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#56 ドラゴンと宗教と巫女と魚を巡る狂騒曲 2

繁忙期です。

とうとう昨日は更新できませんでした。


明日以降もそうなるかもしれませんができる限り頑張ります

 話を聞くのは構わない。

 だが先程の密航少女のことがようやく片付いたことと、どのみち出港してからのほうが時間効率が高いと言うことで一旦打ち切る。


「物品の入荷はすべて完了しています。ただあと1時間ほどで入国監理局の本日の業務は終了となります」


 大翠では入国監理局は24時間対応ではない。

 宇宙港が9時から19時までの間しか稼働しないので、入国管理局の職員もそれにならう。

 この国ではこの勤務時間でもブラックなのではないのか?


「交代勤務ですから拘束時間としては5時間ですね。2時間働いて1時間休憩後、2時間就業して交代です」


 いや働けと言っているわけでないのさ。

 ただ俺がやりきれない思いなのは仕方ないじゃないか。


「いやまあいいですけど。とりあえずまだ職員がいる間に、明日出航すると連絡しておきますね」


 頼む。




 ドラゴンも性格違うんだな?


 翌日、出港前に何気なくカグヤに話しかける。


「もともとは同じなのかもしれませんが、私たちは自律思考型ですので、その惑星に使命をもって数千年、現地の人間と関わっていると性格に差が出ると思います」


 環境によって差が出るか。

 人間と同じなのか。


「まあそう思っていただければ。でも蒼龍は少し特殊かもしれませんが」


 人当たりがいい感じがしたが。


「普段の反動みたいですよ」


 反動?


「いつも神様してると威厳が必要だからと喋れないですからね。じっと置きものしてると反動であんなふうになるみたいで。神様するのも善し悪しですね」


 ……俺は若者のスペースオペラ離れを嘆いて、ずっと話をしていた神様を見た記憶があるが?


「あっちは本物ですもの。何やっても本物です。蒼龍は偽物ですからそれっぽくふるまっているのですよ。当時神様としてあがめられることになったんだがどんな風にしようかとネットワークに相談があがっていましたよ。本物の真似はやめて人間が望む神様像をすべきという意見が多数でしたね」


 ドラゴンたちにもなんか違うと思われてるんだ。




「日下部船長、もう出港なのですか、お忙しいのですね」

「思いのほか惑星ワイズのコンテンツの売れ行きが良くて、目標金額達成しましたので。なら次の惑星に急ぎの荷物を運ばないと」


 入港手続きをしてくれた職員にお別れの挨拶。


「自分も買いましたよ、映画ですけど。なかなか面白かったですよ」

「お買い上げありがとうございます。また資金の回収に来ますので、どんどん買ってやってください」


 おどけて言うと、相手もにこやかになる。


「こっちだけに買わさないでくださいよ。今度来た時はちゃんと降りて色々食べてくださいよ」

「まったくです。購入したレバ刺しとか馬刺しがめっちゃはまりましたよ。これはまた食べに来ないとと思ってます。あと鹿も鯨も美味かった」

「お口にあったなら何よりです。船長の味覚は大翠に近いのですかね? 今度は熊にチャレンジしてくださいよ」

「いいですね、楽しみが増えましたよ」


 などと和やかに談笑していると、カグヤが二度と来る気もないのに笑顔で嘘をつけるもんだなとあきれている。

 嘘じゃないよ、社交辞令っていうんだよ、こういうのは。


「社交辞令でもそこまで会話できるスキルがあるのになぜ引きこもるんですか? 外に出てもそれだけ喋れたら何とでもできるでしょう?」


 会話できるからといって会話したいわけではないのだよ。

 正直なところ会話したくないから引きこもっているのだよ。

 そこのところを勘違いしてもらっては困るな。


「いえ、自慢げに言われても対処に困るのでやめてもらえます?」




 とまあそんなこんなで惑星大翠を後にする。

 ここから1週間ほどのゲートに赴き、そこから惑星マイタンまで通常航行で6日ほどだという。

 2週間かからないとなるとかなり近い気がする。



 画面に映し出された惑星大翠を見て、結局この惑星は肉と山しか記憶がないな。


「船長にしてはましな方だと思いますよ?」


 褒められているわけでないと思うが、そんな認識でいいのだろうか?


「一応これでも褒めているんですよ」


 そうなのか?


「では逆に聞きますが、Z3-Jで残っている記憶を言ってみてください」


 Z3-J?

 そりゃあ、お前、あれだよ。

 ……あれ?


「何か出てきますか?」


 ……ワインくらいしか思い出が?


「そのワインもこっちが持ち込んだものですしね」


 ……マーロン三世とか首相はワインがらみだろう。

 ほかって何かあったっけ?

 郷土料理が苦かったことくらいなら何とか思い出した。


「ほら。記憶がないでしょう? まだお肉と霊峰万里を覚えてるだけましでしょう?」


 カグヤに諭されるように言われるが、反論の余地がなかった。

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