないさ。

 

 それに女神さまの話だと悲しいかな俺の操船適性って39位らしいぞ。


「……それのどこになぐさめがあると?」


 ないかな?


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― 新着の感想 ―
 今回にいたっては未来に飛ばされたが未来では時代遅れで失われた技術をたまたま持ってたってだけだ。 藤子先生の『みきおとミキオ』ですね。懐かしい。
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