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#35 事後処理のアレコレ

 昼食後、たっぷりと微睡んでから運動しようとジムに向かう。

 一ヶ月以上毎日運動しているとはいえ、長年の運動不足か老化による衰えか、はたまた両方か、筋肉ついたなとか体力ついたなという感想はまだない。

 少し体が動くようになった、その程度だ。

 肉体改造にはまだ遠い。

 いや青ウサギよ、そこまで筋肉質になろうという気もないからホドホドでいいんだって。

 まず大事なのは人並みに動く体です。


 運動のあとは医務室で体のケアを受け、さあ引きこもろうかと自室に戻ろうとしたところ、本日2度目のカグヤの呼び出しを受ける。

 食事しながらでもいいというので、ちょい早いが食堂に行って一杯飲むか。


「マスコミからの取材の申し込みが多数来てます」


 立体映像で差し向かいに座ったカグヤが言う。

 マーロン三世の件か、予想はしていたが。


「義務はないんだろう?」

「ありません」

「なら放置で」


 ピンクよ、とりあえず生。

 あとは天ぷらを適当に盛り合わせて


「宇宙港にもマスコミのドローンが押し寄せてます。搬入の際に入り込もうとしているところもあります」

「それはこの惑星では犯罪にならないのか?」

「犯罪ですよ。警告後撃墜してもこちらに否はありません」

「撃墜したんだ?」

「いえ、ハッキングしてこちらの管理下にしてからお帰りいただきました」


 それも犯罪だと思うんだが。

 ビールを口に含む。

 あれ、なんか今日のは少し苦味があるな。

 Z3-Jの人気のあるビールなのか。

 なるほど、昼食の時も思ったがこの星は若干苦味が特徴的だな。

 いや、わざわざ取り替えなくてもいいよ、もったいない。


「次にオークション運営会社から謝罪と再出品のお願いがきました」

「両方から?」

「そうです」

「謝罪は言葉だけ?」

「民間大手のほうは手数料10%を7%にすると言ってますね」


 マーロン三世のせいで出品停止になったが、マーロン三世のおかげで本物という風潮になり、運営会社に再開要請が多数きているらしい。

 でもマーロン三世って結局ワインを偽物とは疑ってなかったよな。

 結局鑑定書をそのまま信じたのか?

 美食名人が聞いてあきれる。

 もしも彼のディナーの招待を受けたら一体どんな料理を出されたのだろうか?

 苦いのだろうかな、ほのかな苦味が上品と言われる国のようだから。


「微妙の値下げだし、今更どの面さげてって感じだな。……他のオークション運営会社は何もいってきてないのか?」

「各社ウチで出品してくださいと要請はありますよ」

「その中で一番良さそうなとこってどんな感じ?」

「業界3位のところは手数料無料、商品配送も責任もって行うと言ってますね」

「それでそこ儲けがあるのか?」


 ワイン泥棒ではないかと疑うぞ。


 ピンク、ビールお替り。

 今度はもうちょっと苦みが少ないのにしてくれ。


「有料会員制で、今回のような高額な目玉商品の場合は、さらに参加費用を徴収するシステムのようです。名目は貴重な商品を出してくださる出品者に手数料の負担をさせないため。また冷やかしを防ぐために、参加費を払えないような客はお断りするということです」


 あれ?

 ワイン出すのにうってつけじゃないか?


「そうですね。最初からこちらを教えて欲しかったですね。信頼性はあるけれど有料会員制や参加費などで敷居が高くて大手とは言い難かったのでしょうが」


 もしくは入国監理局の職員が知らないかだが。


「じゃあそこに1本出そうか」


 最初のオークションサイトよ、恨むならマーロン3世の要請に従ったことを恨め。


 運ばれてきたビールと天ぷらの盛り合わせ。

 ビールは同じくZ3-J産のものだが、リクエスト通り苦みが少ない。

 初心者用の位置づけ?

 それは気にしない。

 天ぷらはとりあえずエビ、イカ、大葉、カボチャ、ナス、かき揚げ。

 塩と天つゆを両方用意してくれてるのか、ありがとう。

 これで十分だ。


「ワインの売り上げと、今回の件でワイズのコンテンツの売り上げが絶好調でして、とりあえず使ってほしいと思っています」


 Z3-Jの金って他の惑星で使えないもんな。

 ……そういや俺らがこの惑星を離れた後のコンテンツの売り上げってどうなるの?

 コンテンツは俺らがいないと買えないの?


「コンテンツ自体はここの惑星の人がいつでも買えるように置いておきます。売り上げは次に来た時に回収ということになります」

「次、いつ来るかわからないのに?」

「ですので今あるお金は使いきっておいてほしいと思っています。それに長い人生ですので、ここに帰ってくることもあるかもしれませんので、その時は何もしなくてもお金がある状態です」


 言っていることは理解した。

 問題は買うものを選ぶのがめんどくさい。

 ……適当にコンテンツを選んでくれ。

 あと宝石とか装飾品とか高くて価値がありそうなものを、なんならさっきのオークションからでもいいから買っておいてくれ。


「まあその辺が無難ですかね」


「ほかに何かあるか?」

「あとは出航をいつにするかですかね」


 地上に降りる気はもともとないが、悪目立ちしてマスコミに包囲されて降りるに降りれない状況だ。

 籠城するよりはさっさと出航するほうが賢いだろう。


「オークションが終わって入金やら購買したものの納品が終わったら出て行こうか」


 長居する気持ちもないが、そもそも星についたという実感も少ない。

 

「了解しました。そのような段取りで進めます」

活動報告にも書いていますが、感想書いてくださった方、評価ポイントをつけてくださった方、ありがとうございます。


増えていくブックマークもありがたいことです。


見切り発車で始めたこの小説、こう反応がありますともう少し頑張ろうという気になります。

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― 新着の感想 ―
1惑星でなく最低でも1星系内で使用可能な通貨、若しくは電子マネーは存在してないのかな?
[良い点] 面白い [一言] 面白い作品を有り難うございます、楽しんで読ませて貰っています、一日も早い書籍化を楽しみに待っています。
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