#4 女性だが人ではなくドラゴンだった件
なるほどドラゴンか。
言われてみたら考えるべきことだったか。
彼女とはモニター越しでしか話していない。
俺を船長と呼ぶなら乗組員なり添乗員なりと考えるなら普通直接対面するべきだろう。
画面越しで話すというならまずはSFでありがちな高度な人工知能と疑うべきだった。
むしろなぜ人工知能かと疑わなかったのか、と妙に悔しい。
ありがちな初歩的トラップに引っかかった感じで妙に腹立たしい。
本で読んで知っているのと体験は違うものとはいえ、知識を応用できないのは恥ずかしいことだと自戒する。
「そうなるとドラゴンってのは女神さまが作った人工知能とか情報生命体的な存在で各惑星に配置されてて、ドラゴン同士は相互リンクができるってことかな?」
俺の言葉にびっくりしたような顔をして、
「あ、はい。その考えで間違いありません。正確には自律思考型管理頭脳、ドラゴンシステムと呼ばれています」
正解いただきました。
なら思考の方向性は間違っていないと。
そのドラゴンシステムに導かれた惑星の住人が女神さまのいうところのスペースオペラの住人で、地球人はそのシステムを壊したから宇宙に出れないと。
でも地球のドラゴンは現在復旧中。
こうなると一つ疑問が出てくる。
女神さまは宇宙船をくれるといった。
それもチート級。
スペックのことはさておき、とりあえず今自分がいるのが宇宙船だろう。
きっとこれがもらえた宇宙船だ。
そして俺は動かし方がわからないどころか宇宙のことが右も左もわからない。
そのナビゲートという形できっと彼女、惑星ワイズのドラゴンがいるのだろう。
そりゃあたぶんチート級の能力じゃないのだろうかと思う。
きっとスペースオペラでいうところの主人公が持つ特殊な人工知能を持った宇宙船だろう。
なんたって惑星1つにつき1体しかいない神が作ったドラゴンだ。
――そう1体しかいないのだ。
地球のドラゴンは地球人に壊されたといえ地球で修理中だ。
ほかの惑星のドラゴンはその星で管理してるなり修理しているのだろう。
じゃあ惑星ワイズのドラゴンはなんでこんなところにいるのだろうか?
外の状況がわからないのでもしかしたらこの宇宙船は惑星ワイズにあるのかもしれない。
しかし俺は不本意ながら女神さまから宇宙を旅するように言われている。
そうなると彼女は惑星ワイズから離れることになる。
そうなってもいい状況として考えられるのは……
「ワイズってのは未来の地球……的な感じなのかな?」
「……さすがは我が主が選んだ方というか、……察し良すぎませんか?」
驚いたというよりはあきれ顔でものをいう。
「ご明察通りです。私の惑星の住人も戦うことを選んで私は壊されました。完全修復が完了した300年前に星は戦争で壊滅的な打撃を受けて滅亡しました」
肩をすくめる。
「それは……ご愁傷さまです」
立ち上がり、お通夜の時のように挨拶をした。
この行動に意味があるかはわからないがきっと間違ってないだろう。
「お気遣いありがとうございます。でもお気になさらずに、自分の見てた子たちが滅亡したのは悲しいことですけど、こればっかりは自業自得で仕方ないことですし。あとよその惑星でも珍しいことじゃないんですよ。また新たな人類が生まれる可能性がある惑星のドラゴンはそのまま管理してるんですけど、人の住めない死の惑星となってしまえばかえってすっきりします」
本心かどうかは聞いても意味がないことだし額面通りに受け取ろう。
とりあえずチートな宇宙船問題は彼女に任せておけばいいのだろう。
というより彼女のことはどう呼べばいいのだろうか?
ドラゴン?
名前があるのかな?
「それは船長に決めてもらえれば」
「俺が?」
「ええ、今までは私は惑星ワイズのドラゴンでした。この度その任を解かれてあなたの宇宙船の自律思考型管理頭脳ということになりますので、艦船名と管理頭脳名を登録してください」
俺はゲームの登録名なんかは固定したのを使っているんだが、それ以外のゲーム内でのペットとかアイテムに名前を付けろと言われたら悩むタイプの人間だ。
宇宙船ぽい名前や人工知能の名前なんてアニメや小説からとればいいのだがその選択に悩む。
試練を与えるドラゴンの名前なんて選択肢に事欠かないしその中で女性ぽい名前は……あ、これいいかな。
「じゃあ君の名はカグヤで」
「……なるほど。それも地球のドラゴンですね」
世界各地に残る神話には類似したものが少なくないという。
ドラゴンが実在するというなら世界各地で似たような試練を与えたのでは。
そうなると昔ばなしだってなんらかドラゴンの影響もあるのではと思い、そこでひらめいたのがかぐや姫なんだけど……そっか竹から生まれたのはドラゴンか。
そうなると昔ばなしであれもこれもドラゴンなのではと思ったりすると空恐ろしい。
「気に入らないならほかに考えるけど?」
「いえ、気に入りました。ちょっと新鮮です」
それならいいけど。
「……それなら船の名は月からとりますか?」
「そうだな、イザヨイがいいかなぁ」
「いい名前だと思います。宇宙船の形的にもイザヨイのほうがあってるかもしれませんし」
はて?
形?